吸血鬼
「御免なさい…」

カプ… ザッ!

「遙!」「え!?どうして…水月がここに?

遙は驚いた顔で、私達を見る

「どうして…遙が、こんな事を…」「仕方がないの…こうしないと、私は生きていかれないから…」

遙は今まで手に持っていた人をそっと置く

「何か他に方法があるはずよ…。遙が、元に戻る方法が…」

遙は黙ったまま、首を横に振る

「私も、いろいろと探したの…でも、どれもダメだった…」「まだ、他に…」

遙はまた、首を横に振る

「水月…もし、私の邪魔をするんだったら…」

遙はそう冷やかに言って、爪を伸ばして飛び掛ってくる

「御免…水月。でも、こうするしか…」

グサ! ポタ…ポタ…

「どうして…」

遙は爪を引き抜き、強張った顔でゆっくりと後ろに下がる

「へ…どじったか…」

孝之は傷口を抑えながら、肩膝を地面につく

「孝之…!」

慌てて、孝之の所にかけるよ。孝之は、ゆっくりと立ち上がって、遙の方に歩いて行く

「いや…来ないで…」

遙は顔を横に振りながら、後ろに下がる。私は、もしもの時に為に武器を用意する

「遙…」「いや…来ないで…お願いだから…」

遙は泣きながら必死にそう言うが、孝之は遙との距離を縮める。そして、ついに遙を抱きしめる

「遙…」「離して…孝之君…お願い…」「嫌だ!」「え!?」

孝之の言葉に、遙は驚いた顔をする

「俺は…遙の事が大好きだ!」「でも…」「たとえ、遙がどんなのだろうと。俺は気にしない…」

孝之はそう言って、遙を強く抱きしめる。遙の伸びた爪は、ゆっくりと元の長さに戻る

それを見て武器をしまい、その場から立ち去る

「孝之君…」「遙…」「こんな私でも…」「ああ…大好きだ…」「嬉しい…」

カプ!

「あがー!」


「で、結局…二人をそのままにして来たんですかー?」「う、うん…」

茜は机を叩く

「そんな事じゃぁ…」「でもね…私には、どうしようもないわ…あんな、二人を見たら…」

そう言って椅子にもたれながら、天井を眺める

「どうなっても、知りませんよ!」「大丈夫。その時は、私が責任を持つから…」

そう言って、にこやかに笑う

あの二人だったら、美味くいくわ…きっと

ーENDー




 戻る  本編へ