580,000HIT記念品

「雪さん。その服どうしたの?」「これは…お返しに頂いたんです」

雪さんは笑顔で答える。

「そう…なんだ…」「水月さんは何を頂いたんですか?」

雪さんが私達を呼ぶ時は、『様』は使わないようにすることになっている。

「え! 私!?」

顔を赤くしながら下を向く。

「人形…」「あ…」

雪さんは、まずいことを聞いてしまったといった顔をする。

「気にしないで、貰った物は前から欲しかった物だから…他にも貰ったし…」

『他にも貰ったし…』を小声で言う。

「そう…なんですか…」

雪さんはホッと肩をなでおろす。

「さて、買い物でも行って来ようかしらね」

そう言って立ち上がる。

グラ…

あ、あれ…?

「水月さん…しっかりして下さい」


「え、水月先輩が倒れたんですか!」「お静かにお願いします…」

茜さんは手を口元に持って行く。

「ここではなんなので…」「そうですね」

茜さんと一緒にリビングに行く。

「いったい何があったんですか?」「それが雪にも何が何やら…」「そうなんですか…」

「はい…突然倒れられて…どうぞ」「あ、有難う…お兄ちゃんには連絡したんですか?」

茜さんはコーヒーをかき混ぜながら聞く。

「もし、連絡をしたら仕事など関係なく帰って来られるでしょうから…」「さすがに…それはまずいね…」

茜さんは苦笑いを浮かべる。



「ただいま〜!」「あ〜! やっと帰ってきた! ちょっと来て下さい!」

帰ってくるなり、茜ちゃんに引っ張られながらリビングに行く。

「いったい何なんだ?」「水月さんが倒れたんです!」

雪さんは真剣な顔で言う。

「本当か?」「こんなことを冗談で言えると思いますか?」「それもそうだな…」

「水月さんは、お部屋にいらっしゃいます」「ほら、早く行って〜!」

茜ちゃんに背中を押される。

「判ったよ…」


コンコン…。

返事なしか…。寝てるのか?

そっとドアを開けて中に入り、水月の所に行って覗き込む。そこには、水月の寝顔があった。

やっぱり、寝てるのか。そっとしといてやるか。

水月がゆっくりと目を開ける。

「あ、お帰り…」「ただいま。それにしても、驚いたぞ…」「うん…」「ゆっくりと休めよな」

部屋の出口へ向かおうとした時に、水月に服をつかまれる。水月の顔をみてふっと笑う。

「一緒に居てやるよ」「うん…」「じゃあ、少し寝た方がいいぞ」「そうね…」

「安心しろ、寝るまで一緒に居てやるから…」「寝るまで…なの?」「う…」

そんな事を聞かれても…飯だって食べないといけないし…風呂だって…。

「ごめん…困らせるような事を聞いて…」

弱々しい水月の手をそっと握り、水月の目を見る。水月は小さく頷いて目を閉じる。

『お食事を…』『そこに置いといて…』

テーブルを指差す。

『はい、判りました。何かありましたら、言って下さい』『その時はよろしくな』『はい、それでは…』

まさか、水月が倒れるとわな。そうだなよな、色々と大変だろうから、倒れても不思議じゃないか。

さて、俺は飯でも…あれ? 離れないぞ…おい!冗談はやめてくれよ。

水月の握った手を外そうとするが外れない。

目の前に夕食があるのに、食べれないのかよ。くそ〜! だが、あんまり騒ぐと水月が起きるし

目の前の夕食を見て、生唾を飲み込む。結局その日は夕食は食べる事は出来なかった。


590,000HIT記念に続く

おまけ

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