幸せな日々
朝食を作っていると、後ろから抱きつかれる。

「うがぁ!あにすんじゃいボケ〜!」「うわ〜!包丁を振り回すな、危ないだろ」

「うがあああぁぁぁぁ!」「悪かったよ、いきなり変な事して」「べ、別に気にして無いさ…」

顔を赤くして、下を向く。

「どうした? 顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないか?」「べ、別にあんでも無いさ。黙って座って待ってろ」

「ヘイヘイ…」

あにを考えてるのさ、まったく。 せかせかと、朝食を作り始める。



「ほれ、出来たわよ!」「美味そうだな!最初に比べたら」「あんですと〜!文句があるなら食うな〜!」

料理を全部、撤収する。 まー、確かに最初は美味くなかったさ。

「はん、どうせ私の作ったもんなんて、まずくて食えないさ」「おいおい、誰がそんな事を言った?」

「言ってるじゃないさ!」「最初は誰でも、あんなものさ。感じなのは、見た目とかじゃなくって、心だな」

「心?」「そうだ、愛情のこもった料理が、不味いわけが無い!だから、あゆの作るものが不味いわけないだろ」

それを聞いて、ボッと顔を赤くする。

「あ、あ、あに言ってるのさ」「お、照れてるのか?」「うがあああぁぁぁぁ…!そんなわけあるか〜ボケ〜!」



「もう少し、ゆっくり歩いてくれよ〜」「だらしが無いわね〜」「米を40`持ってるんだぞ」

「男だったら、それくらい持ちなさい」「男だって。持てるものと、そうでない物があるぞ」

「お、大空寺じゃないか〜!」

うがぁ。この声は、あの筋肉女の旦那の声じゃないさ。何でこんな所に居るのさ。

「二人で買い物か?」「はん!あんたには関係ないことさ」「二人でお買い物?」

なんで筋肉女まで、出てくるのさ。

「そっちは何で、こんな所に居るのさ?」「俺達か?」「私達は?」「他に誰が居るんじゃ〜」

筋肉女は、すっと通行人を指差す。

「うがあああぁぁぁ!」「こんな所で騒ぐな。みっともないぞ」「まったく、昔とちっとも変わんないな〜」

「あんですと〜!」「そうね。結婚したら少しはおとなしくなるかと思ってたんだけどね」

「大きなお世話じゃ〜ボケ〜!」「ほら、行くぞ!またな」「おう!」「またね」「は〜!な〜!せ〜!」



何で私が、あんな奴らに好き勝手に言われるのさ。

「うがあああ…!」「ほら、これでも飲んで落ち着け」

そっとお茶と鯛焼きが出てくる。

「これ何なさ?」「それか? それは鯛焼きだ。美味いから食べてみろよ」

そう言われて、一つ手に取り食べて見る。

「どうだ?」「はん、所詮はこの程度の味ね」「ほ〜、だったら要らないんだな? 後は俺が全部食べてやるよ」

「あんですと〜!」

慌てて、鯛焼きを自分の方に引き寄せる。

「まったく。美味いなら、美味いって言えよ〜」「ち、違うさ。仕方が無く、食べてやるのさ」

「はいはい、そうって事にしといてやるよ。ところで、一つ…」

鯛焼きを取ろうとする手を素早くかわし走って逃げる。

「うがあああぁぁぁ…。追いかけてくるな〜!」「だったら、一個よこせ〜!」「やじゃ、ボケ〜!」

「なんだと〜!」

素早く鯛焼きを口に放り込む。

「あ、何て事を…。せっかく、買ってきたのに…」「……悪かったさ。ほら、ヘタレてないで立ちなさいよ」

「え?」「一緒に行ってあげるわよ。鯛焼き買いに…。しゃきっとしなさいよ!」「よし、行くか」

二人で一緒に鯛焼きを買いに出かける。その時、彼の腕を持ち自分の方に引き寄せる

ーENDー



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