部屋から出て歩いていると、庭に誰かがいる事に気がつく
ん?あれは…恵ちゃんか?その隣は…みなも?なにやってんだ?
「どうしたの?」「あ、水月…あの二人って何やってんだ?」「あー、あれね。観察よ」
「…観察?」「そう。観察よ!」
水月はそれだけ言って行ってしまう
観察ねー。何の観察なんだ?
そんな事を考えながら、二人の姿をじっと見る
それから、三時間程のち…
「まだ、あの二人は見てるのか?」「え!?まだ、帰ってきてないの?」
水月は驚いた顔で聞いて来る
「まあ、別に何処に居るって事じゃないし…。庭に居るんだから、心配要らないって」
そんな時に、永遠が通りかかる。当然の事ながら、永遠は水月に捕まる
水月が永遠に何やら聞くと、永遠はウンウンと頷く。そして、ゆっくりと俺の方に歩いて来る
なんだか…物凄く嫌な予感が…
「ねぇ〜」「嫌だ!」「何よ!まだ何も言ってないでしょ!」
水月がそんな猫声で言う時は、ろくな事がないんだ!
「一様…聞いてやるよ」「あのね…迎えに行って欲しいの…」「ふーん…」
そう言って頷く
「迎え…」「嫌だ!」
ピシッと音がする
「良いから…行って来なさい!」
水月はソフトボールを見せながら、ニッコリと笑う。その笑顔は『行かないとぶつけるわよ』と言っていた
後ろに二、三歩下がって、一気に走りだす
二人の所に行くと、もう一人増えていた。
はぁ…何で俺が迎えに来ないといけないんだよ
そんな事を考えながら、溜息をつく
「おーい、帰るぞ…ん?何だあれ?」
声をかけた時に、何か黒い物がある事に気がつく
お、おい…まさか、これって…あれか?
「あ、恵ちゃん…」「うげ…蟻が…沢山…」「え!?」
恵ちゃんは、訳が判らず首を傾げる。そして、今自分がおかれている状況を理解する
「キャー!とって〜!とって〜!」
恵ちゃんはそう叫び、俺の方に走って来る
「うぉ!こっちに来るな〜!」「とって〜!」
必死に走って逃げる
「もう…何時までかかって…え!?」「水月!逃げろー!」「とって〜!」「いい…!イヤー!」
水月も一緒に逃げ始める
「どうするのよ?」「俺に聞くなー!そうだ!二手に別れよう!」「そうね!」
しばらく真っ直ぐ走って、左右に別れる
これで俺の方には
ゆっくりと後ろを見ると、確り追いかけて来ていた
「嘘〜!」「さ、貴方達は家に入りなさい」「でも…」「大丈夫。あとは、任しとけば心配は要らないわ」
そう言って、水月達は家の中に入って行く
「この白状もの!」「とって〜!」「こっちに来るな〜!」
結局、そのまま恵ちゃんが力尽きるまで、走って逃げ続けた
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