| 「いってきます…」「おう、楽しんでこいよ!」「うん!」
 涼宮は笑顔で頷き、手を振りながらでて行く。
 
 さてと、早速始めるかー。
 
 リビングに向かって歩き出す。
 
 
 腕時計を見て、苦笑いを浮かべる。
 
 どうしよう、待ち合わせの時間まで…。
 
 キョロキョロ…。
 
 あ、喫茶店だ。あそこで時間を時間を潰そう。
 
 カランカラン…。
 
 「いらっしゃいませ〜!」
 
 
 「お疲れ様でした!」「はい、お疲れ様」
 
 急いで行かないと、遙が待ってるからな。
 
 着替えをするために、ロッカールームに入ろうとした時、聞きたくない声が聞こえてくる。
 
 「おい…あにサボって帰ろうとしてるのさ?」
 
 無視無視…。こいつに付き合っているほど暇じゃねえ。
 
 「うがああぁぁぁ…! 無視するなさ!」
 
 あ〜五月蝿い。
 
 「先輩…どうしたんですか?」「この糞虫ブンブンがサボって帰ろうとしてるのさ!」
 
 「まことか!」
 
 ふにゅ!
 
 「店長には言ってあるから…心配するな!」
 
 ギュー!
 
 「いだだだだ…」「そうだったんですか。でも…時間は大丈夫なんですか?」「え!?」
 
 店の中の時計を見る。
 
 まずい! 急げ…。
 
 ポイ!
 
 「うがああぁぁ…」
 
 ロッカールームに入って着替えを済ませる。
 
 「それじゃ、玉野さんまたな」「お疲れ様です」
 
 走って店をでる。
 
 「あいたたた…」「先輩…大丈夫ですか?」「覚えてらっしゃい…今度あったら…」
 
 「あ、先輩の頭に生ゴミがついてすよ…ここに林檎の皮が…」「あんですと〜!」
 
 大空寺は小刻み震えだす。
 
 「うがあああぁぁぁぁ…今度あったら、絶対に…! ぶっ殺す…!」
 
 
 腕時計を見る。
 
 そろそろ良いかな〜?
 
 伝表を持ってレジに行き、会計を済ませて店を出てからベンチに座る。麦藁帽子の角度を調節したりする。
 
 「仕事…忙しいのかな〜?」
 
 ピト!
 
 「キャ…!」
 
 後ろから頬に冷たい物があたり、少し飛び上がる。
 
 「遅くなって悪かった」
 
 声がした方を見ると、孝之君が立っていた。
 
 「はい…遅れたお詫び。にもならないか…」
 
 孝之君は缶ジュースを差し出す。
 
 「ううん。そんな事無いよ…」
 
 孝之君からそれを受け取る。孝之君は私の横に座る。
 
 「帰ろうとしたら、大空寺に捕まってな…」「そうだったんだ…」
 
 苦笑いを浮かべる。
 
 「遙…」「なあに?」「どこか行きたい所…あるか?」「え!?」
 
 「子供ができて、皆とああして暮すようになっただろ…」「うん…」
 
 「こうして、二人っきりなる事なんて、この先そうはあるとは思えなんだ」「そうだね…」
 
 「だから、今日は遙が行きたい場所に行こうと思うんだ」「私の行きたい…場所はね…」「何処だ?」
 
 そっと、孝之君に耳打ちする。それを聞いて孝之君驚いた顔をする。
 
 「本当にそこで良いのか?」「うん! 行こう!」
 
 そう言って孝之君の手を引っ張る
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