『○△です。宜しくお願いします…どうも、ご声援有難うございます…』
煩い…
『×□です。皆さんにご挨拶をしにやって参りました。ご声援、有難うございます!』
休みだから、ゆっくり寝てるのに…。
耳をふさいでも、まったく意味をなさない。
不機嫌な顔で部屋から出る。
「あら、随分と早起きね〜? 休みだから、もっと寝てる思ったから…」
「ゆっくりと寝てれるかよ…あんな喧しいのに」「そう? 別に平気よ!」
椅子に座ると、水月がコーヒーを出してくるれたので、それを飲む。
「気にならないの、水月が鈍感だからだろ!」「誰が…鈍感なのかしら〜!」
水月はソフトボールを握り締める。その後、顔面に食らったのは言うまでもない…。
「でも、煩いのわよねー。あんな事して、票が集まらない人は集まらないのにねー」
「ま、誰がなってもたいして代わり映えしないけどな」
そう言ってコーヒーをすする。
「まあね…」「涼宮なんかがなったら、面白いかもな」
ニヤニヤと笑いながら言う。
「遙ねえ…。それなりに面白いかもね」「まあ、水月には向かないけどな」「何か言った?」
水月は鋭く睨む。
「水月は、秘書なんかが似合うと思ってな…」「え!? 秘書…」
水月は想像を膨らませ始める。
「ボディーガードも必要ないだろ。水月だったら」
バキ! ゴキ! ボキ! ピクピク…
「悪かったわねー!」「何も…コブラを決める事はないだろ?」「当然の報いよ! ねえ」
水月は何か思いついたように言う。
「どうした?」「雪さんがなったら、どうかしら?」「雪さんが?」「うん!」
「それなりにいいかもな」「何を話してるんですか?」「ん? 雪さんが議員になったらって話」
「え!? 雪がですか?」
水月と一緒に頷く。
「雪にはそんなの無理です…」
雪さんは顔を赤くしながら言う。
「雪は、今のままが…」
雪さんはそう言って、水月に気がつかれないように俺の方を見る。
「議員にしたらまずいって言ったら…」「もちろん…」「はい…」
三人同時に頷く。
『大空寺!』「大空寺様」「だよな…あいつがなったら…」
大空寺が議員になった時のことを想像してみると、背筋が凍るような寒気を感じた。
「絶対にそれは駄目よ! もし、それが現実になったら、日本の終わりよ!」「まったく、その通りです」
「ま、あいつがなる事は、宇宙が無くなってもあり得ないさ!」「そうね!」「そうですね!」
「ふーん! 随分と好き勝手言ってくれるじゃないさ!」
慌てて声がした方を見る。そこには、腕組みをした大空寺が立っていた。
「なってやろうじゃないさ! 議員だろうがねえ!」
大空寺はそう言うと、携帯電話を取り出して、何処かに電話し始める。
「あ、私だけど…今度の選挙に出るから。うん。そう。宜しく頼むわね!」
大空寺は携帯電話の切って、自分の部屋に戻って行く。
「大丈夫でしょうか?」「ま、落選するのが関の山ね…」「だな…」
大空寺は落選したのは言うまでもない…
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