410,000HIT記念品

「雪さん!そっちお願い!」「はい!任せて下さい」「茜!」「判ってます!」

新年になると恒例の福袋を買いに来ている。俺はベンチに座り、その光景を眺める。

「それにしても、よく粘るなー」「そうだね」「あそこまでして、欲しいのかね〜?」「きっとそうだよ」

「ところで、涼宮は買わないのか?」「私は、買ったから」

涼宮はニッコリと笑いながら、二つの袋を俺に見せる。

いったい、何時の間に…。あの状態だと、とても無理だろうし。

「水月先輩!ゲットできました!」「さすがね!」「私もゲットできました」「それじゃ、本腰入れていくわよ!」

「はい!」「判りました!」

結局、この三人が福袋のほとんど買い占めたのは、言うまでも無い。


「は〜、疲れた〜」「さすがに…これは疲れますね」「そうですね…」

3人は、買い占めた福袋と一緒に玄関に倒れこむ。

まったく、そんなになるまで頑張るか…普通。

「お、遙。お帰り」「孝之君、ただいま」「何だ水月、そんな所に倒れて〜もう歳だな〜」

孝之のその言葉に、水月の触覚がピクと反応する。

「誰が、歳ですってー!」「うわ!落ち着け…水月…」「待て〜!」

水月は、逃げる孝之を追いかける。俺はそれを見て苦笑いを浮かべる。

「ところで、どんなの買ったんだ?」

転がっている福袋を持ち上げながら聞いてみる。

「それは、必要なのもです」

茜ちゃんが立ち上がりながら言う。

「それはそうだろ…普通な。俺が聞きたいのは…」「お洋服等ですよ」

何時の間にか、メイド服に着替えた雪さんが答える。

「ふーん、そうなのか。涼宮は何を…って居ない!いったい何処に…」「きっと、自分の部屋です」

「部屋で何を…」「きっと、今日の収穫分を選別しに行ったんですよ」

「これはいる、これはいらないって感じか?」「多分、そうです」

なるほどな。それしても、素早いな。



「孝之!何処に行ったの!」「まだやってたのか?」「当然よ!私のことを年寄りって言ったのよ!」

「まんざら、嘘でもないかも…」

俺の発言に水月はギロっと睨む。それを見て、惚けたた顔をしながら頬を掻く。

「それくらいで許してやれよ。孝之だって悪気が…あったかも…な」

そう言ってポリポリと掻く。結局、孝之は捕まりってツリー用の気に吊るされたらしい。


スカ!

「ほら、顔だせ」「タケルちゃん、強すぎ」「お前が弱いだけだ!」「武、このような時は…」

「そうだよ!こんな時は、女の子に花を持たせるのが普通だよ!」「それは、相手が女だったら…だろ?」

「う、うん…」「だったら、純夏は違うな!」「どうして?」「だって、純夏は男だからな!」

ガーン…。

「あれ、違ったのか?」「武、それは言いすぎではないか?」「そうだよ!タケルちゃんの…馬鹿〜!」

「馬鹿って言った奴が馬鹿なんだぞ!」「武、それくらいでやめておけ。鏡もだ」

「ブ〜!ブ〜!」「仕方が無い、私が鏡の変わりにやってやろう」

「冥夜さん、タケルちゃんなんかに、手加減なんか必要ないからね」「では、尋常に参る!」


テレビを見ていると、トコトコと俺の前に永遠がやって来て笑う。

「テレビが見えないだろ」

何を貰いに来たかは、一目瞭然だった。

「そこを退かないと、やらんぞ」「え!あ!」

それを聞いた、永遠は慌てて飛びのく。そして、俺の方をジーと見る。

「お前が欲しいのは、これか?」「うん、それ!」

小さな袋を取り出して、目の前で揺らす。すると永遠は尻尾を振って喜ぶ。

「ほれ!」

ポーンと投げると、飛び上がりキャッチする。そして、中身を確かめだす。

は〜…さすがに、きついよな〜。五千円は…水月は追加はくれないだろうし、どうやって過ごそう…今月。

今度は、服をクイクイと引っ張られる。振り返ると三人娘がにこやかに笑う。

ため息をついて、三つの小袋を取り出して、一人一人に渡して行く。

だが、どう考えてもおかしいのが混ざっている。

「おい!大空寺…何をやってる…」「見れば判るでしょ!」

ふにゅ

「あいだだだだ…」「何で、俺がお前にお年玉をあげるんだ〜!え〜!」

横に大きく引っ張る。

「はなへ〜!ほけ〜!」

しばらく引っ張って離す。

「お前にはこれで十分だ!」

玉を取り出し落とす。

「あん? 何なのさ?」「お年玉だ!受け取れ!」

「うがあああぁぁぁぁ…!ふざけるな〜!さっさとよこしやがれ〜こんちきしょがー!」

「お前には一銭もくれてやらん!」「そんな、酷いです…私にあんなことやこんなことをしたのに…」

「何時!俺が!お前に!あんなことやこんなことをしたんだ? え〜!嘘も対外にしとけよ!」

大空寺と睨み合う。大空寺はふてくされて、何処かに行く。

まったく、何を考えてるんだよ。ん? 何だあれ?

目の前を見るからにウール100%の物が通る。目をこすり、再度見てみるが見間違いではなかった。

な、何だ?! あれって、羊だよな〜。なんで、二足歩行してんだ?

唖然と眺めている間に、その羊は何処かに行ってしまう。


「武、これくらい止めておかぬか?」「タケルちゃんの顔、真黒だもんね」「お前が人のこと言えるのか?」

「私は、タケルちゃんよりましだもん!」「なら、こうしてやる!」「きゃ!止めてよ」

ペタ…。

「あ!」「あっ…委員長…」「ちょっと良いかしら? 何で私が墨を塗られるのか、説明して頂戴!」

「ぜ、全部。タケルちゃんが悪いんだよ」「そうよね。鏡さんがそんなことさせるわけ無いわよねー」

「ちょ、ちょっと待て!俺はだなー…」「問答無用!」

「鏡、あの者は何処からラクロスのラケットを何処から出したのだ?」「……謎だね」「本当だね…」

「白銀!待て〜!」


「雪さん」「はい、何でしょうか?」「さっき変な物を見たんだけど」「変な物ですか?」「そう!」

雪さんにさっき見た物を説明する。すると、雪さんはニッコリと微笑む。

「それは、雪です」「はい?」「お正月ですから」「は〜…」「ですから、羊さんの格好をしてみたんです」

「そう…なんですか…」「はい!」

そんな笑顔されたら、追求する気も無くなるぞ。まったく、正月そうそう何だかな〜。

「あ、ちょうど良い所に居た」「ん? 何だ?」「ちょっと外に出て欲しいんだけど」「何でまた?」

「良いから!」

俺は、水月に引っ張られながら外へと出る。

「いったい何をするんだ?」「写真よ!写真」「写真?」「そ、皆で撮るのよ」「何で?」

その返しに水月はむっとする。

「並んで〜」「うわ〜!」「写真をとるまでは判ったが、なんでカメラマンが涼宮なんだ?」

「やりたいってきかなかったのよー。でも、大丈夫よ。セルフタイマーだから」

俺はそれが一番、心配なんだが…。押すまでは良いとしても、こっちに来る間に転んでそれがそのまま…

「どうしたの? うかない顔して?」「何だか、物凄く嫌な予感がしてな…」

水月は不思議そうに首を傾げる。

「撮るね〜!」

涼宮は、セルフタイマーを押して、こっちに走って来る。そして、俺の予想は現実の物となのであった。


420,000HIT記念に続く

おまけ

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