290,000HIT記念品
「ほら、起きて〜!」

体をゆすりながら言うが、反応はまったく無い。とりあえず、ビンタをくらわす。

「う〜…」

さすがにこれには、反応があったが起きる気配はまったく無い。今度は、掛け布団を取り上げる。

すると、小さいく縮こまる。これでも起きる気配が無いので、今度は枕を取り上げる。

枕を取り上げた時、頭をぶつけたらしくもだえている。だが、まだ起きない。

なかなか、しぶといわね〜。こうなったら、最後の手段を使うしかないわね。

マウントポジションを取る。なにやら呟いているので、聞き耳を立ててみる。

「う〜…う〜…お、重い…」「誰が…重いですって〜!」

往復ビンタの嵐をくらわせる。


「おはよう」「あ、おはようございます。うわ!どうしたんですか? その顔…」

「自業自得よ!」「大丈夫ですか?」「ああ、何とか」

いくら起きないからって、往復ビンタを1分も続けるかー。

「そう言えば、雪さんはどこに居るんだ?」「雪さんなら、あそこですよ」

「あ、そうか!」「何か用事ですか?」「ああ、ちょっとな。行って来るわ」

白銀の所に向かう。

そう言えば、白銀の部屋に入るのも一苦労だったな。


「仕事の内容が変わって、かなり疲れてるみたいですね」「そうね。倒れないか心配よね」

茜はジーと私の顔を見た後、ニヤリと笑う。

「やっぱり、心配なんですね〜」「そ、それはね…」「今の水月先輩、すごく可愛いですね」「な、何言ってるのよ!」

茜の言葉に思わず顔を赤くする。

「うわ〜。水月先輩の顔、真っ赤ですよー」「う、うるさいわね〜!」

茜は部屋から出る時に、何か思い出したように振り返り『今晩、頑張って下さいね』と言って走り出す。

何を、頑張のよ…。え!え〜!

「ちょっと待ちなさい、茜〜!」

部屋から出た所で、雪さんとばったり出くわす。雪さんは私の顔を見て、顔を赤くしながら横を通る。

そんな雪さんの肩を捕まえる。

「ゆ〜き〜さ〜ん…」「は、はい!何でしょうか?」「今の聞いてたわねー」「ゆ、雪は何も…」

そう言うと、雪さんは走って逃げて行く。

「あ、こら。待ちなさい〜!」



白銀の部屋の前まで来た時、首筋に何やら冷たい物が触れる。

「…誰だ?」「舞い〜。その人は怪しい人じゃないですよ」

誰だ、この二人? それより、この剣は何だよ。

「……」「ふー、死ぬかと思った」「すいません。舞が、迷惑をおかけしたみたいで」

「別にそれはいいんだけど、何でそんな物騒な物を持ってるんだ?」

「私は魔物を狩る者だから」「魔物?」

もしかして、穂村さんの事か?

「何でこんな所に居るんだ?」「仕事…」「そうなんです。私達はシークレットサービスなんです」

「ふーん、そうなのか。こんな間近で見れるとはな」「そうですね」「それじゃ、頑張ってくれよ」

「はちみつくまさん」「は?」「今のは、はいって言ってるんです」

訳が判らず、首を傾げる。

「いいえの時は?」「ぽんぽこたぬきさん」

何だかよく判らんな…。深く考えるのは止めておこう。

部屋の中を覗いてみるが、雪さんは居なかった。

「誰かお探しですか?」「あ、そうなんだ。雪さんをね」「あっち…」「あっちに行ったのか?」

「そう…」「サンキューな」

教えてもらった方に向かう時、目の前を水月が走って行く。

いったい、何があったんだ? すごい剣幕だったし…。

「魔物…」「違う!違う!あれは、俺の嫁さんだ」「魔物?」「だから、違うって。判ったか?」

「はちみつくまさん」「よし!頑張れよ」「ぽんぽこたぬきさん」「お前なー!」「冗談…」

「あははは…舞が冗談を言うなんて、珍しいですね」「そうの?」「はい!」

その後、しばらくそこで話し込んだ。


夜、ベットに横になりって天井を眺めていると、水月がやって来た。

「何か考え事?」「ああ…」「もしかして、穂村さんのこと?」「それもある…」「他に何かあるの?」

「いろいろとな…」「そうなんだ…。ねー、あのね…」「ん?どうした」

水月は顔を赤くしている。

「最近、忙しいでしょ…だから、私ね…」

俺は黙って、水月を抱き寄せる。

「心配してくれてるんだろ。最近、ずっと働き詰だからな」「うん…」「俺は、大丈夫だから」

「でも…」「何かあったら、一番最初に水月に言うから」「うん…後ね…」「ん? どうした」

「久しぶりにね…」「そうだな」

その夜は、二人だけの時間の過ごした。

300,000HIT記念に続く

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