420,000HIT記念品

この前、撮った写真をテーブルに置き、水月の方を見る。

「あの〜…水月さん…」「どうしたの?」

水月は不思議そうな顔で俺を見る。

「ちょっと相談が…」「お小遣いの追加は、一切!受け付けません!」

ガーン…。よ、読まれてる。

「でもさ、今月はお年玉とか…」「それはそれ!これはこれよ!」

そ、そんな〜。

「大体、月初めにあげた中から出しても、十分にやって行けるはずよ」「それは…」

「でしょ? 第一、余分なお金を渡したら何に使うか…」「俺は子供か〜!」「あれ、違うの?」

水月は驚いた顔をする。

「いいよ…どうせ…どうせ…」

部屋の隅でいじける。

「水月先輩…あれ、どうしたんですか?」「お小遣いの追加くれって言うのよ」「あげないんですか?」

「もちろん!」「私はあげても良いと思いますよ」

その言葉に反応し、素早く茜ちゃんの手を取る。

「そうだよねー、少しくらいだったらいいよねー」「あ、はい…」

茜ちゃんは困った顔をする。俺はゆっくりと水月の方に振りかる。

「あげないわよ!」

水月は呆れた顔できっぱりと言う。それを聞いた俺は床に頭をぶつける。

「何をしても、追加は認めないわよ!」

水月はそう言って、何処かへ行ってしまう。俺は床に手をついて絶望する。その時、肩をやさしく叩かれる。

「どうかしたんですか?」

顔を上げると、雪さんが心配そうな顔でこちらを見ていた。雪さんに事情を説明する。

「でしたら、雪にお任せ下さい」

ドンと胸を叩き、そのまま何処かに行ってしまう。

いったい、何をしに行ったんだ?


「ね〜永遠」「ん〜?」「この前の約束、覚えてるわよねー?」

それを聞いた永遠は、そとくさと逃げ出す。

「あ、待て〜!」「待てと言われて、待つ奴が居るか〜!馬鹿〜!」

ふ〜ん。そんなこと言うんだ。だったら、こっちにも考えがあるわよ。

「あのこと、ばらされても良いんだー」

それを聞いた永遠の動きはぴたっと止まる。錆付いたロボットのように、ゆっくりこっちを見る。

「ま、まさか…あのことか?」「さてね、何のことかしらねえ。忘れてないと思うけど、こっちには…」

「すいませんでした!どうか、内密に!」

永遠は私の前でペコペコと頭を下げる。こんな時、相手の弱みをたくさん握っていると楽である。

「まこちゃん。どうしたの?」「あ、みなも。ちょうど良い所に」「ん?」「永遠がね〜、お年玉でね…」

そっと耳うちをする。

「え〜!そんな…」「大丈夫よ。ねー永遠〜」

不適に笑いながら永遠の方を見る。それを見た永遠は顔を青くする。

「皆で何をしてるの?」「あのね。永遠が何でも好きな物を、好きなだけ買ってくれるって!」

「な、何〜!」「あら、嫌なのかしら?」「うぐぐぐぐ…」


は〜…今月は、これだけで過ごさないといけないのか〜。

財布を見ながらため息を付く。

さすがにきついよな〜、この残金は…。仕方が無いかもな、この家の経理は、水月が仕切ってるからなー。

「本当に無いのねー」「どわ〜!み、水月〜!」「何よ、バケモノでも見たみたいに…」

「バケモノだけどな…」「何か言った?」

水月はギロっと睨みつける。

「いいのよ…私は、要らないんでしょ。これ」

水月は5万円を俺の前にちらつかせる。それを取ろうとするが、軽々と避けられる。

「これをあげても良いわよ!」「え、マジで!」「そう。でも、条件があるわ!」「条件?」「そう…」

水月はニッコリと笑う。その時の笑顔は、悪魔の微笑みに見えた。そして、コトとあるものが置かれる。

「特訓に付き合ってくれたら…」「やります!ぜひ、やらせて下さい」

これで5万って安いような…でも…これはさすがに。今はそんな事を考えてる時じゃない!やるぞー!

「で、何でまた特訓なんだ?」「これよ、これ」

水月は一枚のチラシをテーブルに置く。

「なになに…カレーの大食い…」「そう!今度は絶対に負けないんだから!」

水月は燃え上がる。

「でも、あの人が出て来るって決まった…」「ここよ!前回、優勝者に挑戦って書いてあるでしょ!」

「そうだな。でも、前回の優勝が…」「前回の優勝者も同じ人なのよ」

もしかして…調べたのか? 普通…そこまでするかー。

「だからこれは、私のリベンジなのよ!だからお願いね」「でも、本当にくれるのか?」

水月の持っている、5万を指差す。水月はため息を付く。

「いい、これは優勝賞金なの!」「な、何〜!」「だから、私に勝ったらあげるわ」「さっきと話が…」

「始めるわよ!」「2人とも準備はいい?」「涼宮。いったい何処から?」「始め!」


430,000HIT記念に続く

おまけ

戻る