260,000HIT記念品 |
水月は、無言で俺のことをじっと見ている。そんな時…。 「水月先輩、おはようございます。見てください、昨日貰った…服を…」 茜ちゃんは、水月と同じく固まる。 「不潔!不潔!不潔!…」「この〜…変体!一回死んでこーい!」 言い訳をするまもなく、茜ちゃんのスポーツバックがHITした後、水月のコンビネーションをくらった。 「キャフーン……キラン」「ところで、雪さん」「はい? 何でしょうか?」「何でそんな格好してるの?」 「今日は暑いですから」「え? あの〜…雪さん…今は、10月なんですけど…」 う〜…寒い〜…。 ガタガタ震えながらコーヒーを飲む。あの後、気絶した俺を反省部屋(冷凍庫)に30分も閉じ込めのだ。 そんな俺をジーと見ている人物が居る。それは誰でもない水月である。 「何だよ〜?」「別に〜。ただ見てるだけ」 こんな会話をも10回は繰り返している。その後も、同じ事を繰り返される。 部屋に入ると、みなもと真琴と恵が何やら話をしていた。 何だろ〜?と思いながら首をかしげていると、真琴が俺に気がついて他の二人にそれを知らせる。 その後、三人はじっと俺の顔を見た後、また何やら話し始める。 俺の顔に何かついてるのか? 鏡のところに行き、確かめるが何も付いていない。 何だよー。何も無いじゃんかー。 ほっと肩をなでおろした時、鏡に三人の姿は映っているのに気が付く。 振り返ると、三人の目は怪しく光る。まずいと思い逃げようとするが、さすがに三人からは逃げられなかった。 「だから、何だよー?」「別に〜」 これで何度目だー? いいかげん機嫌を直してくれよな〜。 ため息をついていると、叫び声が聞こえてくる。何事かと行ってみるとそこには…。 遙は、本屋の包装を嬉しそうに抱きしめて歩いている。念願の絵本を手に入ったのだから、当然と言えば当然だ。 俺たちの部屋は、ちょっとした絵本博物館とかしている。そこにある物の内容はすべて覚えている。 毎日のように遙と一緒に見たからだ。 「そう言えば、遙の書いた絵本はどうなったんだ?」「今日、届いているはずだよ」 「届いている?」「うん!そうだよ。作者には届くんだって」「へー、そうなのかー」 「うん、だからすごく楽しみなんだ〜」「だったら、急いで帰らないとな」「そうだね」 俺は遙の手を引っ張りながら走り出す。 「あ〜も〜…うがああああぁぁぁぁぁ…!」「どうしたんですか?」 「何で、今日はこんなに客が来るのよー!」「そうですねー」 「あの糞虫、こんな日に休みを取るとはいい度胸をしてねー」「あ、糞虫発見です〜」 「あんですと〜!どこに居るさ!」 投げる物を持って、あたりを見渡す。 「そこですよー」 まゆまゆが指差した先に、たしかに糞虫(ゴキブリ)が居た。 「うがああああぁぁぁぁぁ…」 スパンと糞虫を叩く。 「さすが先輩です〜」「ふん、これくらい朝飯前よ」「あ、危ないです」「あんですと?」 まゆまゆが指差す先に目をやると、無数の糞虫が私の顔目掛けて飛んできていた。 もちろん、その糞虫は私の顔に張り付く。 「せ、先輩〜。大丈夫ですか〜?」「どうかしましたか?」「先輩の顔に…」「これはひどい…」 健さんとまゆまゆは、倒れている私を同情の眼差しで見ている。 真琴ちゃんから一冊の本を受け取る。その本タイトルは『なりきり士』と書かれていた。 この本を読んだから、永遠はあんな格好をさせられているのだろー。 「まー、理由は判ったけど。何で永遠が女装してんだ?」「それは、面白いからです!」 「永遠も好きでやってるんだよ。はぐはぐ…」「言っとくが、俺は好きで…うー!うー!」 真琴ちゃんが、すばやく永遠の口を抑える。そして、ニッコリと微笑み 「好きでやってるんだよねー?」と問い掛ける。もちろん、物凄いプレッシャー付きで。 しぶしぶ頷く。この時、俺は物凄く永遠に同情した。 夜の病院のドアが静かに開く。そして、一人の人物が中に入って不適に微笑む。 病院内でその事に気がついたのは、香月と鏡だけだった。この侵入者を止めるには、あまりにも少なすぎる戦力だ。 覚醒した…を止めるには…。 |
ー270,000HIT記念に続くー |