380,000HIT記念品
水月から、例の衣装を渡される。

「宜しくね」「はいはい…」「あ、そうだわ」「ん?」「私達も今から着替えるけど、覗いたら…」

「判ってるよ、命は無いって言うんだろ」「そうよ!でも、命まで言いすぎだけどね。準備が出来たら呼んでよね」

「了解!」

水月と分かれて着替え始める。

それにしても、どうして俺がトナカイなんだ? 普通は、男がサンタをやるもんだと思うんだが。

でもまあ、水月のサンタ姿を見るんだから、いいよな〜。そう言えば、涼宮達も着るって言ってたなー。

3人のサンタ姿を見れるのか〜。これはなんて、おいしい話だろうなー。

そんな事を考えながら、せこせこと着替えをする。


「はい、これが遙の」「水月、ありがとう。わ〜、おこじょさんが付いてる!」「水月先輩、私のは?」

「慌てなくっても、あるわよ。はい」「私は、熊ですか〜」「それで、私はイルカ」

今回着るサンタ衣装の帽子にそれぞれ、マスコットが付いてのだ。

「あれ、一つ余ってますよ」「あ、それは」「雪さんのだよね」「よく判ったわねー」「へー、そうなんですか〜」

「あの〜、お呼びですか?」「ちょうどいい所に、はい。雪さんの衣装よ」「え!」

雪は物凄く驚いた顔をする。

「本当に、雪が着てもいいんですか?」「当たり前でしょ」「雪は…雪は…」

雪はポロポロと泣き始める。

「ちょ、ちょっと…雪さん、何も泣くこと…」「雪は凄く嬉しいんです…」「さ、早く着替えましょう!」


こんな物かなー?

鏡の前に立って確かめる。

それにしてもこれ、俺の体にぴったりだな〜。いったい誰が作ったんだ? まあ、いいかー。呼びに行くか〜。

ドアを少し開けて、首だけ出して辺りを見渡す。誰も居ないことを確認して、部屋から出て水月達のところに行く。

ここだな。

ドアをノックして、開ける。

「水月ー、準備できたぞ…げ!」

中では、ちょうど着替えの真っ最中だった。

「堂々と…覗きを…!」「どうして…そうデリカシーが無いんですか〜!」「まて、これは事故だ!」

『問答無用!』

ソフトボールとスポーツバックをくらったのは、言うまでも無いが、今回はこれにおまけが付いていた。

そのおまけとは、雪だるまとおこじょさんである。


「うがあああぁぁぁ…!」

何時ものようにアユの叫びがすかいてんぷるに響き渡る。

「先輩、どうしたんですか?」「糞虫は何処居るのさ?」「孝之さんなら、今日はお休みですよ」

「あんですと〜!この忙しいの、休みですって〜!」「はい!彼女さんと、クリスマスを過ごすからと」

「うがあああぁぁぁぁ…!そんなのが理由になるかー!誰か、糞虫を引っ張ってこ〜い!」

また、アユの叫び声がすかいてんぷるに響き渡る。


クリスマス会が始まり、皆は大いに盛りあっがる。

「そろそろ、プレゼントを配りましょうか」「そうね。これ、宜しくね」

水月は、ポンとの大きな袋を叩く。それを見て口をパクパクさせる。

「さ、行くわよ!」「はい!」「うん!」「判りました」

これを俺1人で持てと…。まあ、覗きはしたけど…これはあんまりでしょ…

「ほらー、はやく〜!」「へーい!」

しぶしぶ、その大きな袋を抱えあげ、歩き出す。

「武、今日はいったい何のお祭りなのだ?」「今日は、恋人同士が愛を確かめあう日なだよ」

「ほ〜、そのような日であったのか。でわ、武…」

冥夜はそう言って、武を自分の方に引き寄せる。それを見た鏡が慌てて、武を自分の方に引き寄せる。

「タケルちゃんは、私とイブを過ごすの!」

今度は、冥夜が武を引き寄せる。今度は鏡が、今度は冥夜がといった感じで繰り返す。

「あのな〜、少しは俺の意見も聞けよな!」

すっかり忘れされていた武が、二人に引っ張られながら吠える。

それを聞いて、2人は同時に手を離す。

「あ!タケルちゃん、ごめん」「お前ら、俺の話を少しは…」

「こうしない? どっちと過ごすか、タケルちゃんに決めてもらうの!」「うむ。それがいいな!」

「さー、タケルちゃん!」「どっちと一緒に過ごしたいのだ?」

2人は真剣な顔で武を見つめる。武は2人の顔を交互に見た後、その場から逃げだす。

「あ、逃げたー!」「はっきりとせぬか、武!」

2人は追いかけて行く。

「まったく、成長しないわね」「……ぷ。自分の事を言ってる」「何ですって〜!」「…本当のことだから」

「ちょうどいいわ。ここでハッキリさせてあげるわ!」「…嫌」

そう言って慧はどこかに行ってしまう。千鶴は、その辺りの料理という料理を掻き集めて、焼け食いを始める。



クリスマス会も終盤に近づき、俺はベランダで夜空を眺めていた。

窓がゆっくりと開き、そしてゆっくりと閉まる。雪さんが俺の横に来て、一緒に夜空を見上げる。

「綺麗な星空ですね」「そうだな。そうだ、雪さんに渡したい物があるんだ。受け取って貰える?」

「はい」

雪さんはニッコリと微笑みながら答える。それを見て、俺も微笑を浮かべる。

すっと、プレゼントを雪さんの前に出す。

「ゆ、雪さんに貰っといて、あげないってのもあんまりだから…」

顔を赤くし、頬をポリポリとしながら言う。

「有難う御座います。雪はとても嬉しいです」

雪さんはそういうと、俺の顔にそっと手を沿えて、キスをする。

「それでは、雪は仕事がありますので」

雪さんは、パタパタと中に入って行く。俺はしばらくその場から動くことが出来なかった。


クリスマス会も終わり、部屋にベットに倒れこむ。

だ〜、疲れた〜。

横には、サンタ姿のまま、気持ち良さそうに寝息を立てている水月が居る。

ふっと笑い、起こさないよそっと布団をかぶせて、枕もとに小さな箱とカードを置く。

さて、俺も寝るか〜! ん〜…!

大きく伸びをして、静かに目を閉じる。

390,000HIT記念に続く

おまけ

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