210,000HIT記念品
あの日、真那さんはボロボロで帰ってきた。どうやら、勝負はかろうじて真那さんが勝ったらしい。

しかし、よくここまで帰ってこれたなーといった感じだった。大急ぎで救急車を呼んで、病院に連れて行った。

その時に、鏡さんと冥夜さんも一緒に連れて行ってもらった。今日はそのお見舞いに来たのである。

待合室に、誰かが居るのに気がつく。よく見てみると、それは雪さんだった。

雪さんは、ずっと鏡さんと冥夜さんと真那さんに付き添っている。自動販売機の所に行って、お茶を買い雪さんの所に向かう。

雪さんの後ろからそっと近づいて、頬にさっき買ったお茶をあてる。雪さんは、驚いた顔をしながらこちらを振り返る。

犯人が俺だと判ると、落ち着いた顔をする。お茶を雪さんに渡して、横に座る。

「少し、休んだ方がいいと思うけど…」「私は大丈夫ですから」

雪さんはにっこりと微笑みなが言うが、その笑顔にも疲れがみえる。

しばらく黙ったまま、お茶を飲んでいると雪さんが

「一緒に病室に行きませんか?」「そうだな。行こうか」

空き缶をごみ箱に捨てて、病室に向かう。病室に向かう途中で雪さんから、とある事を聞かされる。

「こちらに、武様も入院なされてるんです」「え!そうなか?」「…はい。こちらです」

確かに病室の表札には『白銀武様』と書かれていた。

白銀は、戎と神代と巴に連によってここに連れて来られたのかー。

中に入ると、確かに白銀が気持ち良さそうに眠っていた。その側で鏡が白銀の手を握ったまま眠っていた

ため息をつきながらその光景を眺めていると、雪さんが

「ずっと付き添っているんですよ」「そうなのかー。居なくなって、一番心配してたもんな…」

「…はい。でも、こんな所を先生に見つかりでもしたら…」「そうね、病人が勝手に動くのは、関心しないわね」

振り返ると、香月先生が入り口の所に立っていたので、オーバーアクションで驚く。

香月先生はそれを見て、呆れた顔をしていたが、一瞬で真面目な顔に戻った。

「まったく、いくら言っても聞かないんだから」

香月先生はため息をつきながら、鏡さんの所に行く。

「彼女にとっては、こうしてるのが一番の幸せなのかもね」「そうですね」

「さ、行くわよ」「あ、はい」

香月先生にの後に続いて病室から出て、白銀について聞かされる

「あなたには、話してなかったはね。彼はね、何処かで監禁されてたみたいなのよ…」「え、監禁ですか!」

「そう。だから、今は人間恐怖症になってるの。最近は、彼女だけには話してるけどね」

「そうなんですかー。よろしくお願いします」「医者と最善を尽くすわ。もし何かあったら、医局にいらっしゃい」

香月先生と判れて、冥夜さんの病室に向う途中に雪さんが倒れていた。

やはり、最近のことでかなり疲れていたのだろう。雪さんをおんぶして、そのまま医局に向かう。

「これで大丈夫よ」「ありがとうございます」「今日は、ゆっくりと寝かしてあげてね」「はい」

雪さんをおんぶして病院を出る。



目を開けて、辺りをキョロキョロと見回す。目の前には、読みかけの漫画が置いてある。

そっか…漫画読んでて、そのまま寝ちゃったんだー。

部屋から出ると、永遠とまこちゃんが居ることに気がついた。何をやっているのだろうと思い、トコトコと近づいて声をかける

「何やってるの?」「映画を見てんだよ」「そう!面白いよー」「そうなの?」

二人は黙って頷く。画面に目をやってすぐさま目をそらし後、振り返って黙って歩き出す。

そんな私を二人は追いかけて来て、永遠が右腕をまこちゃんが左腕を掴んで引っ張られながら連れて行かれ、画面がよく見える場所に座らされる。

私は、見たくないので目をつぶっていると、今度は音だけが聞こえてきてこちらの方がさらに怖いかった。

我慢できず走って逃げる時、はらいせに野球ボールを投げつける。見事に永遠の後ろ頭にHITして、その場に倒れる。

それを見て勝ち誇っていると、お父さんが帰ってくると素早く感じ取り、急いで玄関に向かう。


家の前に来て、背中で眠っている雪さんの方を見て小さく『お疲れ様』と呟き、その後ドアを開ける。

すると、中から飛びついてきたので、思わず2、3歩後ろに下がる。中に入って雪さんをベットに寝かして、みなもと一緒にリビングに向かう

部屋に入った時、足に何かがあたった。何だろうと思い拾うと、野球ボールだった。

野球…ボール? そう言えば、よくこんなのくらって死にかけたて奴がいたっけ〜。でも、どこから持ってきたんだ?

ゆっくりとみなもを見と、みなもはにっこりと笑う。

まさかなー。いくら水月の娘だからって…そこまではな。

これがHITして、死にかけている永遠を発見するのは、その後すぐのことである。


その晩…

「これ、お前のじゃないよなー?」「え? 何が?」

水月に帰ってきて見つけた、野球ボールを見せる。水月はそれを見て首を傾げる。

「だって私のはこれよ」「私も持ってますよ」

二人の水月はそう言いながら、どこともなくソフトボールを取り出す。

「いったいどこから出てくるんだ?」『それは秘密よ!』

二人の水月はにっこりと笑いながら言う。

やっぱり、みなもなのかー? まー、ありえない話ではないかも知れないが。

「みなもー」「な〜に?」「これ、お前のか?」「うん!そうだよ」

やっぱり、みなものだったのか。この時、俺は水月とみなもを同時もしくは、どちらかを怒らせると命は無いことを悟る。

だとするとだ…。茜ちゃんの子供の、真琴ちゃんも…。考えるのはやめておこう。

220,000HIT記念に続く

おまけ

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