「え、彩ちゃん?」「彩ちゃんがどうかしたんですか?」「昨日、初めて会ったんだ」「そうなの?」
「でも、大空寺そっくりだな。話し方といい、外見といい…」「何言ってるのよー!」「そうですよー!」
「え?」「あの人は似ても似つかないほどに、言葉遣いなんて綺麗ですよ」
「それに、素直よ」「はい!? す、素直?」「そうですよ」「私もあんな子が欲しいわ〜」
あの親にして、この子ありってかて…。何処までそっくりなんだよ、まったく。
「水月先輩。頑張るの良いですけど、夜は静かにお願いしますね」
少し間があり、水月はボッと顔を赤くする。まんざら、冗談では無いらしい。
茜ちゃんはその場から逃げだす。
「あ、茜〜!」
水月はその後を追いかけて行く。
「まったく、平和だね〜」
そう言って、コーヒーをすすって居ると、真那さんが走って来る。
「こちらに、彩様は来れてませんか?」「いや…来てないと思うけど…もしかしたらこの下に…」
そう言って、テーブルクロスをめくろうとした時、足に何かあたる。
ん? 何だ?
真那さんに見えないように、そっと中を覗き込むんで納得する。
なるほどな。
「どうでしたか?」「居なかったよ。また、勉強中に逃げ出したのか?」「はい…そうなんです」
「やっぱりね。でも、勉強が好きな人ってそんなには…」「いいえ!彩様には立派なお方になってもらいます」
あははは…やっぱりそうですか。
「仕方がありません。他を探してみます。どうもお騒がせしました」
真那さんが行ったの確認して、テーブルクロスの中を覗く。
「行った?」「ああ…」「そう…」
彩は出てくるなり、辺りを見渡しす。
俺って、そんなに信用ないのか?
「大丈夫みたいね」「大丈夫だって言ったろ」「あんたの事だから…」
ふにゅ。
親に似てよく伸びるなー!
「はなへ〜!」「まったく!お前の親といい、お前といい。どうして、年上の人に対する言葉使いって…」
「ひるか!」「そんな事を言うのか? このまま、あの人の所に連れて行っても…」
暴れていた彩は一瞬でおとなしくなる。
「お!さすがにそれは嫌みたいだなー」
そう言って離してやる。
「真那さんって、そんなに怖いのか?」
彩は黙って頷く。
「確かにな…あの人は怖いよな〜。逃げるからだろ? 違うのか?」
彩は首を横に振る。
「なるほどな。あの人のことがから『どうしてこんな問題も判らないのですか!』とか言って、
ビシバシってムチとかで叩きそうだもんな〜」
彩が青い顔をして、ゆっくりと俺の後ろを指差す。
ま、まさか…。
ゆっくりと振り返ると、そこには…。
「誰がそんな事をしたって〜!?エ〜!」
慌てて、彩を抱えて逃げる
「待たんかいコラ〜!」「待てと言われて、待つ奴が居るかって…」
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