痴漢!?
午前中の授業も終わり、机でへたれるていると水月がやって来る。

「はい、お弁当!」「お!サンキュー」

水月の差し出した弁当箱を受け取り開けてみる。

「何だー、何時もと一緒かよー」「何!文句でもあるの? だったら、食べなくていいわよ!」

水月はヒョイっと弁当箱を取り上げる。

「うわー!俺は悪かった、だから食わせてくる」

水月は、ただ黙ってジーと俺の顔を見る。

「今度、同じこと言ったら…」「判りました!」「宜しい!」「水月〜…」

声がした方に目をやると、教室の入り口の所に涼宮が立っていた。

「なんか、水月に用事らしいぞ」「ちょっと行って来るわね」

水月が涼宮の所に行った後、弁当を美味しくいただく。

しばらくして、水月が戻って来て俺を引っ張りながら、廊下へと連れ出す。

「何だよ!いきなり、俺は食事中だったんだぞ!」

水月は俺の言うことなど、まるで聞いていなかった。

「遙、さっき言った事もう一度言ってもらえる?」「うん…」

涼宮は、顔を赤くしながら小さく頷く。

「あのね……」


「冗談もほどほどに…」「あんたは!いったい何を聞いてたの!」「やっぱり、駄目だよね…」

「どうして、俺らなんかに話すんだ? 孝之に頼めばいいんじゃないか?」

「あのね。孝之君に言ったら『それだったら、あの2人に相談しろよ。きっと、頼りになるぞ!特に速瀬が』って」

「ふーん、孝之がそんな事をねー」

ちらりと水月の手を見てると、ソフトボールが握られていた。

「まー、とりあえず。明日、調べてみるな」「うん…お願い」「任せといて!」

「ご飯の邪魔しちゃって、ごめんね」「気にするなって」「そうよ!それより、遙」

「どうしたの?」「孝之何処に居るか知ってる?」「孝之君なら、あそこだよ」「あそこか〜!」

水月はそう言うと、凄い勢いで消えて行く。

「じゃ、またな」「うん、バイバイ」

涼宮と判れて教室に入り、弁当を食べようとした瞬間にチャイムが鳴り響く。

俺の昼飯〜、うううう…。


翌日

「あの〜、水月さん?」「どうしたの?」「一つ聞いてもいいですか?」「だから何?」

「何で…俺は、こんな格好をしてるんですか?」「当然でしょ!男の格好だと、何の意味も無いでしょ!」

「だからって!なんで、俺が女装して!水月は、男装なんだよ!」「あら、可愛いわよ」

「そ、そうか……は!そうじゃなくって!」「あ、電車来たわよ」

うまく逃げたな。

電車に乗り込んだ時は、人はあまり居らずいたって平和だった。

「本当にこの時間だったのか?」「間違いないわ!」

でもなー、この状況だとなー。

何駅か過ぎる頃には、身動きも出来なくなっていた。

「うぎゃ!いたたたた…」「ちょっと!」「ひぎゃ!」「どうしたの?」「触ってる…」

水月は、気が付かれないように注意しながらその手を掴む。

「あんただったのね!この痴漢!」

電車が駅に着き、その男を駅員に引き渡す。

「これで、もう大丈夫だよなー?」「たぶんね。でも、本当によく似合ってるわね」

「水月〜!」「あ、遙。痴漢は捕まえたわよ!」「本当。ありがとう」「これくらい、当然よ」

「ねー水月」「ん?」「その子、誰なの?」「えーと…ねー」「よ!涼宮」「もしかして…」

「そ。俺だ!」「そんな趣味があったの?」「あるか〜!」

服を着替えて、帰りに涼宮に事情を説明する。

「ふーん、そうだったんだ〜。私は、てっきり…」「言っとくが、二度としないぞ!」

「安心して、今回だけだから」「ならいいけど」「痴漢が出なかったらの話だけど…」

「ん? 今、何か言ったか?」「ううん、何も言ってないわよ。さ、早く帰りましょ」



翌日

「昨日、凄く可愛い子を見かけたぞ」「あっそ!」

あ〜の事なんて思い出したくも無い。もっとも恥ずかしい格好して、電車に乗ったんだからな。

「ほら、見てみろよ。可愛いだろ」「ん?」

孝之が差し出した写真を見てみると…。

「孝之君!ちょっといいかな!」「な、何だよ!」

孝之を人気の無い所に連れて行く

ーENDー



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