90,000HIT記念品のおまけ
とある日俺の携帯に速瀬から電話がかかってきた。

用件は、今度二人で会えなかってことだった。最初は驚いたがすぐOKをする。

「何時、どこに行けばいいんだ?」

「今度の休みって何時?」

「え〜っと…今度の日曜だな」

「じゃ〜、その日の10時に駅前でね」

その後、電話は一方的に切られた。

携帯に表示されている文字は非通知だった。

このことを孝之たちに教えてやろうと思い電話をしようとしたが、速瀬のあの言葉が脳裏のよみがえる。

『二人で…会いたいの…』 俺は携帯をしまい、家に帰り一人考える。

速瀬が俺たちの前からいなくなって、今日でちょうど4年… 短いようで、すごく長い時間…。

でも、日曜に速瀬と会う…俺はどんな顔をして会えばいいんだ… 答えがでないまま、日曜日を迎える。

昨日は一睡もしていないが支度をして家を出て駅に向かう 時計を見ると8時間だったが、気にせずに駅前に向
かう。

駅前に行って見ると、速瀬はもう来ていた。慌ててその辺りにある時計と自分の時計見比べる。

速瀬はそんな俺に気がついて、こっちに来る。

「待たせたな…」

「ううんそんなことないよ」

「あの丘に行こう」

「え!…」

そのまま、速瀬に引っ張られてあの丘に向かう。

丘に向かう途中に速瀬は懐かしそうに、町並みを眺めている。

お互いに何も話さないまま、あの丘の上に来た。

速瀬はう〜んっと背伸びをする。

そして一言、

「みんな…元気?」

「元気だぞ」

「そう…良かった〜」

「…?」

そう言って空を見上げる。

そしてまた、沈黙が続く。

「な〜、どうして俺なんかに電話したんだ?」

「それはね、孝之だと会いにくいでしょ〜。かといって茜だといろいろとあるから…」

水月は苦笑いしならが言う。

俺は速瀬が言いたいことはさっぱり判らなかった。

「速瀬…」

「どうしたの?あらたまって…」

「今から言うことは、ちゃんと聞いて欲しいんだ!」

速瀬の目を見ながら言う。

「俺と付き合ってくれ…!」

速瀬はすごく驚いた顔をするが、俺は続ける。

「ずっと好きだったんだ!孝之とならいいと思った。俺は側で見てるだけで…でも、もう俺は…」

思わず、目から涙が零れ落ちる。速瀬はそっと俺の涙を拭いてくれる。

速瀬も涙目だった。

速瀬は涙目のまま一言『これからよろしくね』っと言う。

俺は速瀬を抱きしめる。しばらくそうして、その後キスをした。

これが最初のキスだった。 「ね〜、これ覚えてる?」

速瀬が一枚の写真を取り出しながら言う。

その写真は俺たちで取った最初の写真だ。

「ああ、忘れるわけないだろ〜」

速瀬はくすっと笑う。

「そうね、忘れるわけないわよね〜…」

速瀬は空を見上げる。

そして、速瀬がカメラを取り出す。

「一緒に撮らない?二人の記念に」

「いいぞ」

速瀬は腕を目一杯伸ばして、シャッターを押す。

「ちゃんと取れのか?」


「うーん、どうだろ〜?現像してみたら判るわよ〜」

ま〜それもそうか…。

速瀬が『帰ろうか〜』といって、二人で駅に向かう。

速瀬と別れる時に、小さなメモを渡された。

そのメモには小さく、『今度、電話してね』と電話番号が書いてあった。

改札に目線を戻した時には、速瀬はもう居なかった。

「ね〜何見てるの〜?」

「うわ〜!なんでもない」

慌てて、一枚の写真を引き出しに入れる。

みなもは不思議そうな顔で俺のことをじっと見ている。

「支度は出来たのか?」

「うん、ばっちり!」

「なら行くぞ」

「うん!」

みなもと一緒に部屋から出る。

さっき隠した写真…それは水月と二人で撮った最初の写真…

ーENDー



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