贈り物 |
「水月…せんぱ〜い!」 元気良く部室のドアを開ける あれ…? 「水月なら、来ないわよ!」「え!?」「今日は急用があるとかで…」 それを聞いて、大急ぎで部室から出る 「もう学校には…行っちゃったか…」 「すみません…水月先輩」「そんなに気にしなくても良いのよ。それにしても、意外だったわね〜」 「え!?」「茜が、孝之にプレゼントするなんて…」「な、何を言いだすんですか〜!」 茜は顔を真っ赤にしながら両手を横に振る 「こ、これは…お兄ちゃんへの誕生日プレゼントで…」「ふふふ…判ってるわよ。そんなこと」 「あ〜!水月先輩…ひどいです!」 茜はぷ〜と顔を膨らます ドドド…… え!? 「水月…せんぱ〜い!」「ちょ、ちょっと…」 いきなり飛ついて来る。そのせいで、かなり後ろまで一緒に吹っ飛ぶ 「あ〜!」「あいたたた…」「水月先輩…大丈夫でしたか? 変なことされませんでしたか?」 な、何で…あんたは無傷なの…? 「ちょっと!危ないじゃない!」「水月先輩…練習に来てないから、心配しましたよ」 「今日は、茜に買い物に付き合ってほしいって頼まれてたのよ…」 苦笑いを浮かべながらそう答える 「どうして…私に言ってくれなかったんですか?私、心配で…」 ゴゴゴゴ…… 「あ、茜…」「まだ居たんですか!用事は済んだんですよね?だったら…」 ふにゅ! 「あにふるんですか〜!」「それは…こっちの台詞です!」「まぁまぁ…茜も御ついて…」 「絶対に嫌です!」 茜は涙目で私の方を見る。茜の足元を見てみると、グチャグチャになったプレゼントが転がっていた 「とにかく!やめなさい!」 二人を引き離す。そして、あたりの視線に気がつき、二人を連れてその場から立ち去る 水月家… 「茜も機嫌直して…ね?」 茜はプイっとそっぽを向く あははは…どうしたものかしらね〜。茜の気持ちも、判らなくはないわね 茜が楽しそうに、プレゼントを選んでいた時の様子が頭に浮かぶ 「茜…悪気があったんじゃないと、思うから許してあげて…ね?」 「嫌です!水月先輩も知ってますよね!私がどんな気持ちで、あれを選んだか!」「う、うん…」 「だから、なんと言われようと嫌です!」「茜…お願い…。ことの通よ…」 頭を抑えながらいっしょに土下座をさせる。茜はゆっくりと立ち上がって、部屋の入り口まで歩いて行く 「あ、茜…どこに行くの?」「買いに行くんです!誰かさんのおかげで、駄目になりましたから!」 茜はそういって睨みつけて、部屋から出て行く 「あ、茜…」「水月先輩…怖い人ですね〜」「前か言おうと思ってたんだけど…」「…?何ですか?」 「少しは、他人の気持ちって物を考えなさい!それが出来ないんだったら、私に近づかないで!」 それだけいって部屋から出て行く 「御免ね…茜」「水月先輩が誤ることじゃないですよ!悪いのは、全部あの子なんですから!」 茜は膨れ面でプレゼントを選ぶ。物陰に隠れながら、こっちの様子を伺っている人影があった 来たわね…。そろそろだと思ったわ 「あの…」「何?まだ何か用事!」 茜の剣幕にビクッとする 「さっきは…御免なさい…」「いまさら、遅いわよ!」 それを聞いて下を向く 「うん!これが良いわね」 茜がレジに向かうとそのあとを追いかけて行く さて、これからどうなるかしら? 遠くからその光景を見守る 「だから!私が変わりに払います!」「良い!私が払うから!」「良いえ…」 ギャーギャー あははは…仲直りなんて、本当に出来るのかしら 呆れ顔でその場に立ち尽くす |
ーENDー |