400,000HIT記念品

目の前にある、大きな注連飾りを呆然と眺めている。そこには、雪さんが引っ付いている。

「雪さん…また何かやったんですか?」「雪は何もしていません…」

ならなんで、そこに居るんだよ。また、水月の機嫌でも損ねることしたんだろうな…きっと。

「何もしなくて、そんな所に居るのは可笑しいだろ?」「ですが、雪はただ…」「ただ…何?」

雪さんはポッと顔を赤くする。

いったい…何をしたんだ? とりあえず、降ろしてやるかー。

雪さんを降ろして、初詣に行く支度をするように言う。しばらくして、後ろから水月が声をかけて来る。

「ごめんね。遅くなっちゃって」「それは別にいいけど…」「それじゃ、行きましょうか!」

「あ、ちょっと待った。茜ちゃん達も行くんだろ?」「うん、そうよ」「だったら、一緒にさ〜」

水月は少し考えて頷き、皆を呼びに行く。しばらくして、皆が出てくる。

やっぱり、雪さんの着物姿はいいな〜。でも、茜ちゃんも捨てがたい。

デレ〜っと見ていると、水月に耳を引っ張られる。

「ほら、さっさと行くわよ!」「あいててて…判ったよ」



「うわ〜。やっぱり込み合ってますね〜」「さすが、考えることは同じなんですね」

俺達は、凄い人込みの見て驚く。

「さっさと終わらして、帰りましょ」「そうですね」「はい、判りました」「子供達はどうするんだ?」

「それは、お兄ちゃんに任せます!」「お、俺にか!?」「それじゃ、行くわよ!」

人込みを掻き分け、何とか賽銭箱の所にたどり着き、賽銭を入れて手を合わせる。

その後は、お決まりのおみくじを引きにいく。すると、そこにはどこかで見た人影あった。

ん? あそこに居るのは。

「あ、遙じゃない」「あ、水月〜。それに、茜と雪さん」「お姉ちゃん、1人なの?」「孝之様は?」

「うん、さっきまで一緒だったんだけど、はぐれちゃって」

涼宮は照れくさそうに笑いながら、頬をポリポリと掻く。

「じゃ〜、俺達と一緒に居るか?」「そうね、その方が安心ね」「うん、そうだね」「じゃ、引いてみるか」

早速、おみくじを引いてみる。

「ねー、何だったの〜?」「俺か? 俺は中吉だ。水月は何だったんだ?」「私は、吉よ」

「わ〜、私も吉ですよ」「あ。私は、末吉です」「で、お姉ちゃんは?」「え、私は大吉…」

さすが、涼宮だな。見事に大吉を引き当てるとは。

子供達も、恵ちゃんが大吉を引き当てていた。

「お姉ちゃん、知ってる?」「え、何?」「大吉はねー、落ちるだけなんだよ」「え〜!」

「茜、あんまり遙をからかわないの!」「はい〜」「ねえ、今のって…嘘だよねー?」

涼宮は、おどおどしながら俺に聞いてくる。

俺に聞かれてもな〜。第一、俺もそんなこと聞いたことあるし〜。

「大丈夫よ。遙の強運は今に始まったことじゃ無いでしょ」「そうですね」「それは言えてるかもな」

涼宮はそれを聞いて、凄く複雑そうな表情をする。おみくじを結び付けて、お守りなどを買いに行く。

そこには、金髪のツインテールと猫の髪飾りをした巫女さんが居た。

「いらっしゃいま…うがぁ、あんでいんのさ!」「それはこっちの台詞だ!何でそんな格好をしてんだ?」

「はん!あんたには、関係ないさ!」「それはですね、先輩が…うぐうぐ…」

大空寺は慌てて、玉野さんの口を抑える。

「まさか、すかいてんぷるが休みだからって、それに乗じて巫女さんのバイトしてるんじゃー」

大空寺は小さく飛び上がる。

「そ、そんな事無いさ…」「あからさまに動揺してる奴が何を言う」「う、うっさいわ!ボケ〜!さっさと買えや!」

「心配するな。このことは、店長には黙っててやるよ。感謝しな」「はん!これは、健さんから頼まれたのさ」

「せ、先輩…自分でばらしてます〜」「うがぁ!」

馬鹿だ。こいつは大馬鹿者だ。


「あ、鳩が居るよ」「わ〜、本当だ〜」「餌、あげてもいい?」

ジーと俺のことを見つめる、みなもと恵ちゃん。餌を買ってやると、2人は嬉しそうに鳩の所に行く。

「わ〜、鳩さんがいっぱい」「お姉ちゃん、絶対に行ったら駄目だからね。前例があるんだから…」

涼宮は、茜ちゃんに釘をさす。

「うー…。もう大丈夫だよー。私だって、同じことは二度としないかもん!」「なら、あれはどう説明するの?」

茜ちゃんの指差した先で、恵ちゃんに鳩が群がっていた。何故か、みなもも巻き添えをくっていた。

「助けに行って下さい!」「ほら、さっさと行く〜!」

水月と茜ちゃんは、そう言って俺をその中に放り込む。


家に帰り、水月に手当てをしてもらう。

「あいててて…」「これくらい、我慢しないさいよ。男でしょ!」「痛いものは、痛いんだ!」

「そう!だったら、やめる?」

水月は勝ち誇ったような顔で俺を見る。

「こんな中途半端な状態でやめるのか?」「だったら、文句を言わないこと!」「判りました…」

手当てを終えて、水月が俺の横に座る。

「今日は…、有難うね」「なかば…強引だったけどな…」「だから、こうしてお礼を言ってるでしょ!」

水月は照れくさそうに言う。そんな水月は凄く可愛く見える。

「ねー、それより」「ん?」「お守りとかは?」「あ〜!」「もしかして…忘れたの?」

「あははは…」「そうなの? そうなのね…」「今から、行って来るから」「さっさと行かないと、打つわよ!」

水月は、自分の頭の毛に力をため始める。

「ま、待て。今から行ってくるから」


薄暗い部屋の中で、三枚の写真をじっと見つめる。

「去年は駄目だったけど、今度はうまく行くわよね」

不適に微笑みを浮かべながら、一枚ずつテーブルの上に置いて行く。

「最初は、孝之ちゃん。そして、次は武ちゃん。そして最後は…2人と一緒に暮らしてる…ふふふふ……」


410,000HIT記念に続く

おまけ

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