アクセサリー
「えーまた買わなかったの?」「う、うん…」

水月は呆れ顔でこっちを見る

「良い…遙。今時、アクセサリーの一つも持って無い子なんて居ないわよ」「そ、そうだね…」

苦笑いを浮かべながら水月を見る

「それで…何を買ったの?」「えっとね。私の好きな作家さんの新作の絵本と…あとは参考書かな…」

水月は呆れ顔で額に手をあてて、首をゆっくりと横に振る

「ねぇ…一つ聞いても良い?」「なあに?」

首を傾げながら水月の方を見る

「アクセサリー買う気あるの?」「え!?」「無いでしょ…だから、すぐに他の方に気が行くのよ」

「だって…」「判ったわ。今度の休みに一緒に買いに行きましょ」「え!?良いよ…水月に悪いから…」

「行くの!判った」

水月はずいっと私に顔を近づけてくる


「え!?水月先輩と買い物に行くの?」「う、うん…今度の休みね」

足早に二階に上がり、鞄を置いて着替えをして降りて来る

「私も一緒に行きたいなー」「ちょっと待って。今から水月に聞いてみるから…」

時計で時間を確認し、水月に電話をする

「あ、水月…私だけど」『どうしたの?』「茜がね、一緒に行きたいって言うの…」『え!?本当…?』

「う、うん…」

茜は後ろから受話器を奪い取り、水月と話始める

大丈夫かなー?

しばらく話した後、茜はガックリと肩を落とし、私に受話器を渡す

「もしもし…」『茜…どう?』「かなり落ち込んでるよ…」

茜の方をみると、寂しそうにソファーに座りテレビを見ている

『でも、今回だけはね…。用事はそれだけ?』「う、うん…」『そう、それじゃあおやすみ』「うん!おやすみ」

受話器をそっと元に戻す。そして、茜方を見る

やっぱり、悪いことしたかな〜?


「水月先輩!」

茜は何時もの様に水月に抱き付く

「茜…相変わらず元気ね〜」「はい!水月先輩。お姉ちゃんにピッタリのを選んであげて下さいね」

「任せといて!遙。行きましょ」「うん。行ってきます…」「行ってらっしゃい!」


小箱を開き、その中にそっと今日買ったアクセサリーを入れて、そっと蓋を閉める

「お姉ちゃん!」「キャ!」

突然後ろから声を掛けられたので、小さく飛び上がる

「茜!入る時は、ノックして言ってるでしょ!」「御免なさい。どんなの買ったの?」

茜は興味心身の顔で詮索する。茜は素早く小箱を取る

「あ!?」「この中に入ってるんだ〜」「返してよー」

必死になって逃げる茜を追いかける。茜は逃げながら小箱の蓋を開けて中身を取り出す

「あ〜!」「え!?口紅…」

茜は呆然とその場に立ち尽くす。その隙に小箱と口紅を取り返す

「ブローチとかじゃないの?」「良いでしょ…それより、出て行って!」

びしっと部屋の入り口を指差す。茜が出て行ったのを確認して、小箱に口紅を戻して蓋をする

これは…私と孝之君が結婚する時に使うんだから・・・

ーENDー



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