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目の前をエボVが通り過ぎていく。その瞬間にストップウォッチを押す。 エボVは、少し先で止まって水月が降りてくる。ストップウォッチを見て、タイムを記録する。 「ねー、どうだった?」「ここのコースレコード+20秒だ」「そんなに!」 水月にストップウォッチを見せる。それを見て、がっくりと肩を落とす。 「水月先輩、どうでした?」 水月は、黙ってストップウォッチを茜ちゃんに手渡す。茜ちゃんはストップウォッチをじっと眺める。 「水月先輩は、まだいいほうですよー」「え? どうして?」「だって、私のタイムは+25ですよ」 それでも、十分に速いと思うぞ。 「ねー、今のところ最下位は誰?」「えーと…大空寺だ!」「あんですとー!」「うわー!いたのか」 「あんで私が最下位なのさ!」「お前は、+30だからな」「あんですとー!嘘いうなや!」 大空寺に証拠を提示してやると『うがあああぁぁぁ…』と叫びだした。 「次は誰?」「えーと、孝之と涼宮だ」「たしかー、シルエティーだったわよね?」「そうだ!」 「どっちが運転してるんですかね〜?」「え!茜ちゃん知らないの?」「はい、知りません」 「やっぱり、孝之よ」「そうですね、お姉ちゃんがあんなこと出来るわけないですよね」 「いや、万が一って事もあるぞ!」「まさか〜!」 さてと、記録用紙はどこだ? キョロキョロとあたりを見回すと、大空寺が記録用紙を破ろうとしている光景が目に入る。 慌てて大空寺から記録用紙を奪い取る。 「孝之ー、そっちは準備いいか?」『いつでもいいぞ!』「じゃー、始めてくれ」『了解!』 「ねー、さっきから気になってるんだけど」「どうした?」「私もなってたんです!」「?」 水月は俺を指差しながら 「タイムはどうだったの?」「俺のか?」「はい!」 俺のタイムなんて聞いて、どうしようってんだ〜? 記録用紙を水月に渡す。茜ちゃんは覗き込む。俺のタイムのところをすっと指差す。 「+10って本当なの?」「多分、間違えてないと思うぞ。玉野さん頼んどいたからな」 水月と茜ちゃんはいまいち腑に落ちな顔をしている。 間違えてても、俺のせいじゃないからな! しばらくして、シルエティー前を通過する。 「どっちかしら?」「鳴海さんですよ!」「じゃー、賭けるか?」「いいですよ!」 茜ちゃんは、孝之が運転席から降りてくる方に賭けた。俺は、涼宮の方に賭ける。 運転席のドアが開く。ドキドキしながらじっと見つめる。 運手席から降りてきたのは…。 これで結果が出揃ったわけだ。これから、考れる順番はと…。 考えをまとめて、皆を呼び集める。 「1番手はGTRの大空寺、2番手はエボWの茜ちゃん、3番手はエボVの水月、4番手は86ターボの俺だ」 「私が、二番なんですかー」「仕方がないわよ、決めてやったことなんだから」 「ラストは、涼宮&孝之のシルエティー。以上だ!」 まったく、涼宮がこんなタイムをだすとはなー…。+5だもんな〜、絶対に勝てるわけ無いよなー。 これはこれで、良かったのかもな。そう言えば、孝之は自家用を持ってるんだよなー。何で乗らないんだ? 首を傾げていると後ろから肩を叩かれたので、振り返ると茜ちゃん居た。 「チーム名を決めましょう!」「そうだな」 それから皆でチーム名を考えて、いろいろでた候補の中から『ETRNAL』に決まった。 こうして、チームETRNALは活動を開始した。 「ここで間違ってませんよねー?」「そのはずだが…」 バトルの場所として指定された場所に行ってみると、そこは緊張感はまるでなかった。 「あはははは…美味しいですか? 舞ー」「嫌いじゃない!」「それは良かったです」 何でこんなところで弁当なんて食べてんだ? 「こらー!待てー!」「うぐぅ…」 今度は何だ? 何で逃げてるんだ? 「起きろ名雪!」「くー…」「あらあら…大変ねー」 「これだったら、勝てるぞ!」 勝利を確信て浮かれている俺の後ろで、水月と茜ちゃんが 「根拠の無い自信ですね」「そうね。馬鹿正直なのよ」「そうですね」 呆れた顔をしている。この後、バトルが行なわれたかは定かではない |
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