360,000HIT記念品 |
会場に行き、水月に引っ張られながら、あそこに連れて行かれる。 「ねー、これ美味しそ〜」 子供のようにはしゃいでいる水月を尻目に、俺は財布の中身を心配する。 「何よ〜、楽しくないの?」「あのな〜、俺は財布係なんだぞ」「そうよ!」「それの何処が楽しいんだよ」 「うーん、それもそうね。でも、自分のお金なんだから、なおさら楽しまないと!」 その後も、永遠と水月に連れまわされる。 『それでは、ただいまより!芋きんつば大食い対決を開始します!』 アナウンサーの掛け声と共に、会場は大いに盛り上がる。 『制限時間は10分! 優勝所品は、家族で温泉旅行だ〜!』 「ねー、何か騒がしいわねー」「あー、あれか。あれは、芋きんつば大食い大会だ」 「芋きんつばの大食い?」「そうだ。確か…涼宮と恵ちゃんが出ると言ってたなー」「せっかくだから、応援しよ」 「そうだな、せっかくだしな」 会場の人ごみを掻き分けて、先頭まで行くと茜ちゃんが居た。 「あら、茜じゃない」「あ、水月先輩」「もしかして、茜ちゃんも応援かい?」 茜ちゃんは溜息をつく。 何で、溜息なんて? 「お姉ちゃんが『明日は、絶対に見に来てね!』って言うから来たんです」「そうなんだ」「はい…」 「で、二人は何処?」「あそこです!」 茜ちゃんは恥ずかしそうに指差す。そこでは、涼宮と恵ちゃんが火花を散らしながら、凄い勢いで食べていた。 何だよ…あそこだけ、別次元だなよ。 『さ〜残る挑戦者は、あと二人!勝つのはどっちだ〜!』 水月が俺の体を突っつく。 「何だよ?」「どっちが勝つと思う?」「そうだなー。やっぱり、涼宮だろ。なんていっても元祖だからな」 「じゃ、私は恵ね。負けた方は、何でも言うこと聞くのよ!」「望む所だ!」 茜ちゃんは、その光景を見てやれやれと首を横に振る。 鐘が鳴り響き、大食い大会は終了する。俺は、涼宮の食べた量を見て勝ちを確信する。 「どうだ!俺の勝ちだろう!」「何言ってるの? あれ見なさいよ」「え!」 恵ちゃんの方を見てみると、涼宮より一つ多く食べていた。 「あんですと〜! そ、そんな馬鹿な…」「どうやら、この勝負は私の勝ちみたいね」 「水月先輩、いったい何をさせるつもりなんですか?」 水月はニヤリと笑う。その顔を見て、背筋に寒気が走る。 「それはもちろん!」 水月の言葉に生唾を飲み込む。 「カレーを食べてもらうのよ〜!」「何〜! それだけは…勘弁してくれ〜」「絶対に食べてもらうからね!」 最悪だ。あんな勝負するんじゃなかった。 そんな事を思っても、もう後の祭りである。 「あ、水月〜!」「残念だったわね」「うん…。でも、仕方が無いよ。ねー、どうしたの?」 「賭けに負けて、水月先輩のカレーを食べることになって、落ち込んでるだよ」 「あ!カレーで思い出したけど、水月も出るんでしょ?」「え!? 何を言ってるの?」 「ほら、ここ」 涼宮はチラシのある場所を指差す。そこには『カレー大食い!』と書いてある。 「出るんでしょ?」「な、何で私が…」「ほ〜、負けるのが怖いんだな」「何ですって〜!」 「あ、復活した…」「だったら、出るんだな!」「見てなさいよ!絶対に優勝してあげるわよ!遙、受け付け何処?」 「あ、こっちだよ…」 水月は涼宮と一緒に受付をしに行く。 「あんな事いって、知りませんよ」「大丈夫だって。これで嫌ってほどカレーを食べれば、作る気力もなくなるだろ」 「その考えは、物凄く甘いと思いますよ」「どうして?」「いずれ判ります…」 茜ちゃんの思わせぶりの台詞が凄く気になる。 『それでは!ただ今より、カレーの大食い大会を開催します!』 |
ー370,000HIT記念に続くー |