「雪さん…」「は、はい…何でしょうか?」「あのさぁ…」
いったい…何でしょうか?
「雪さんにしか言えなんだ…」「え!?雪に…だけですか?」
黙ったまま頷く
「あのな…」「は、はい…」
思わず生唾を飲み込んで、じっと見詰める
「そ、そんなに見詰めるられると…言いづらいだろ…」「あ、すみません…」
視線を少しそらす
「あのさぁ…今度、一緒に行きたい場所があるんだけど…」
顔を紅くしながら言われる
「え!?雪と…ですか?」「他に誰が居る?」
あたりを見渡すが、居るのは雪と家主さんだけだった
「いま…せんね…」「だろ?それで、駄目なのか?」
これは…デートの誘いですよね…。でも、雪はメイドです…水月さんを裏切るようなことは…雪には出来ません!
「あの…」「ん…?どうした?」「あの…その…」
駄目…顔を見てしまうと、断る事なんて雪にはとても出来ません…。ですが…
ちらりと顔を見る
「判ったよ。雪さん…」「え!?」「俺に遠慮しないで良いんだ…駄目なら、駄目って言ってくれて…」
「駄目なんて事はありません!」「え!?」
あ!雪は、なんて事を言ってしまったんでしょうか…
「良い…って事だよな〜?」「あの…雪は…」「そうか!行ってくれるか〜!さすが、雪さんだ!」
そして、出かける日がやって来る…
「悪いな…雪さん」「いええ…雪は、別に…」
紅い顔で下を向く
「それにしても、何で水月は家に居たら駄目だって行ったんだ?」「さぁ…雪にもわかりません…」
ずっと下を向きながら歩く
「雪さん…風邪でもひいた?」「え!?」「顔が紅いし…」「だ、大丈夫です…雪は、何ともありませんから…」
「なら良いけど…」
雪は、何をしてるんでしょうか?こんな事では、家主さんに申し訳が…
そんな事を考えている時、突然手を握られる
「人が増えてきたから、こうして手を繋いでいれば大丈夫だよな?」
顔から火がでそうなくらい顔を紅くする
今…雪と手を繋いでいるんですね。体の温もり…皮膚の感触などが雪に伝わってきます
雪は、すごく幸せです…。雪は、世界一の幸せ者です
「水月の頼まれ物を買って帰らないよな…。あれ?どこにいった…?」「どうしたんですか?」
「いや〜、水月に頼まれた物を書いたメモが…」「大丈夫ですよ。雪が覚えてますから…」
にっこりと笑う
「お、やっと笑ってくれたな。やっぱり、雪さんは笑顔が一番だ!」「そ、そんな…雪の笑顔なんて…」
照れて顔を紅くしながら下を向く
「行こうぜ!水月の頼まれ物も買わないといけないしな!」
そう言って、雪の手を再度握りなおしす
「はい…」「そう!雪さんは笑顔が一番!」「はい!」
買い物を済ませて帰ると、父の日パーティーが始まる
雪は…今日の事を絶対に忘れません…
手をそっと胸にあてて軽く下を向く
「あら…雪さん。何か良いことでもあったの?」「何も…ありませんよ」
にっこりと微笑む
「それより、楽しんでる〜?」「水月さん…飲み過ぎでは…」「らいじょうぶよ…」
雪にはとてもそうは見えませんが…
「水月…それくらいでやめとけよ!明日があるんだから…」「あにお〜!私に指図するの〜!」
「は〜、勝手にしろ…」「勝手にしますよ〜」「俺は知らんからな。明日頭が割れるように痛くなっても…」
雪も…それが心配です
「らいじょうぶ…」
バタン!
「ほら、いわんこっちゃない…よこいせ!雪さん、これ片付けといて。俺は、水月を運んでくるから」
「はい。判りました」
運ばれて行く水月さんを羨ましいそうな目でみる
あ、いけません…これを片付けないと…
いそいそと頼まれたこをする
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