ブラックBOX
すかいてんぷるの前に立って考え込む。

何で俺が呼ばれたんだ? だいたい、俺はこことは何の関係も無いはずだし…。なんだ〜。

すかいてんぷるのドアが開き、玉野さんが出て来る。玉野さんは俺に気が付いて、中に消えて行く。

しばらくして、大空寺を連れて戻って来る。

「随分と遅かったわねー」「俺だって、いろいろと忙しいんでな」「そうなんですか〜。ご苦労さまです」

「で、用事ってのは?」「中で話すさ」「こちらです」

大空寺の後に付いて、裏へと入って行く。

「ここさ」「ここって、休憩室だよなー?」「はい、そうです」「ここで何をさせようって言うんだ?」

「アレさ」

大空寺が指差した先には、黒い箱が置いてあった。

「今日、届いたのさ」「誰宛に?」「それが、不明なんです」「不明?」

箱に近づいて見てみると、確かに差出人の名前は何処にも無かった。

「本当に、届いたんだな?」「さっきから、そう言ってるじゃないさ!これだから、物覚えの悪い奴は…」

大空寺はヤレヤレと首を横に振る。

「こんな箱って…爆弾ってケースが良くあるよな」「ば、爆弾ですと〜!」「そうね、よくあるわね」

俺は大空寺の肩に手を置く。

「大空寺、今なら罪は軽くて済むぞ」「あん? 何言ってんのさ?」「全部、お前のせいだろ?」

「あんですと〜!何で、私なのさ?」「この中で、最も恨みをかってそうなのは、お前だからな」

「あんですと〜!」「先輩だったら、ありそうですね」

「うがあああぁぁぁ…!何で私が恨まれるんじゃ〜!ボケ〜!私は、当然のことをしてるだけよ

何でそれで恨みをかうのさ!」

「少しは、自覚した方が良いぞ。自分がどれだけ人に迷惑を掛けているか」

「あんですと〜!何で、私がそんな事をしないといけないのさ!」

は〜、ヤレヤレ…。自覚が無いってのは困りものだな。とりあえず、確かめてみるか〜。

そっと、箱に耳を近づけてみる。

これで、時計の音がしたら間違いなく、爆弾だ。

「おい!あにしてるのさ?」「どわ〜!いきなり声をかけるな」「何をなさってるんですか?」

「こうして、耳を近づけて音を聞くんだ」「あんでさ?」「音がすれば、爆弾。しなければ、違う」

「なるほど!そのような手がありましたか!」「そんなこと知ってるんだったら、さっさとしろや!」

「だから、今やろうとしてたんだろうが!まったく、これが爆弾でも俺は知らんぞ」

再度、箱に耳を近づける。

「おや、皆さんお揃いで何をなさっているのですか?」「今度は店長さんですか?」「はい、何でしょうか?」

「ここに、爆弾が送られて来たかも知れないんです」「爆弾ですか? それは困りましたねー」

何で、この人はこうも冷静なんだ?

「で、その爆弾は何処にあるのですか?」「これです。でも、まだそうと決まったわけじゃ〜」

「おや、これは私宛の小包ですねー」「え!店長さんの?」「はい、実家から送ってもらったんです」

「まさか、またあのキノコじゃないでしょうね?」「いえいえ、今度は違いますよ」

それを聞いて、大空寺と一緒に肩を撫で下ろす。

「今回は、何を送ってもらったんですか?」「先日、やりました。闇鍋を皆さんとても楽しそうに出したので…」

「まさか!また、やろうって言うんじゃ無いでしょうね!」「はい、そのつもりですが…」

「まー、良いじゃないか。今回はあのキノコも無いって事だし」「私は、また鍋奉行になれます」

「ええ、そうですね」「ところで、店長さん…」「はい? 何でしょうか?」「そのキノコって…」

「安心して下さい。前のようなことは絶対にありませんから」

その自信は、いったい何処から来るんだ? 自分が食べても、何とも無いからって所からなのか?

「このキノコは、とても貴重な物なんですよ。このキノコを食べると、性格が逆転する人が居るようなんです」

それって、もしかして…。あのキノコですか…店長さん。

「では、今日にでも早速、闇鍋をしましょう」「鍋の事は、この玉野まゆにお任せ下さい」

「それでは、玉野さん宜しくお願いします」「御衣!」

あ〜、先が思いやられるぞー。

「あに腐ったかをしてんの?」「多分、あのキノコは…」「あんですと〜!そ、そんなキノコが!」

「実際に存在するとはな」

ーENDー



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