再会
そっと部屋に入って、ベットの脇に座り、水月の寝顔を眺める。今日だな…皆との再会の日…

水月を起こさないように静かに立ち上がろうとした時、水月に腕を掴まれる。

起こしたか…?なんだ、まだ寝てるじゃないか…、ん?泣いてる…。

しばらく側に居てやると、自然に笑顔に変わっていく。

どんな夢を見てるんだろうな〜。

そっと水月の手を布団の上に置いて、部屋を出て朝食を作り始める。

出来た頃に水月が部屋からで来る。

「おはよう」「おはよう…ごめんね…」

「どうした?いきなり誤るなて。何か悩み事でもあるのか?」「うん…ごめん…」

水月はそれだけ言うと座って朝食を食べ始める。朝食を食べ終わるとまた部屋に閉じこもる。

昼にあの丘で会うことになっているから、まだ時間的には余裕があるが…

部屋の中をのぞくと、カーテンが閉まっっており、電気もついていない…まさに漆黒の闇の世界だ。

そんな中に水月は蹲っている。そっと近づこうとした時に水月に言われる

「すこし、一人にして…」「……判った」

部屋から出て壁に寄りかかりながら天井を見上げる。

まったく、俺って馬鹿だな…。水月のこと判った気でいたんだな…。

今日が水月にとってどんな日かなんて、少し考えれば判ることだよな。

外に出てしばらく空を見上げていると、後ろに水月が居ることに気がつく。

「もういいのか?」「うん…ごめんね…」

「だから、そうやってすぐに誤るなって。答えは出たのか?」

「うん…」「そうか〜、ならよかったな。中に入ろうか」

中に入ろうとした時に水月が俺に抱きついてきた。

「最近になってすごく不安になったの…」「何で…まさか孝之の時みたいに、俺が水月を…」

水月は黙って頷き、そのまま下を向く。そんな水月の顔をそっと持ち上げる

「馬鹿なこと考えるな!まったく、俺が水月のこと嫌いになる訳無いだろ?」

水月を強く抱きしめる。

「うん…そうだね…」「だから、もう心配することないって…」

「ごめんね、変なことばっかり言って…」「いいって気にするな、それよりそろそろ行くか?」

「そうだね」

二人であの丘に向かう途中で、水月が俺のくっついてきた。

「うわ!恥ずかしいだろ…」「いいじゃない!さっきの言葉は嘘だったの?」

水月はジーっと俺の顔を見る。俺は紅くなりながら目をそらすと、水月はそらした方に回り込む。

「いいよ、別に…。そのかわり、丘の所までだぞ!」「うん!」

水月は嬉しそうに笑う。そのままあの丘のしたまで行く。

「ここまでって約束だぞ!」「うん…」

水月はすごく残念そうな顔をする。なんだか罪悪感を感じてしまう。

先に俺が丘を登り、その少し後から水月が登ってくる。

丘の上の木の下で、孝之は涼宮に膝枕をしてもらい、気持ちよさそうに眠っている。

涼宮は俺に気がついて、微笑みながら手を振る。

「まったく、幸せそうな顔してるな」「そうだね…水月は?」

「ほら、あそこ」「あ!水月〜…」

涼宮は立ち上がって、水月に駆け寄る。言うまでもなく、孝之は後頭をぶつけてもだえている。

二人の方を見てみると、二人とも泣きながら何か話をしていた。

誰かが丘を登ってくるのが見てる。よく見てみると、茜ちゃんだった。

そして、水月に気がつくとゆっくりと近づいて、何や言って泣き出す。

水月は茜ちゃんをそっと抱き寄せて、頭をなでている。

「あいたたた…」「お!やっと起きたか〜!」

「何でこんなところで、あんな事してたんだ?」「それはだな…」

孝之が説明を始めようとした時、涼宮が来て孝之の口を抑えてニッコリと笑いながら言う

「ね〜二人って付き合ってるの?」「え!なんだよー、いきなり」

「ぷは〜!本当なのか?」「最近のお兄ちゃんの行動を見てればすぐに判りますよ!」

水月の方を見てみると、水月が走ってこっちにやって来て、俺にくっつく

『おお〜!』と三人はすごく驚いた様子だった。

その後は質も攻めにあったのは、言うまでもない。

正直、今の水月を見て少しホッとしている。最初はすごく心配だったが、今ではそんな心配も

どこかにいってしまった。

あんな楽しそうな水月の笑顔を見るのはどれくらいぶりだろう…。

そんなことを思いながらそれを見上げていると、孝之が小声で聞いてくる。

「な〜、どこまでいったんだ?」「は〜?何のことだ?」

「よく言うだろ、Aとかってあれだよ!あれ!」

孝之ニヤニヤしながら聞いてくる。

「なら、お前らはどこまでいったか言えば、教えてやるよ!」

「本当だな!その言葉に嘘偽り無いな!」「ああ…」

「ね〜、二人とも帰らないの?」

『え?』と孝之と同時に言う。

「今から、家に行こうってことになったんだよ」「家ってもしかして…」

「そうよ!」「お兄ちゃんの家に行くのって、これが初めてだね」

「おいおい、俺に何も聞かないで、勝手に…」「さ〜帰ろう!」

水月は俺の手を引っ張って丘を駆け下りだす。涼宮も孝之と一緒に降りてくる。

茜ちゃんは、少し木の所で考え事をして降りてくる。

水月は帰り道はべったりと俺にくっついている。

家に着いて中に入ると、三人はまた『おお〜…!』と声をあげる

水月は昨日の残りものを温めて、テーブルの上に並べる。もちろん、カレーも…。

「再会を祝して!乾杯〜!」『乾杯〜!』

「今日は再会記念日だね」

涼宮がそう言ったとたん、孝之がすごく慌てて涼宮を部屋に連れて行った。

しばらくして涼宮がしゅんとして戻ってくる。何があったかは一切不明だ

その後、水月は倒れるまで飲みつづけ、涼宮はどれだけの飲んでも顔色一つ変わらない

茜ちゃんは酔っ払って、何を言っているのか判らない。

結局、家に泊まることになるのだった

ーENDー



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