370,000HIT記念品
涼宮が急いで戻ってくる。

「水月は受付に間に合ったのか?」「うん、ギリギリだったけどね」「あ、水月先輩ですよ!」

水月は席に座るなり、俺を睨み付ける。その目は『見てらっしゃい!絶対に優勝してあげるわよ!』と言っていた

あの目は…マジだ。

『こちらも、制限時間は10分! それでは、よーい……スタート!』

アナウンサー合図と同時に食べ始める。

「うわ〜…凄いですねー」「まったく、どうやって食べてるんだろうな〜」「口からじゃないの?」

「やっぱり水月先輩、かなり速いですね」「そうだな。好きなのは知ってたが、ここまでとは…」

茜ちゃんと呆然と、その光景を見つづける。



「やったよ!」「おめでとう! さすが、恵ね」「まさか、遙さんに勝つなんて」

恵は胸を張る。

「で、その景品どうするんだ?」「うーん…皆で行こう!」「私達だけで?」

恵は首を横に振る。

「さすがに、それは駄目だよ。だから、雪さんとか、水月さんとか一緒にだよ」「それいいかもね」

「そうだね。きっと皆も喜ぶよ」「で、それは何処の宿泊券なんだ?」

恵は封筒を開けて、中身を取り出して固まる。

「ん? どうした?」「ちょっと見せて…」「もしかして、字が読めないとか言うんじゃ無いでしょうねー」

3人は、宿泊券を見て恵同様に固まる。


『さー、残り時間は残りわずか! どの選手もラストスパートだ〜!』

おいおい…どの選手って、二人しか残ってないぞ。

1人は水月。もう1人は水月と同じ髪の色で、眼鏡をかけている人だ。

「よく頑張りますねー」「まったくだな。水月にあそこまでついて行く奴が居るとは…」

「でも、いったい何者ですかねー?」「もしかたら、匂いだけでご飯が3杯位食べれる人かもね」

涼宮が言い終わると同時に、2人で涼宮の顔を見る。

「お姉ちゃん!」「そんな奴、居るはずが無いだろ!」「そうですよ!」「うー、2人とも顔が怖いよ」

『そこまで〜!』

掛け声と共に、2人の動きがピタリと止まる。

勝ったのは…どっちだ?

『勝者!シエル選手!』「あの人って、シエルって言うんですね」「そうらしいな…」

「凄いですね、あの水月先輩を負かすなんて」「そうだな。ま、これでカレーは当分は食べなくて済みそうだな」

「それは無理だと思うよ」「何だよ、涼宮まで。そんなに俺に食べさせたいのか?」

「ううん、そうじゃないけど。絶対に食べないといけないよ」

その時、背中に物凄い殺気を感じ取り、ゆっくりと振り返る。

「残念だったなー。また次回があるって…」「そうね。次回があるわね!だから…」

物凄く嫌な予感が…。こんな時の、予感は確実にマイナスな事なだよな。

「そのために、特訓よー!さー、特訓に付き合ってもらうわよー!」

水月は俺を引っ張りながら、会場を後にする。

「やっぱりね…」「うん、だから言ったのに〜」「誰か〜!助けて〜くれ〜」



「ねー、これどうするの?」「家に持って帰って、テーブルの上に置いといたら?」「それがいいかもな」

「そうだね。誰かが見つけてくれるよね」「そうそう…」

皆でチケットを見る。そこに書かれているのは、まぎれも無く自宅の住所が書いてある。

「まさか、真那さんが始めた旅館の券だとはな」「そうだね…」

380,000HIT記念に続く


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