朝起きて目を開けると、目の前に大空寺顔があった。しばらく何も言わずに見つめあう。
ベットから飛び降り、パタパタと部屋から出て行く。
な、なんだったんだ〜いったい…?
「おはよう…」「あ、おはよう」
朝食の準備をしている水月が笑顔で答える。
しかし、朝から変な物を見たな〜。
「どうしたの?」「嫌な、朝から変な物を見たんだ」「変な…物?」「そう!」
水月は首を傾げる。
「そんな事より。朝ご飯、食べるでしょ?」「もちろん!」「もう少し待ててね」「おう!」
笑顔で答えると水月はニッコリと笑うい、そのまま台所へと消えて行く。
そういえば、大空寺にしては幼かったような〜? まあ、気のせいだなきっと。
水月が出してくれた朝食を食べる。
「大空寺…」「あん? 何か用事?」「何も無いのにお前を呼ぶような暇人は存在しない!」
「あんですと〜!」
大空寺は何時ものように吠えるが、気にせずに話を続ける。
「今朝、俺の所に来ただろ?」「あん? 何が悲しくて、お前の所なんぞに行かない行けないのさ?」
「そうか、とぼけるんだな!」「さっきから、何を言ってるのさ? 判るように説明しろ!ボケ〜!」
今朝見たことを大空寺に話す。
「それは、私であって私じゃないわね」「は〜? なに言ってんだ?」「凡人には一生判らないさ!」
ふにゅ!
「悪〜御座いましたね〜。どうせ、凡人の俺には判りませんよ!」「はなへ〜!」
「誰が離すか!馬鹿が!」「はんでふと〜!ほまえはんかへのこほのふんこふへ!」
「説明をするんだったら、離してやるよ!さ〜、どうする?」
大空寺はしばらく考えた後で頷く。
「はん!誰が教えるかボケ〜!」
大空寺はそう言って走って逃げて行く。
「待てコラ!」
大空寺を追いかけていると、脇から出て来た人にぶつかる。
「あいててて…」「どこ見とんじゃ〜!ボケー!」「え…?」
声の無視をジーっと見る。
「あに見てるのさ?」「大空寺…なのか?」「あん? 当たり前のこと聞くな〜馬鹿!」
何だ、このミニ大空寺は? まあ、大空寺も小さいが…こいつはさらに小さい。
「あにやってるのさ? うがぁ!」「ん!?」
驚きの顔をしながら、2人の大空寺を交互に見る。
「こうなったら仕方が無いわね。この子は私の子供さ」「こ、子供〜!子供が子供を産んだのか!?」
「うがあああぁぁぁ…!誰が子供じゃ〜!」
無言で大空寺を指差す。
「お前しか居ないだろ。他に誰が居る? 居るんだったら教えてくれ」
「彩さま、こんな所にいらしたんですか〜」
声がした方を見てみると、真那さんが立って居た。
「マナマナ…お久しぶ…」
ガン!
「マナは一つですよ」「はい…」「それでは、彩さま。お勉強の…」
真那さんは辺りを見渡す。
「彩様〜!どちらに行かれたのですか〜?」「勉強が嫌で逃げまわってるんだな」
「そんな事は、絶対にありません!彩様の将来について…」
長くなりそうなので、その場からそっと立ち去る。
大空寺の子供か〜。まて、だとすると…父親は誰だ? それに、何時からこの家に居たんだ? 謎だ〜。
「あ、雪さんがケーキ焼いてくれたのよ、一緒に食べましょう」「マジで!喜んで!」
ダイニングに行き、雪さんの手作りのケーキを食べる。
「なー、水月…」「何?」「今回は、特訓しても無駄だと思うぞ? あれは人間技じゃないし…」
「前だって、成功したもん!」「アレは、普通の人間だったからで。今回は、異世界の人だぞ」
「異世界…? だったら、なおさら負けられないわ! 人間の凄さを見せ付けてあげるわ!」
「頑張れよ…俺はこれを…う…体が…しびれて…」「ふふふ…逃げようなんて、あまいわよ!」
「また…雪…さんの…薬か…?」「ううん…自作よ。さ〜、付き合ってもらうわよ〜」
水月はそう言って、俺を部屋へと連れて行く。
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