510,000HIT記念品

家に帰ると、子供達が走って俺のところにやってきた。

「おかえり〜、はい!」「どうぞ」「あげるね」

子供達からチョコを受け取る。

「ありがとうな」

そう言いながらにっこりと笑う。子供達はそれを見て嬉しそうに奥に消えて行く。

「ただいま〜」

そう言いながら居間に入る。それに茜ちゃんが気が付き、そばにやって来る。

「どうぞ」「ありがとう」

茜ちゃんからも受け取り、部屋に入って机の上にチョコを置いて、着替えをする。

コンコン…

「はい〜?」

ドアが開き涼宮が入ってくる。

「あのね…自信が無いんだけど…」

涼宮は恥ずかしそうに、箱を俺の前に差し出す。

「ありがとうな。これって、手作りか?」「うん…でもね、何度も失敗しちゃって…」「ふーん…」

箱を開け、一つ取り出して口に入れる。

「うん!美味いよこれ!」「え、本当!」「ああ…本当だ!」「これで安心して孝之君にあげれる」

涼宮は万年の笑みで部屋から出て行く。

まさか…俺は実験台…だったのか?


夕食を終えて一息ついていると、大空寺がやって来る。

「ほら、お前にやるさ!」「お、ありがとう…」

大空寺から貰えるとは思っていなかったので、驚きの表情で箱を眺める。

「ホワイトデーは、贅沢は言わなさ。ダイヤの一つや二つでいいさ」

それを聞いて箱を投げる。大空寺は慌てて落下地点に走って行ってキャッチする。

「あにするんじゃい!ボケ〜!」「誰が、そんな物を要求されてまで貰うかって言うんだ!え〜!」

「うがあああぁぁぁ…!泣いて頼んでも絶対に…」「誰が泣いて頼むか」「お前なんか、猫のうんこ踏め〜!」

大空寺はそう叫んで、何処かに行ってしまう。

ちょっと、悪いことしたかな〜。あとで誤っとくか〜。

頭をポリポリと掻く。


部屋に居ると、ドアが少し開く。水月はすばやく中に入ってくる。

呆れ顔でその光景を見る。

「何…やってんだ…?」「え!ううん。別に何でも…」

水月は顔を赤くながら誤魔化す。

「はい、これ」

水月は、一つの箱を俺に差し出す。箱を受け取ると、水月がじーっと俺の事を見てくる。

「何だよ?」「え、あ、別に…そうだ!お風呂に入らないと!」

水月はそう言って、部屋から出て行く。箱を開けて、一つ口に運ぼうとした時にある視線に気が付く。

そのままの格好で、そっとドアの方を見る。ドアが少し開いていて、誰かが中を覗いている。

覗いているのは、水月だとすぐに判った。

まったく、そんなに心配なのか? 自分が作った物だろ、少しは自信を持てよな…まったく。

ポイっとひとかけらを口に放り込む。

「うわ!まず〜こんなも食えたもんじゃない!」「何ですって〜!」「やっぱり、覗いてたのはお前か」

「あ…」「何が心配で覗いてたかは、だいたい想像はつくがな…」

そういったあとで、ひとかけらを口に放り込む。

「やっぱり、美味いや。最高だな!」「え、だって…さっき…不味いって…」

「バーカ、あれは冗談だよ。まったく、自分が作ったものだろ?」「うん…」

「だったら、少しは自信をもてよ。それに、俺が水月の作ったのを不味いって言うと思うか?」

水月は少し間を置いて首を横にふる。水月のそばに歩いて行き、そっと水月の方に手を置く。

水月は俺の顔をじっと見つめ、静かに水月の顔に近づけてキスをした。その時のキスはチョコの味だった。

「これは、チョコのお礼な」

水月は顔を真っ赤にして下を向く。部屋から出ると、そこには雪だるま方のチョコが置いてあった。

あ、雪さんかー。

そのチョコを持ち上げて、雪さんの部屋へと向かった。

「雪さん、ちょっといいかなー?」『はい…』

ドアがゆっくりと開く


520,000HIT記念に続く

おまけ

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