| 水月と雪さんの会話風景をコーヒーを飲みながら眺める。
 いったい何を話してるんだ?
 
 しばらくして、茜ちゃんがそれに加わる。
 
 そういえば、雪さんって水月に似てきたよな〜。茜ちゃんみたいになるのか?
 
 今度は涼宮が加わり、部屋へと消えて行く。
 
 いったい何があるんだ?
 
 コーヒーを飲みながら、部屋のドアを眺める。
 
 
 
 「彩様〜!」
 
 真那さんはそう叫びながら、うろうろしている。
 
 また、逃げられたのかよ。それにしてもよく逃げられるなー。
 
 真那さんはちらりと俺の方を見て、俺の所にやってくるなり
 
 「彩様は何処ですか?」「知りません!」
 
 そうきっぱりと答える。
 
 「隠し立てすると、命にかかわりますよ…」「知らんといったら!知らん!」
 
 やけくそ気味に答える。
 
 「そうですか…では、どちらに?」「だから、知らないって!」
 
 真那さんは疑いの眼差しで俺を見る。
 
 「俺だって、命は惜しいんですよ!」「そうですか。失礼します」
 
 たく!知らないって言ってるのに、なんで信じないかな〜?
 
 しばらくして、真那さんが彩を抱えて通り過ぎて行く。彩は必死に助けを求めたていたが、気づかないふりをした
 
 俺だって、死にたくないんだ。迷わず成仏してくれ。
 
 彩が連れて行かれた部屋に向かって手を合わせる。
 
 
 ちらりとカレンダーを見る。
 
 そうか〜、もう時期バレンタインか〜。ん? 待てよ。考え方によったら、魔の日だぞこれは…。
 
 家は女性の数が大半を占めている。もしも、チョコなんて貰った日には確実に死ぬ。
 
 金額だけで、破壊的な数字になるぞ…絶対に。どうしたものか…。
 
 そんな事を真剣に考える。
 
 女性陣は、しばらくして部屋から出てきて、今度はキッチンへと消えて行く。
 
 その手には大きな袋があった。
 
 なるほど!チョコを作るのかー。さて、水月のチョコはどれ位の大きさなんだろう?
 
 もしかして『これ、私の気持ち…』とか言いながら、大きいのをくれるかもな。
 
 いや、待てよ。皆で作るんだったら、普通サイズって事も考えれるなー。まあ、それはそれでいいかもな。
 
 気持ちの問題だよな。そうだ!気持ちだ!大きさじゃない!
 
 そんな事を一人で考えなていると、キッチンから煙が立ち昇っているのに気がつく。
 
 また、涼宮だな。まったく、よくやるよー。
 
 台所に歩いていくと、入り口のところで茜ちゃんに止められる。
 
 「どうかしましたか?」「嫌な、煙が…」「それなら心配は要りませんから」
 
 茜ちゃんはそう言うと、俺の背中を押す。そのまま、ソファーまで連れて行かれる。
 
 「何があっても、あそこには来ないで下さい!いいですね?」「それは別にいいけど…」
 
 それを聞いた茜ちゃんは小さく頷き、またキッチンへともどってゆく。
 
 行くなと言われると、行きたくなるのが人間なんだよなー。いや、待て…もし行って…
 
 『来たら駄目って行ったでしょう!』とか言われて、再起不能にされるのがおちだな。おとなしくしとこう。
 
 だが、何とかできないものか? この、甘いチョコの匂い…
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