遊園地
「遅いな〜」「そうだな…」

腕時計を見る。待ち合わせ時間から、もう30分くらい過ぎている。

今日は、皆で遊園地に来ている。何故、こんな所に来ているかというと…


涼宮家にて…

「え、遊園地!?」「うん。お父さんがチケット貰ってきたの」「孝之と二人で行ったら良いじゃない」

「でもね。チケット4枚あるの…」

涼宮は、4枚のチケットを俺達の前に差し出す。

「茜を誘ってみたら?」「茜にも聞いてんだけど『絶対に行かないから』って言われたの…」

もう聞いてるんだ〜。

「無理だよね。2人もいろいろと忙しいよね。デートとか…」

俺と水月はボッと顔を赤くする。

「や、やっぱり…こんな所は皆で行った方が楽しいわよね…ね〜?」「あ、ああ…そうだな」

「本当!」「で、何時に行くんだ?」

涼宮は考えながら、部屋のカレンダーを見る。

そのカレンダーには、当たり前のように孝之の休日が書き込まれている。

「今度の日曜日なんて、どうかなー?」「私は大丈夫よ」「俺もたぶん、大丈夫だと思うぞ」

「決まりだね」


こんな感じで、ここに居る訳である。だが、肝心の2人はまだ来てない。

しばらくして、向こうからパタパタと走ってくる人影が2つあった。

「遅くなって、ごめんね」「何だ? その猫耳は?」「これ?」

涼宮は猫耳を指差す。

「遙…これとっても良いでしょ?」「え〜、似合ってるのに〜」「確かにな…」

「わ、判ったわ…今日だけよ」

水月は赤い顔をしながら言う。

生きてて良かった〜。

「さ、中に入ろうぜ」「そうだね」


「次は、何に乗るんだ?」「ん? あそこなんてどうだ?」

俺は遊園地には付き物のお化け屋敷を指差す。それを見て、水月は青い顔をする。

「お、楽しそうだな」「や、やめときましょ…ここのって特別怖いらしいわよ…って待ちなさいよ!」


中に入ると、水月は俺にぴったりと引っ付いて、小刻みに震えている。

「怖いのか?」「こ、怖くなんて無いわよ…」「な〜、知ってるか? こんな所って本物が出るんだってよ」

それを聞いた水月は、ぎゅっと俺の腕に抱きついてくる。

「大丈夫だって。あくまで噂だから」「そ、そうよね。噂よね…」

水月はずっと俺に引っ付いたまま、歩きつづけた。


ベンチに座り込んだ水月に、買ってきた飲み物を渡す。横に座りって飲みむ。

「それにしても、孝之達は何処に行ったんだ?」「さっき、こんなの渡して行ったわよ」

水月は一枚の紙を俺に差し出す。その紙には『6時に入り口の所』と書かれていた。

孝之なりに、気を使ってるんだろうな。

「次は、何に乗りたいんだ?」「これに乗りましょ」

なかば水月に引っ張られるような感じで、そこに向かう。

「あの2人、上手くやってるみたいだな」「そうだね。ねえ、私達も楽しもう」

「そうだな…遙は何に乗りたいんだ?」「観覧車…」「よし、行くか」「うん…」

ーENDー



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