お別れ…そして |
えっと…この問題はっと 部屋で宿題をしている時のことである。その日は、暑くもなく寒くもない。いたって普通の日だった あの出来事が起きるまでは… 一息つこうと、コーヒーを入れて飲むでいる時、押入れで物音がする 何だ…ネズミか? そう思ってたいして気にしなかせず、宿題に取り掛かる 宿題も終わり、テレビを見ていると押入れから、さっきより大きな音がした後『ふぇ〜ん…助けて〜』と声が聞こえる 誰か居るのか?しかし…押入れに人が入れるスペースなんて…あったか? とりあえず押入れを空けてみる。そこにあった光景に驚く 「な、なんじゃこりゃ〜!」 さかさまに荷物の間に挟まった遙がそこに居た 「何でまた、押入れなんかに…」「私にも解らないよ〜。どうして、押入れの中に居たかなんて…」 そうだな…普通は解らないよな 鍵が開く音がし 「孝之〜居る〜?」 そういいながら水月が入って来る 「どうしたんだ?」「うん。一緒に宿題をしようと思ってね」「そっか…」 あれ?何で水月は遙のことを何も言わないんだ? 「晩御飯食べた?」「いや…まだだけど」「なら、なにか作るね」 水月はそういって、鼻歌まじりに台所に立つ 「孝之君…」「何だ?」「水月って、前から感じだったかな〜?」「え!?」「何だか、違う気がする…」 遙は沈んだ顔をする 「お待たせ!」 水月が料理を持って、帰ってくる。そして、置かれたのは二人分だった 「おい…なんで二人なんだ?」「え!?私と孝之でしょ?ほかに誰か居るの…?」 水月はキョトンとした顔で俺を見る え!?今…なんていった? 「もー大丈夫…?風邪でもひいたんじゃない?」 二人だって…そんな馬鹿なことが…。遙は確かにここに居る ゆっくりと遙の方を見る。そこにはちゃんと遙は居た 何で、水月は二人だなんていったんだ? 「孝之〜どうした?ぼーとして…ま、いつものことだけど」「何だと〜!」「冷めないうちに食べましょ」 水月が帰り、遙と二人っきりになる。遙をじっと眺める 「孝之君…そんなに見られると、恥かしいよー」「あ、悪い…」 あわてて顔をそらす。突然電話が鳴りだす。でてみると、茜ちゃんだった 『お姉ちゃんが…お姉ちゃんが…』 電話の向こうから聞こえてくるのは、取り乱しながら泣いている茜ちゃんの声だった 「茜ちゃん…どうしたんだ?落ち着いて話してくれ…」『お姉ちゃんが…お姉ちゃんが…』 「遙がどうしたんだ?」『さっき、容態が急変して…それで…』「え!?」 座っている遙の方を見る 『今…意識ないんです…』 それを聞いて、受話器が床に落ちる 嘘だろ…遙はここに居るじゃないか…。病院を退院して、俺を脅かそうとして押入れに… 「孝之…君…。私…どうしたの?」 遙は心配そうな顔でこっちを見てくる 何かの手違いさ、そうだよ…だって、遙はここに居るんだから 遙に近づいて触ろうとするが、体を通り抜ける え!? 「う、嘘だー!」 何度もやってみるが、結果は同じだった 「う、嘘だよな…遙…。嘘だって言ってくれ…」 泣きながら遙の方を見る 「孝之君…ごめんね」 遙はそういってにっこりと笑う 「本当は…お別れを言いに来の…」「そんなことを言わないでくれ…頼むから…」 遙はゆっくりと首を横に振る。そして、遙の背中に羽が生えてゆっくりと浮かび上がる 「待ってくれ…遙…遙〜!」 遙の周りに天使がやって来て、遙を連れて行く 『孝之君…少しだったけど、私…涼宮遙は…凄く幸せだったよ』 遙は笑顔で消えて行く 「は、遙〜!」『水月と…仲良くしてあげてね…』 あれからどれ位断つだろう…今日もまた、あてもなく電車に揺られる 今どのあたりを走っているのかさえ解らない。ただ、呆然と窓の外を眺める 自分の生き方を見つけるまで、あそこには帰ることはないだろう 水月達…元気でやってるかな〜? 電車が止まったので降りる。手持ちの切符では、ここまでしか乗れないのが真実である 改札を抜けると、ベンチに座ってラジオを聴いているお爺さんが居た そのラジオから流れてくる音が自然に耳に入って来る 『涼宮選手!金メダルです!』 ふっと笑い、荷物片手に駅から出る |
ーENDー |