「タケルちゃん…私が作ったカレーだよ。食え!」「武。私が作ったカレーだ」
武は思わず後ろに下がる。その時、焼きそばパンが飛んで来る。武は口でそれをキャッチする
「餌付け成功…」
慧は武の頭をなでる
「タケルちゃん…さ〜食え〜!」「武…食べるが良い!」
武はビクッと小さく飛び上がり、ゆっくりと後ろを向き、走って逃げだす
「もう、やめなさい…。白銀君が怖がってるじゃない。たかがカレー位で…」「自分だって食べて貰いたいくせに…」
「な、何ですって!」
慧は千鶴が手に持っているカレーを指差す。千鶴は慌ててそれを後ろに隠す
「こ、これは…わ、私のよ…」「動揺しすぎ…」
慧はフッと笑う
「何が言いたいの?」「先に自分を食べてた…だからそれは…」「良いでしょ!」「頑張ってね…」
慧の何気ない言葉に千鶴は驚く
「負けておいで…」「何ですって〜!見てないなさよ〜!」
千鶴はカレーを持って武のところに行く。慧はそれをただ呆然と見る
「孝之さん…」「遙…」
遙はそっとスプーンでカレーをすくい、孝之の口に運ぶ
「は、遙…」「ん…?」「自分で食べれるから」「え!?だって、茜がね。こうした方が孝之さんが喜ぶって…」
確かに…嬉しいけど。これはやっぱりまずいだろ
「嫌…だった?」
遙はかるい上目遣いで見て来る。その顔を見てドキッとする
「あの…何だ…」
頬を紅くしながらあさっての方向を見る
「え!?」「……くれるか?」「え!?聞こえによ…」「食べさせて…くれるか?」
顔を真っ赤にする
「うん!」
遙は笑顔で頷き、カレーを食べさせてくれる
おいおい…まさか、今日の夕食はカレーか?
「さようで御座いますよ」「どうわ〜!」
この人って、人の心まで読めるのか?まさか…エスパー?
「私は、普通の人間ですよ」
真那さんは絵がで答える
いや…十分に普通とかけ離れてる思いますが…。突然でて来るし
「何でこのメニューに?」「キャンプといえば、カレーが付き物だと水月様が」
水月がですか…確かに間違ってはいないが
「とにかく、俺は今晩は良いですから」
そういって歩きだした時、後ろから肩を捕まれる
「どこに行くのかしら?」「いや…今日は体調が悪くて…」「そう。それなら仕方がないわね」
水月はにっこりと笑いながらいう
「何て嘘が通じると思ってるの?」
水月は笑顔のままで言う
やっぱり〜!すごく怖いですよ…水月さん
「さ、食べて!」
目の前に置かれたカレーをじっと眺め、指差しながら水月の方を見る
「大丈夫よ。毒は入ってないから」
いや…これ自体が毒みたいな物なんですが
決死の思いでカレーを食べる。口から火を吹きながらその辺りを走り回る
「そんなに辛かったかしら?」
水月はカレーを一口食べる
「うん!ちょうど良いわね。どうして、この美味しさが判らないかしら?」
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