七夕
ピロロロ…ピロロロ…

何だ…電話か〜

パタパタ…ガチャ!

「はい…もしもし…」

え!?

慌てて起きて電話の方を見ると、雪さんが電話に出ていた

「あ、今起きられましたので…」

電話に向かう途中、机で小指をぶつける

ぐ……痛い…

何とか電話の所に行きつく

「もしもし…」『……』

ん…?何も言わないぞ?

『ねぇ…』

げ!水月!

『何で、女の人が出るの?』「き、気のせいだって…」『そう…気のせいね…。そんなわけないでしょ!』

受話器を耳から一mくらい離す

『何の?さっきのわ〜!』「話せば長くなるから…」『私は別に構わないわよ!長くても…』

電話の向こうの水月の顔が脳裏に浮かぶ

「な、何か用事だったんだろ?」『あ、そうよ!今晩…暇?』

今晩…って事は、水月とあーんな事やこーんな事を……えへへへ…

『云っとくけど、想像してることはまるっきりないから!』

げ!読まれてる

「別に…用事はないけど。それがどうかしたのか?」『そう…じゃあ、七時に遙の家に来て』「え!?涼宮の家?」

『そ!確かに伝えたからね!それと、さっき電話に出て子も連れて来なさい…良いわね』「は、はい…」

受話器をそっと置く

「どうしたんですか?顔色が優れませんが…」「あははは…別にたいしたことじゃないって…」「はぁ…」


「本当に、雪が来ても良かったのでしょうか?」「良いって。連れて来いって云われたんだから…」

水月の命令じゃあ、断る事も出来ないよな…あははは…

突然ドアが開き、水月が出て来て一言

「遅い!」「お、おい…時間にはまだ…」

水月は俺のことなどお構いなしに、雪さんの所の歩いて行く

「あなた…この前転校して来た…」「は、はい…」

雪さんは怯えた顔で水月を見る。水月は俺にガンを飛ばす

うげ…かなりご立腹だ…

歩いて来て、首に手を回してぐいっと引き寄せる

『何で…一緒に住んでるのかしら〜?』『そ、それは…日本海より深い訳がありまして…』

『そう…。その日本海より深い訳ってのを中で、ゆっくりと聞かせて頂戴…』

水月は俺の首に手を回したまま歩きだす

ぐぇ…苦しい…

水月の手を何度も叩くが、無視される

「さ、中に入りましょ…」「あ、はい…」


「ふーん。そんな訳がねー」「判ったろ?」「あの…ここでいったい何をするんですか?」「これだよ!」

涼宮は数枚の短冊を見せる

「ま、まさか…七夕をするのか?」「そうなんです…お姉ちゃん良い歳して、まだやってるんです…」

あ、そうなの…

「それじゃあ配るね!」

涼宮は楽しそうに短冊を配って回る

さて、何て書こうかな…。『水月と幸せになれますよに』これだな!

短冊に書いて、部屋の中に置かれた笹の見ない辺りにつるす

うん!これでよし。ん…?これは、水月のだ…。何て書いてあるんだ?

水月の短冊を見ようとした時、後頭部にソフトボールがヒットし、その場に倒れる

「まったく…油断も隙もあったもんじゃないわ!」

「水月先輩…もしかして『幸せになれますように』とか書いたんですか?」

水月はボッと顔を紅くする。そして、茜ちゃんの頭を叩く

「何で叩くんですか…?」「馬鹿なことを言ったからよ!」「馬鹿じゃないですよ…」


「今日は、こんな行事に読んでもらって、雪はうれしいです」「そうか…それは良かった」

「はい。皆さん、楽しい人達ですね」

まあな…確かに、一緒に居ても退屈はしないな

「ところで、雪さんは何て書いたの?」「え!?そ、それは…恥ずかしくて言えません…」

雪さんは顔を紅くする

「言いたくなかったら、無理に言わなくても良いよ」「すみません…」

「別に誤る事じゃないって、変な事を聞いた俺も悪いんだから…さ、帰ろう」「はい!」

ーENDー



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