道案内
こんなものかな? 水月に頼まれた物も、忘れてないよなー? うん、よし!さて、帰還するかー。

家に向かって歩いていると、何故か大空寺に声をかけられた。

「ちょっと待てやー!」

聞えないふりをしてスタスタと歩いていると、腹に一発くらわされる。

「何をするんだ…」「止まらんお前が悪いんじゃ〜、ボケ〜!」

ここまでするかー普通。

「何のようだよー?」「ささっと糞虫の家に案内するさ!」「はい? なんで俺が、お前を案内しないといけない無いんだ?」

「男が小さなことでがたがた言うなさ!」「ところで」「あにさ?」「それが、人に物を頼む態度か?」

勝ち誇った顔で大空寺を見下ろす。大空寺は何時ものように吠えたので、頬をつまむ。

「あいだだだだだ…」「お前は、頼み方って物を知らないようだなー!え〜!」

さらに頬を横に引っ張る。そのまましばらく、大空寺の頬で遊んだ。

「あいたたた…」「それじゃー、またな」「ちょっと待てや!」

ゆっくりと大空寺の方を向くと、今にも爆発しそうな大空寺がそこに居た。

これは逃げた方がいいと、本能で感じ取り全速力で逃げる。もちろん、その後をすごい剣幕の大空寺が追ってきているは、言うまでもない

かろうじて家に逃げ込むことに成功した。もちろん、外では大空寺が騒いでいる。

はー、助かったー。時期に諦めて帰るだろー。

荷物をテーブルに置いた時に、外が静かになっていることに気がつく。

やっと、諦めて帰ったか〜。

そっと、ドアを開けて外の様子を伺う。大空寺の姿は無く、ほっと一息ついた時だった。いきなり頬を摘まれるた。

もちろん、犯人は大空寺だ。大空寺はさっきのお返しと言わんばかりに、頬を引っ張る。

「これで、案内する気になったからしら?」「はれがすへは(誰がするか)」

「まだ、この大空寺様の恐ろしさが判ってないみたいね〜!」

大空寺はニヤリと笑って、頬をさらに強く引っ張る。

「あいだだだだ…」「案内する気になったかしら?」「はん、ほれがふるか。ぼーかー(はん、誰がするか。バーカー)」

「あんですとー!自分の置かれてる立場が判ってない様ねー」「はんといわれようと、はんなひはひなぞ(何と言われようと、案内はしないぞ)」

何を考えたのか、大空寺はパッと頬から手を離した。そして、軽く下を向いて再び顔を上げる。

「お願いします。道案内して下さい」「うげ〜…、気持ちわる〜…」

「あんですと〜!」「判ったよ、道教えてやるよ。いいかよく聞けよ!」

早口で、ここから孝之の家までの道順を言う。

「早いんじゃー、ボケ〜!」「まったく、いちいちうるさい奴だなー。地図を書いてやるからちょっと待ってろ」

「お前が案内しろや!」「なるほど、その手があったかー。でも無理だ」

「あんでさ」「俺はこれから、夕食を作らないといけない。だから無理だ」

その時、電話が鳴なったので、でてみる。

「もしもし…」「あ、私。帰りが、もう少し遅くなりそうなのよー」

「そうかー」「だから、夕食は勝手に食べといて」「了解!」「それじゃね」

電話を切って、大空寺のところに戻る。

「ほら、行くぞ」「あんですと?」「孝之の所に、行くんだろう? それとも、行かないのか?」「行くさ」

大空寺と一緒に、孝之の家に行った。

「ここがそうだ。じゃあな」

それだけ言って家に帰る。夕食の支度をして、さ〜食べ始めようとした時にドアを叩く音がする。

誰だー? 水月かー? また飲み過ぎて、ドアのところで眠ってるのかもな。

ドアを開ける。そこには、大空寺が居た。乗りかかった踏むでもあるし、仕方が無いので聞いてみる。

「孝之には会えたのか?」「会えたさ」「なら良かったな。で、今度は駅への道が判らないと…」

大空寺は小さく頷く。

まったく仕方が無いなー。ここまで来たら、そのままにしておくのも可哀想だしな〜。

「よし、判った。連れて行ってやるよ」

大空寺を駅まで連れて行ってやる。

はー、今日は何でこんなに疲れることばっかりなんだー。さー、帰るかー。

家に帰り、冷めたおかずを温めなおして、食べようと時にまたしてもドアを叩く音がする。

でてみると、大空寺だった。今度は

「泊めろ!」「はー?」

どうやら終電が終わっていたらしく、帰れないのでここまで戻ってきたらしい。

仕方が無いので、この日は泊めやることにした

ーENDー



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