ドタドタ…
『雪さん、そっち!』『は、はい…』『デヤー!』
玄関のドアの前で立ち尽くす
中で何が行われてるんだ?怖くて開けれない…。多分、中では凄い事になってるだろうし
覚悟を決めてドアを開けると、雪さんと水月が走り回っていた
「あ、お帰りなさい。足元に注意して下さい!」「え!?足元…」
ガサガサ……
足元を尋常じゃない大きさのゴキブリが走って行く
「う……ウギャー!」
「う…うーん」「あ、お気づきなりましか?」
雪さんが心配そうに覗き込む
「あれ…俺はいったい…」「玄関で倒れたんですよ」
玄関で…そうだったな。変なゴキブリに驚いて…ん?
壁を玄関で見たサイズよりは小さいがゴキブリいた
雪さんはスプレーを取りだし、流れような動作でゴキブリにスプレーを浴びせる。ゴキブリはコロンと床に転がる
思わず、その行動に拍手をする。雪さんは紅い顔しながら、ぺこりと頭を下げる
「これをお使い下さい」
手渡されたスプレー缶には、小さな雪達磨がプリントされていた
「雪印の殺虫剤です」「雪印…?食中毒をだした牛乳の…?」
雪さんは一瞬ムッとした顔をするが、すぐに笑顔に戻る。だが、その笑顔は恐怖を感じさせる
「雪さんのお手製の殺虫剤って事だよね…」「はい。そうです」
雪さんはニッコリと笑う。今度のは、本当の笑顔だった
「さ、水月さんの所に…」「お、おう…」
「デヤー!」
水月は、ソフトボールをゴキブリ目掛けて投げつける。ボールは一匹目にHITしたあと、バウンドし他のも倒す
「まったく、きりが無いわねー」「水月さーん…大丈夫ですか?」「何とかね…」
水月はふーとため息をつく
「あとどれ位いるの?」「えっとですね…」
雪さん何やら小型の機械を取りだす。当然の事ながら、その機械にも雪達磨プリントされている
「あと…10匹ほどです。頑張りましょ!」「そうね!」「それなら…倒したぞ。ほれ!」
ゴキブリの山を指差す
「で、これからどうするんだ?」「どうするって…何を?」「この処理だ!」
水月と雪さんは辺りを見渡し、気持ち悪いほど転がる巨大なゴキブリを見てトイレに駆け込む
しかし、どうするよ…このゴミの山
そのあと数秒後、俺もトイレへと走りこむ
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