日常 -第六章-
「お〜い、起きろ〜朝だぞ〜」「…ん?」

布団を引っ張り、中に潜る

「寝ぼけてないで、ささっと起きる!」「まだ早いだろ?」「いいから起きろ!」

そう言って、布団を剥ぎ取られる

「判ったよ…」

起きて、自分の胸を確かめてみるが、やはり戻っていなかった

やっぱり戻ってないか…

「どうした?」「別に…」「あゆは起こさないでいいのか?」「もう少し寝かしとこう」「それより、ほれ!」

透は女生徒用の制服を差し出す

「マジでやるのか?」「無論だ!」「やっぱり、休んじゃ…ダメ?」

可愛いく言ってみる

「ダメだ!誰のためだと思ってるんだ!」「それはそうだが…。発端はお前にあるんだからな!」

「判ってるから、ささっと着替えろ!」「判ったよ!だから、出てけ!」

「あー!そうかー、悪かったな…」

そう言って透は部屋から出て行く。それを確認して鍵を閉めて着替えを始める


「あゆー!学校に遅れるぞー」「ふにゃ…?」

あゆは寝惚け眼で俺を見る

「学校に行かないのか?」「そうだね、行かないといけないね…ふにゃ〜」

そう言って、バタンと倒れる

「ちゃんと目を開けろ」「おはよ〜」「はい、おはよ〜」「可愛いね」

あゆはニヤーと笑う

「何が?」「剛君の格好だよー」

これは、半分は寝てるな…

「とりあえず、顔洗ってこい」「うん…」

あゆはドアのほうに向かって行く

ガン!

ゆっくりとドアのほうを見てみると、寝ぼけたあゆがドアにへばりついていた

「大丈夫か?」「うん…大丈夫だよ」

鍵を開けてやるとあゆは出て行く

大丈夫かなー?

「よく似合ってるなー!」「どわ〜!」

驚いて、飛び上がる

「驚くことないだろー」「いきなり出てくるからだー!」「それより、飯食わないのか?」

「食べるよ…」「じゃぁ、作れ!」

透はさも当然といった顔で言う

「はい…?」「女が作るのは当然だろ?」「俺は男だ!」「今は女だろ?何か反論はあるか?」

「うぐ…ありません」「じゃぁ…美味いもん頼むぞー!」

好き勝手なこと言いやがって、こっちの身になってみろってんだよ!

台所に行き、適当に作る

「ほれ、出来たぞ」「ほとんど昨日の残りだな…」

透は不満そうな顔をする

「うるせー!文句あるんだったら食うな!」「判ったよ、食べてやるよー」

俺にしろって方が間違えなんだよ!

