朝起きて部屋から出ると、そこはとてつもない事になっていた。水月と雪さんが睨みあっていた。
「どうしても、彼を諦めないのね!」「雪は絶対に諦めません!」
「だったら、仕方が無いわね。山田さーん!」
水月がそう叫ぶと、何処からともなくピンク色の鯨が現れて雪さんに襲い掛かる。
「いきます!アイスビーム!」
今度は雪さんが冷気の光線を出して、ピンク鯨を凍らせる。
「やるわね…」「当然です!」「でも、次で決めるわ!」「望む所です!」
二人の最後の一撃を出したとたん、物凄い爆発が巻き起こる。
「うわ〜!は〜は〜…」
何だ…夢か〜。最近、ろくな夢をみないよな〜。
額の汗を拭って部屋から出ると、夢と同じように水月と雪さんが睨みあっていた。
まさか、あの夢は正夢か!
「覚悟はいい?」「雪は何時でもいいです」「いくわよ!」「二人とも…早まるな!」
『あいこで…しょ!』「あ〜、雪の負けです…」「買い物、宜しくね〜」
ずさー!
「あ、おはよう。ところで、何やってるの?」「別に気にするな…」「おはよう御座います」
「おはよう、雪さん」「あ、そうだわ!」「ん? どうした?」「買い物に一緒に行ってあげなさいよ」
「な、なんで、俺が〜!」「どうせ暇でしょ?」「それはそうだけど…」「雪では駄目ですか?」
雪さんは上目遣いで俺のことを見てくる。
「う…」
「すいません。無理につきあせたみていで…」「なあに、雪さんが気にすることじゃないって」
「ですが…」「どうせ、家に居たって暇を持て余すだけだから」「はぁ…」
「でも、こうして歩いていると、夫婦みたいだな」「え!」
それを聞いて雪さんは、顔を赤くして少し俯く。
「やっぱり、まずかったかしら?」「え、何がですか?」「あの二人を一緒に行かせたことよ…」
「別にいいと思いますよ」「そうね。私の考えすぎね…」
「雪さん。大好きだ!」「え、そんな駄目です…あなた様には、奥様が…」「水月の事か?」
「はい…」「俺は、水月と離婚する!」「え、そんなの駄目です…」「もう決めた事なんだ」
「やはり、駄目です。それでは、水月様があまりにも…」「だが、今の俺には雪さんしかいないんだ!」
「ですが…」「雪さん!俺は真剣なんだ!だから…」
ゆっくりと目を開け、辺りをゆっくりと見渡す。
買い物から帰って来て、少し疲れたので仮眠を取ったんでした。
でも、今の夢って…雪の願望?なのでしょうか?
コンコン…
『雪さん起きてる?』「あ、はい…」『ちょっと話があるんだけど、いいかなー?』「はい…」
何でしょう? まさか…いいえ、そんなことはありえませんね。
ドアを開けて中に入って来られ、雪の横に座られました。
「お話とはなんですか?」「雪さんはここに来てどれ位になるかなー」「そうですね…もう一年に近く立ちます」
「そうか〜、もうそんなになるのか〜」「ここにいらっしゃる皆さんには、大変お世話になりました」
「いや、世話になったのは俺達のほうさ。そうだ、これをあげるよ」
一つの箱を取り出して、雪に手渡してくれました。
「なんですか?」「雪さんがここに来て一年目の記念さ。じゃ、俺は行くな」
そう言われて、部屋から出て行かれました。箱を開けてみると、中には小さな雪だるまの髪飾りが入ってました。
鏡の前に行き、髪につけてみます。そして一言『有難う御座います。雪はとても嬉しいです』と呟く。
何時ものように、仕事へと取り掛かります。
|