480,000HIT記念品

ゆっくりと目を開けると、彼が窓辺に立っていた。

いけない、私…寝ちゃったんだ。

「ん? 起きたか。昨日は有難うな」「もう大丈夫なの?」「ああ、この通り」

彼はそう言って体を動かす。私はそれを見て、くすっと笑う。


「おはよう御座います」「おはよう、茜」「どうですか?」

心配そうな顔で聞いてくる。ニッコリと微笑みながら頷く。それを見た茜は、パッといつもの顔に戻る。

「今は何をしてるんですか?」「部屋で寝てるわよ。用心に越した事は無いから」「そうですね」

「水月先輩。コーヒーでいいですか?」「うん。お願い」「わかりました」

椅子に座り、何気なく天井を見上げる。

「どうしたんですか? 天井なんて見上げて?」

二つのカップを持った、茜が不思議そうに聞いてくる。

「ううん。何でもないわ」「そうですか…はい、先輩のです」「有難う」

茜からカップを受け取って少し飲む。茜は向かいの椅子に座る。

「水月先輩」「何?」「あとから、買い物に付き合ってもらえませんか?」「買い物? 別に良いけど…」

ちらりと部屋の方を見る。

「やっぱり、気になりますか?」

茜はニヤニヤしながら聞いてくる。

「べ、別に…」「顔、赤いですよー」「も〜茜!」


部屋で寝ていると、ドアが少し開いて閉じる。寝た状態からは、誰が入って来たのかはよく見えない。

しばらくして布団が盛り上がり、もぞもぞと動き出す。

な、なんだ!?

『彩様、何処に行かれたのですか〜?』

この声は、真那さんか。また、逃げてるのか〜……このふくらみは……。

バサ!

やっぱり…。

そこには、小さく丸まった彩が居た。それを見て頭を掻く。

またですか。

彩はしーっと口元に指を持っていく。

黙ってろって言われてもな〜。この前の事もあるし。

コンコン…。

『失礼します…』

ドアがゆっくりと開く。彩は完全に諦め顔になっている。だが、入って来たのは雪さんだった。

何故か二人揃ってほっと肩を撫で下ろす。雪さんはその光景を見て、首を傾げる。


「茜〜、これくらいでいいかしら?」「そうですね〜」

茜は買い物かごの中を覗きこむ。

「足りますかねー?」「もう少し、足しておきましょう。残ったら、食べれるし」「そうですね」


「そうでしたか…雪はてっきり…」「てっきりって…いったい何を想像してるんですか?」

雪さんはポッと顔を赤くする。

「どうせ!私とあんなことをしようとしてると思ったんでしょ」「はい…」

「いくらなんでも、こんなガキには手は出さないって!」「うがぁ!」「そうですよね」

雪さんは赤い顔しながら微笑む。

「ところで、何の用事で来たの?」「あ、そうでした!」

雪さんは思い出したように立ち上がり、俺の服に手をかける。慌てて、その手を振り払って部屋の隅に逃げる。

「ゆ、雪さん。子供の前で…」「え、雪は着替を…」「着替え…?」「はい…」

「まったく、何を考えてるのさ」「それくらい自分で出来るから…」「そうですか?」

雪さんは残念そうな顔をする。

「少し、後ろを向いてて下さい」「はい、判りました」

雪さんはそういうと後ろを振り返る時に、彩の目を手でふさぐ。

「うがぁ!何するのさ」「少しの辛抱ですよ」

ナイス!雪さん。この間に…。

着替えを済ませ、声をかける。

「雪はこれで失礼します」

雪さんは、着替えて服を持って部屋からでて行く。

「で、お前はどうするんだ?」「ここに居れば、奴も来ないから安心さ」

『あ、真那様。え、彩様ですか? このお部屋の中に…』「あんですと〜!隠れる場所…」

彩が隠れようと慌てふためいている所に、真那さんが入ってくる。

「彩様、こんな所にいらしたのですか。参りましょう」

真那さんは、彩を抱えて部屋から出ようとした時、何かを思い出したように振り返る。

「今度、このように匿うようなことをなさった時は…」

真那さんはそう言って、不敵に微笑んで部屋から出て行く。

今度は殺されるな…間違いなく。


490,000HIT記念に続く

おまけ

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