「おはよ〜」「目覚めたか?」「うん、バッチリ!」

あゆはブイサインを出す

「なら早く食べて学校行くぞ」「うん!」

あゆと一緒に食べ始める


「さて、行くか」「そうだね」

出かけようとしたし時に、立ち止まり透の方を向く

「約束…忘れるなよ!」「判ってるって。あ、それと内股を心がけろよー!」「うるせー!」

本当かなー?怪しいもんだ

「あゆ、行くぞ!」「は〜い♪」

あゆと一緒に家を出る


「ルンルンルン♪」「いやにご機嫌だなー」「だって、こうして二人で学校に行けるんだもん♪」

「それはいいが…いい加減、離れろ!」

あゆを引き離そうとするが、一向に離れない

「ヤダー!」「いいから、離れろ!」「いーや!」「離れろ!」「お暑いね〜、お二人さん」

見てみると、透が呆れ顔で立っていた

「見てないで手伝え!」「別に良いんじゃないか?」「何でだよ?」

「別に、男と女がそうしてる訳じゃないんだから…」「そうだよー」

「そんなの関係ない、早く離れろ!」「やーだ!」「じゃ!頑張れよ!」

透はスタスタと行ってしまう

「コラー!待てー!白状者ー!」「行っちゃったね」「だから!離れろー!叩くぞ!」

「女の子同士、何だから良いじゃない」「俺は男だ!」「今は女だよ」

あゆはさも当然といった顔で言う

「外見のこと言ってるんじゃない!中身のこと言ってるんだ!」「中身?」「そうだ!中身だ!」

「でも、外見は女だからいいじゃない♪」「よくないって言ってるだろー!」

「それより、早く行かないと遅刻しちゃうよー♪」

あゆに引っ張られながら、学校に行く


「結局、遅刻かよー」「早く走らないからだよ」「誰もせいだ!誰の!」「私は違うから剛君のせいだね」

「お前だよ、お前!」

あゆを指差す

「私のせいなの?」「さっさと離れてれば、遅刻もしなくも良かったのによー」

「今時、廊下にバケツ持って立たせるかー」「そうだね。考えが古いんだね」

あゆはニコニコと笑いながら言う

「お前が言うな!お前が!」「えー!私はそんなに考えは古くないもん!」

あゆはプーと膨れる

「どうだか…」「あー!信じてないでしょー」「やっぱり判るか?」「それくらい判るよー!」

「ふぁ〜眠い…」「え!?」「今日は、早く起きたからな」「そうなんだー」「よし、二人とも入ってもいいぞ!」

は〜、やっと終わった〜

教室に入って机で爆睡をこく

「お昼だよー、起きてー」

ペチペチ

「ん?もうそんな時間かー」「お弁当食べよー」「弁当?」「そうだよ」

あゆは笑顔で言う

「ん…?あー!持って来てない!」「大丈夫だよ、ここにあるから」「本当か!?」「うん!ほら」

あゆはお弁当箱を俺に差しだす

「早速いただきますかー」

ヒョイ

「何するんだよー?」「ただじゃ、あげれないよ」「交換条件ってことか?」「うん!」

あゆはニッコリと笑いながら頷く

「望みは何だ…」「帰り一緒に帰ってくれる?」

それだけか、そんなの簡単じゃないか

「いいぞ、だからよこせ!」

ヒョイ

「まだ何かあるのか?」「腕組んで帰りたいい?」「はい?」「だって、朝出来なかったもん」

「ハイハイ…判りました」「本当に…」「判ったって言ってるだろー!」「はい」

ふぅ…やっと食べれる

「ところで、これ誰が作ったんだ?」「私だよ♪」

あゆは自信満々で言う

「ふ〜ん…」

ふたを開けて驚く

「何これ…」「お弁当だよ♪」「それは見れば判るけど…。日の丸弁当って言うやつだよなー?」

「そうなんだー。知らなかったの?」

スパン!

