「水月先輩…」
茜がニコニコと笑いながらやって来る
「いらないわよ!」「え!?まだ何も…言ってませんよね…?」「そうね!」「だったら…何で…」
ふっと笑い茜の方を見る
「何でかしら?そんな気がしたのよ」「それだけ…の理由で…」
茜はガックシと肩を落とす
「ところで…何を持って来たの?」「えっとですねー!」
茜はパッと明るい顔になる
「これを水月先輩にあげようと…」
茜は二枚のチケットを私の前に差しだす
「遊園地の…招待券…?」「はい、そうです!」「ふーん…」
招待券を眺める
「ねぇ…何で、これを私にくれるの?」「え!?あ…それは…」
茜はそう言いながら、あさっての方を見始める
「茜〜。正直に言った方が良いわよ…」「み、水月先輩…。目が…目が笑ってませんよ…」
「さー、答えない!」「は、はい…」
「ふーん…それでね…」「水月先輩…痛いです…グスン!」
茜は半泣きで頭を抑える
「そうでしょうね。叩いたんだから」「何も、本気で叩かなくても…グスン!」
そうか…最近は、二人ででかけるって事なんて、全然してないわね
「水月先輩…話を聞いてますか?」「え!?あ、御免…それで何?」「水月先輩…」
茜は、泣き始める
「え!?何?私が何かしたの?ちょ、ちょっと…」
「ただいま〜!」
帰って来ると、水月が凄い行き良いで走って来る。そして、そのまま部屋に連れ込まれる
「お、おい…なんだよ行き成り…」「ねぇ…今度の休みって…何時?」
水月は背中を向けたままそう言う
「休み…無い!」「え!?」
水月は驚いた顔でこっちを見る
「何かの冗談よね?」「いや…本当だ!」「う、嘘…」
水月はその場に膝をつき、この世の終わりを思わせるオーラが漂う
な、何だ?いったい何があったんだ?それになんだよ…この空気は?
「あの…水月…」
そっと水月の方に手を伸ばす。水月は行き成り顔をあげたので、驚いて少し飛び上がる
「ど、どうした?」
水月は何も言わずに、部屋から出て行く
な、何だ?
「遙〜」「え!?あ、水月…どうしたの?」「これ…あげる」
遙に遊園地の招待券をさしだす
「え!?貰っても…良いの?」「うん…孝之と楽しんできたら?」
遙は黙って首を横に振りながら、それを私の方に押し戻す
「遙…どうして?」「だって…それは、私が茜にあげた物だから…」
遙はてへへへ…と笑う
「ほら、ここに私達の分はあるんだよ」
遙は二枚の遊園地の招待券を見せてくれる
「今度、水月達と一緒に行こうと思ってたの…」「御免ね…それは無理みたいなの…」「え!?」
「仕事が忙しく、行けそうにないのよ…」「そう…なんだ…」
遙は凄く残念そうな顔をする
「でも、仕方がないよね…仕事なんだから…」「御免ね…」「ううん。良いよ」
遙はトボトボと歩いて行く
何だか、物凄い罪悪感…
「遙…」「え!?なあに?」「あの…さぁ…」「どうしたの?」
遙は首を傾げる
「行こうぜ!遊園地!」「え!?」「なんだよ!俺の顔に何かついてるか?」
「目とまゆと鼻と口が!」「水月…それは着いてないと、おかしいと思うよ…」
「とにかく!行くぞ、遊園地!」「でも…仕事が…」「涼宮の頼みじゃぁ、断る訳にはいかん!」
遙の…頼みなら
ギュ!グイ!
耳を摘んで引っ張っていく
「いだだだだ…」「遙の頼みならって、どうゆうことかしら?」「気にするな!」「そう…」
ニッコリと笑いながら耳を抓る
「あいだだだ…」「さぁ、正直に言いなさい!」「判った…言うから、まずは手を離してくれ…」
手を離してあげる
「言えるか!そんな事!」
ヒュー!
「あ!逃げ…るなー!」
大きく振りかぶって、一気に振り下ろす。ソフトボールは見事に命中する
結局、その後もはかなかったので、屋上から蓑虫の刑する
「水月さん…許すして〜!お願いですから〜!わ〜ん!」
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