「雪さんお願いね」「はい、雪に任せて下さい」
雪さんは笑顔で答える。
「雪さん…念のために聞いとくけど…」「大丈夫です。前のような失敗は二度としませんから」
「そうよね…何度も同じ失敗はしないわよね…」
苦笑いで雪さんを見る。
「何を話してるんだ?」「え!?」「それはですね…もご…」
慌てて雪さんの口を抑える。
「何でもないわよーあは、あははは…」
愛想笑いを浮かべながら、雪さんを引っ張って行く。
数日後…。
仕事から帰ってくると、家の中がやけににぎやかなことに気がつく。
いったい、何があるんだ?
玄関で考えていると、みなもがやって来る。
「お帰りなさい」「ただいま」「早く来て!」
みなもはそう言って俺の腕を引っ張る。そのまま、皆が居る所へ行く。
部屋に入るとそこには…。
「な、何だよ…これ!」「あ、お帰り。どう? 凄いでしょ?」
水月は嬉しそうに言う。
「たしかに…凄いけど…」「もっと凄い所があるんだよ」「え!?」「あそこ!」
みなもが指差した場所を見てみて驚く。
「な、何だよあれは…?」「御二人の御内裏様と御雛様で御座います」
真那さんが真面目な顔で言う。それを聞いていた純夏は武にいい寄る。
「タケルちゃん…私達も作ろう!」「おいおい…もうそんな歳じゃあ…」
「作るの!いい…!お願いします!」「かしこまりました」
結局、武は純夏に押し切られ感じで了承する。
あれ? 雪さんは何処に居るんだ?
キョロキョロと雪さんを探していると、みなもが俺の服を引っ張り、雪さんの部屋を指差す。
みなもの方を見てニッコリと笑い、頭をポンと叩いて雪さんの部屋へと向かう。
「雪さん…」「え、あ…!」
ドタドタ…。
いったい、中で何が行われてる事やら。
「どうかなされましたか?」「雪さんが居なかったからさ…」「そうですか…」
ん? 雪さんの部屋の中に小さなお雛様が。
「あ、駄目です!見てはいけません…」
雪さんは慌てて俺の目をふさぐ。その手をそっと優しく外して雪さんを見る。
「あれって、雪さんの手作り?」「はい…あまり出来がよくなくって…」「ふーん…」
部屋の中に入って眺める。
「これって、俺だよねー? それで、こっちが雪さんかー」「あまり見られると…雪は…」
「俺は上手だと思うよ」「え!?」「これなんか、俺にそっくりだろ?」
御内裏様を顔の横に持っていって笑う。今度は御雛様を取って雪の顔の横に持って行く。
「やっぱりそっくりだよ」「そんなにお褒め頂いて…雪は幸せです…」
雪さんは顔を真っ赤にしながら言う。
「あ、こんな所に居た」
水月の声に驚き、慌てて後ろに人形を隠す。
「ど、どうしたんだ?」「ご飯よ。何を隠してるの?」「べ、別に何でもないよ…」「は、はい…」
「そう、早く来てね」「判った。雪さん行こう」「はい…」
二人で部屋から出る
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