「それで…」「だから…あの時は…」
必死に水月に訴えるが、水月はただジーと見ているだけだった。
「あの…何をしてるんですか?」
茜ちゃんが、そっと雪さんに聞く
「えっと…母の日に贈る物を用意していないのが、今朝方発覚したんです」「え!?マジで!」
「はい…。もう、かれこれ一時間ほど、あのような感じなんです」「へー…」
茜ちゃんは、大変だねー。と言った顔で眺める
「水月先輩…一緒に買い物に行きませんか?」「うん!良いわよ」
水月はそう言って立ち上がる。茜ちゃんはチラッと俺の方を見る。
「水月…」
水月は冷やかに俺の方を見る。その目は、私に話し掛けないでといっていた
ああ…。良いんだ…俺なんて…どうせ…
いじいじといじける。雪さんがやって来て、肩に手を置きながら覗き込む
「大丈夫ですよ…水月さんも、本当は判ってますよ」「……そう思う?」
ゆっくりと顔を上げる。雪さんは俺の顔をみて驚く
「雪は…そう思いますよ…ですから、元気をだして下さい。きっと、帰って来られたら普通に…」
立ち上がり、雪さんの肩を掴みながらじっと見詰る
「本当に…そう思う?」「は、はい…」「そっかー!そうだよなー!」
「水月先輩…」「どうしたの?」「どうして、そんなに怒ってるんですか?」「え!?何が?」
水月先輩は、きょとんとした顔をする
「母の日にプレゼントを貰えなかった…」「あーあれね。別に怒ってないわよ」
水月先輩はニッコリと笑う
「え!?じゃぁ…」「ちょっとした、意地悪よ」「意地悪…ですか?でも、どうして?」「ふふ…それは秘密よ!」
水月先輩は、そう言って走りだす。
「あ!待って下さい!」
そう言って、水月先輩を追いかける
「ただいまー!」「お帰りなさい」「あれ?雪さん…」「あ、お部屋にいらっしゃいますよ」「部屋に…?」
何をしてるのかしら?
早速、部屋に行ってみると誰も居なかった。部屋の中を指差しながら、雪さんの方を見る
「雪は、お部屋に入られるのを見たんですけど…」「でも、居ないわよ?」「そうですね…」
二人でゆっくりと中に入る。すると、部屋の真中に一枚の紙が落ちていた
『上を見ろ』と書かれていたので、上を見ると『右を見ろ』と書いてあった
何?これ…?
とりあえず右を見ると、そこのは小さな封筒が置いてあった
「これを…見ろって事よねー?」「そうみたいですね…」
早速、封筒を開けて中を見てみる。中には『馬鹿〜!』と書かれていた。それを見て、プルプルと体を振るわせる
「何処に行ったー!出て来ーい!」
そう言って、部屋から出て行く
「あー、お母さんが開けちゃったの…」
みなもが残念そうに、封筒を眺める
「え!?もしかして…遊びでしてたの?」「うん!宝捜しゲームをしてたの」
雪さんはあちゃーと言った顔をする。そして、さっき封筒があった場所に、別の封筒があることに気がつく
「これって…」「あ!それだー!」「はい…」
みなもにその封筒を渡すと、嬉しそうに部屋から出て行く
「ちょっと…待て!俺には、何の事かサッパリだ!」「あくまで…しらをきるのね?」
水月はジリジリ…と近づいて来る。
「じゃぁ…これはな〜に?」
水月はまったく見覚えのない紙を俺の前に突きだす。そこには『馬鹿〜!』書かれている
「それは…永遠だ!ゲームするから、部屋から出て行ってくれって言われたんだ…」
水月はキッと睨みつける
「そんな嘘が通じると思ってるのー?一回死んで来〜い!」「ギャー!」
その後、水月は雪さんから事のしだいを聞いたらしい…
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