「いったいー」「ところで、おかずは何処にあるんだ?」「そこに置いてあるよ」

あゆはご飯の上にある、梅干を指差す

「もしかして、この梅干がそうだって言てんのか?」「そうだよ♪」

馬鹿だ、こいつは相当な馬鹿だ

呆れがで首を横に振る。やけくそになり、弁当を食べる

がつがつ…

「ご馳走様。じゃぁ、おやすみ…」

バタン…

「食べてすぐ寝ると、太るよ」「それもそうだな、そうだ少し覗きに行ってみるか?」「何処に?」

あゆは頭の上に?をだす

「それはもちろん!」

ニッコリと笑い。透の居る教室に向かう

「透さんの所に行くの?」「そうだ!あいつがうまくやってるか、心配だからな」

「ふ〜ん、多分うまくやってると思うよ」「俺もそう思うが。確かめてみないことには、何とも言えないだろ?」

「それも…そうだね」「よし、着いたぞ」

そーと中を覗いて見ると、真琴と何か話している

「あそこで、真琴と何か話してるよ」「そうだな、何を話してるんだ?」「あ、真琴がこっちに気がついたよ」

「何か…すごい顔してるぞ」「そうだね…」「逃げよー!」

逃げようとした時に肩を掴まれる

「あらー。元気だった?」「ごらんの通り…」「そうなんだー」

「ねぇ、何か用事があって帰って来れなかったんじゃー?」「あー、それはもう済んだから」「そうなの?」

「じゃぁ…教室に戻ろうか?」

そう言って歩き出すと、真琴は前に回りこむ

「待ちなさい!」「はい…?」「あんた何やってんのよ!」「何のこと?」

「そんな格好して、恥ずかしくないの!」「何で知ってるんだよ?」「透から聞いたの!」「何〜!」

透の方を見ると、目をそらす

「様子がおかしいから、とっちめたら白状したわ」「さー、教室に入りましょうか〜」

「え!?」「『え!?』じゃないわよ、午後はここで受けるの!」「ここでー!」「そう!」

真琴は当然といった顔で頷く。

「それだけは、勘弁してくれー!頼む!」「それは出来ないわね、良いからささっといらっしゃい!」

「嫌だー!」

柱にしがみ付く

「往生際が悪いわねー!ささと来る!」

ズリズリズリ…

「助けてー」

あゆと透に助けを求めるが、二人の姿は何処にも無かった


「これでよしっと!」「ほどけー!」「ダメよ!逃げるでしょ?」「誰が逃げるかー!」

「本当かしら?」

真琴は疑いの眼差しで見る

「第一この状況だったら、授業も受けれないだろ?」「どうせ、寝てるだけでしょ?」

「ちゃんと受けるって…」「仕方がないわね…」

真琴はロープをほどいてくれる

「ちゃんと受けるのよ!」「判ってよ!」「それにしても、本当になったの?」

真琴は疑いの眼差しで見てくる

「確かめてみろよ!」「じゃぁ…早速」

ふにゅ…

「うわ!本当だ!」「だろ?」「ねぇねぇ、茜ー!」

真琴は楽しそうに茜を呼ぶ

「馬鹿、呼ぶなー!」「…何?」「ちょっとここ触ってごらん」

ふにゅ…

「……」「どうだった?」「…変なのがあった」「変なのって言うな!変なのって!」

「…剛の格好も変!」「これは、仕方がないんだ…」「どうして?」

「いろいろと訳があるのよ」「そうなの?」「そうなんだ!」「判った!」

そう言って茜は席に戻って行く

「ちゃんと受けなさいよ!」「判ってるよ、受けるって!」

真琴は席に戻るまでに、何度も振り返って居るか確認しする


「すー、すー」

コン!

ん?何だ?

目を開けて見てみると、机の上に紙が落ちていた。広げて見ると真琴の字で『それ以上眠ったら殺す!』と書かれていた

まー、冗談だろ

真琴の方を見てみると、すごい剣幕でこっちを睨んでいた

これは、冗談じゃないな

身の危険を感じ取る。『判りました、もう寝ません』と真琴に意思表示する。その後、ボー外を眺める

コン!

今度は何だ〜?

『ちゃんっと聞け!このボケが!』

聞いてるって…。まあ、左から入って右に抜けてるけどな

コン!

『ノートくらいとれ!』

判ったよ。しますよ

ノートを出して書き写し始める

コン!

だー!今度は何だよー!

『その調子で頑張りなさい!』

これだけの為に、投げたのか?

そのまま、真琴の監視が終了まで続いた


「やっと、終わったー!」「剛君!帰ろー!」「おう!帰るかー」「ちょっと待ちなさい!」

グイっと後ろに引っ張られる

「何だよー?今日は掃除当番じゃないぞ!」「私も帰るから、ちょっと待ってないさ!」

はー? 何言ってんだ…こいつ?

「判りましたよ、早くしろよ」「先に行ってるね」

あゆと一緒に下足箱のところに行く

「ここで待ってれば良いだろ」「そうだね」「それから…離れろ!」「約束忘れたの?」

あゆはキョトンと俺の事を見てくる

「約束?何だそれ?」「お昼の約束!」

あゆは腕を上下に振りながら言う

「ああ…あれかー」「それは、校門を出てからにしてくれ…」

ときざに言ってみる

「校門を出たらしても良いの?」

あゆはジーと俺の事を見てくる

「良いから!ここでは離れろ!」「はーい♪」「お待たせー!」「まったく、ぐずだな…」「何か言った?」

真琴はニッコリと笑う。その手にはハリセンが握られていた

「さ、帰るぞ…」

そう言って歩きだす。そして、校門を通った所で、あゆがニコニコと笑いながらこっちをみる

「校門を通ったから良いよね♪」「そうだな…」

そう言って走りだす

「あー!逃げるなんてずるいよー!」

あゆも走って追いかけて来る

「あゆは、陸上部の部長なのよー!勝てると思ってるのー?」

遠くから、真琴がそう叫ぶ

そうだった!すっかり、忘れてた

急ブレーキをかけて止ると。そこにあゆが突っ込んで来る

ドン!

「いった〜!」「やっと捕まえた!」

あゆはえへへへ…と笑う

「まったく、この二人は何をやってるんだか…」

真琴は呆れ顔で歩いて来る

「うるせな〜!」「そうだ!帰りにちょっとあそこ行かない?」「あそこ?」「良いから、ついてらっしゃい!」

真琴そう言って、一人で歩いて行く

「何処に行くんだ?」「さぁ…」「何やってるの?さっさと、来なさいよー!」


結局、連れて行かれた場所は、洋服店だった

「ここで…何しようってんだ?」「それは、もちろん」

真琴は不適に笑う

「何だよ…その目は…」

思わず、後ろに二、三歩さがる

「さ、入りましょうかー」

真琴は俺のことを引っ張って、中に入ろうとする。その手を振り払う

「ちょっと待て。俺は男だ!そんな女物なんか着れるか〜!」「今着てるのは何かしら〜?」

真琴はシラーと見てくる

「これは、仕方がないからっで…」「良いからいらっしゃい!」

ズリズリ…

「嫌だー!絶対に嫌だー!」「往生際が悪いわねー!観念しなさい!」

そのまま、店の中に引っ張り込まれる

第七章に続く


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