「有難う御座いました〜!」
ふー、これでよしっと。
メモに書かれた名前を消す。
え〜と、あとは雪さんと水月か〜。
商店街を見て回る。
うーん…これといって良い物は無いもんだな〜。
そんなことを考えながら、一つの店の前を通り過ぎて戻ってくる。
雪さんには、これなんか良いかもな。
ショーウインドに飾られた、一着の服を眺める。
えっと、一つ…二つ………四つ…。
慌てて財布を取り出し、所持金を確認する。何度も財布と表示価格を交互に見る。
仕方が無い…買うか。
「あのーすいません…」「いらっしゃいませ〜」「あそこのを下さい」
そう言いながら服を指差す。
「こちらですね」「……はい」
何でこの大きさで、これだけするんだよ。普通のよりは大きいけどさ…ビックサイズじゃないだろうに。
「有難う御座いました〜!」
さて、残るは水月のだな。
財布を取り出し、中身を確認しながら歩く。そのまましばらく歩いて、ある店の前で足を止める。
この人形…。
「ん? どうした? 欲しいのか?」「ううん。そんなんじゃないわよ。ただ見てただけよ」
「そうか…」「うん、そうよ。さ、行きましょ」
前に水月が、これを欲しそうに眺めていたな〜。だが、先立つものが…不安だ。
その服と財布を交互にを眺める。
ここで買ってしまうと…俺はかなり厳しいな…。え〜い!俺も男だ!買うぞー!
「いらっしゃいませ〜」「あれ下さい!」
と思わず買ってしまったが…。やっぱり、無謀だったか…さすがに。
公園のベンチで缶コーヒーを飲みながら考える。
うじうじ考えても仕方ない、これはこれで良かったんだよな。さて、帰るか。
空き缶をごみ箱に捨てて、家に向かう。
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