日常 -第二章-
ジリリリリ……

もう朝か。目覚まし…目覚まし

手探りで探して、目覚ましを止める

もう一眠りでもするか

「すーすー」

ん?

「すー、すー」

別の寝息が聞こえるぞ

ゆっくりと、目を開けてみて驚いて、ベットから転げ落ちる

「どわー!」

横には、あゆが寝ていた。

な、なんで…あゆがいるんだ!

ここは

キョロキョロ…

俺の部屋だよな。うん! 間違えない! なら、何であゆがここで寝てんだ?

「おーい! あゆー起きろー」

あゆは気持ち良さそうに寝息を立てる。

ダメかー仕方がない! てい!

ガス!

あゆをベットから落としてみる

「すーすー」

起きない…次はこれだ!

パン!パン!

あゆの頬に、平手打ちをくらわす。するとやっとあゆは目を開ける

「あ、おはよ…」「『あ、おはよ…』じゃない!」「ふぇ?」「何で、お前がここで寝てるんだ?」

「あのね…真琴に頼まれて、起しにきたの〜」

あゆはまだ半分寝た顔で答える

「起しにきた奴が、寝るか?」「森本君が、気持ち良さそうに寝ていたるのを見たら、眠くなったの…」

それで添い寝かよ。まったく何を考えてんだか

「ところで、何処から入って来た」「あそこ!」

あゆは窓を指差す。

「は〜? 冗談は程ほどにしとけよ」「本当だよ…飛んで来たんだもん!」

何言ってんだこいつ? 頭大丈夫か?

「人間は飛べるか…? 普通…」「本当だよ…飛んできたもん!」

「まさか、背中に羽根があるから飛べるって、言うんじゃないだろうなー」「そうだよ〜」

ズル!

こいつの頭は相当危ない

「頭…大丈夫か?」「大丈夫だよ」「良い精神科を紹介してやるぞ」「ふぇ?」

待てよ…たしか昨日は窓を開けてないよなー。だとしたら、鍵も閉まってるはずだ。まさか!

ドアの方を見てみると、慌てて隠れる人影があった

「出て来い! お前だなー!」「何のこと?」

透は惚けた顔をする

「惚けるな! 昨日、ここの窓の鍵を開けたのはお前だろ!」「ひどい! うがってるの…しくしく…」

そう言って泣きだす

だー! もう調子がくるう

「昨日は、俺とお前しかいなかった。俺は開けてないんだから、お前しかいないだろがー!」

「ひどい、じつの姉をたがうなんて…おいおい…」「誰が姉だ! 兄だろうが! 兄!」

「またひどいことを…私は女の子よ」「じゃぁ、戸籍の男ってのはなんだ! えー!」「ただの間違え!」

透はキッパリと言う

「そうですか。勝手に言ってろ!」「そんな酷い事を言うんだったら、泣いちゃうから…」

「勝手に泣いてろ! 俺は知らん!」

そう言って、部屋のドアを閉める

ところで、あゆは?

ベットの方を見てみると。またベットで寝息を立てていた。

こいつ…俺をからかってるのかー!

「起きろー! コラー!」


「おはよー!」「だから『おはよー』じゃないって言ってるだろ!」「……おやすみ」

バタ!

「それも違うー!」

何で朝からこんなに疲れるんだよ。まったく。

「ところで、学校は良いのか?」「え?」

あゆは掛け時計を見て、ゆっくりとこっち向く

「どうしよ…」

今にも泣きそうな顔で俺の方を見る

「どうした?」「遅刻だよ…」

さらに泣きそうな顔になる

「俺は、休むから関係無い!」「それはダメ! 森本君を迎えに来たんだから!」

「迎えに来た奴が、一緒に寝るのか?」「それは…」「早く行ってあげなさいよ。あゆちゃんが可愛そうよ!」

「泣いてたんじゃないのか?」「煩い! さっさと行く!」

透はビシッと玄関を指差しながら言う。

「わーたよ! さっさと部屋から出てけ!」「だめだよ! また寝るつもりでしょ! 絶対に!」

「だまらっしゃい! 着替えるんだよ!」「あゆちゃんは外に出て、私が見張っとくから」

「お前も出てけ!」「なんでよ、男同士じゃない!」「さっきは、女って言ってたぞ!」

シラーと透を見る

「そうだった?」「いいから出てけ!」

部屋の出口を指差す。

「判ったわよ!」

たく! 着替えをするだけで、これだけ疲れるんだよ。念のために

ドアのところに行き、鍵を閉める

これでよし! もう入ってくる心配はないな。おっと! 窓もかぎ閉めとかないとな

窓のとこに行って鍵を閉める

さて…おやすみー!

ベットに入って目を閉じる。しばらくして、携帯電話が鳴りだす

誰だー?

携帯を取って見てみると、真琴と表示されていた

何だ…真琴かー

ポイ!

携帯を捨てて、また目を閉じる

ほっとけば、切れるだろ

ピリピリピリ……

だー! なんだよ…さっさと切れよ

「はい! もしもし!」『あんたー! 何やってるの!』

あまりの煩さに、携帯電話を耳から離す

うるさー電話を離しても、何を言ってるか判るくらい、喚くなよなー

『何で来ないのよ?』「風邪気味でな。ゴホゴホ…」『嘘つくつもり?』「嘘じゃないって…ゴホゴホ」

『へー。じゃぁ、あゆが嘘を言ってるのかしら?』

あゆのやろ。真琴に報告の電話しやがったな

「そうだろうな」『そんな訳ないでしょ!』「判ったよ…サボったことは誤るから…な」

『それだけじゃないでしょ?』「何かあったか? 覚えがない?」『あんた本気で言ってる…』

「もちろん!」

自信満々で言う

『掃除よ! そ・う・じ』「あーあれかー!」『あー! じゃないわよ! どうするつもりな?」

「え〜と、確かその約束は今日だっか?」『そうよ!』「今日だけって言ってたよな?」

『それは、あんなたが来てやったらの話よ!』「今日だけって言ったのは、お前だぞ!」

ニヤニヤと笑いながら言う

『そんなこと言ったかしら?』「とぼけるな! 俺はちゃんと覚えてるぞ!」

『相変わらす、変なことだけはちゃんと覚えてるのね』「なんだよ! その言い方は」

『だって、勉強できないくせにいらない事は、沢山知ってるじゃない!』

その発言に返す言葉が見つからなかった

ピンポーン

「誰か来たみたいだ、切るぞ!」『あっちょと待…』

電話を切って玄関に向い、ドアを開ける


ガチャ!

「どちら様…です…か…」「元気〜!」

真琴はニッコリと笑いながら、手を振る。

「ま、真琴ー!」

慌ててドアを閉めようとするが、真琴が足で止める。

「あらー何をしてるのかしら?」「いや、何だ…嫌なもの見たから閉めようかと…」

あさっての方向を向きながら言う

「へー、嫌なものねー」

真琴はシラーと俺の事を見る

「そう、嫌なものだ…」「それって、誰のことかしら?」「誰のことだろうねー?」

「それは別に良いわ。さ、学校に行くわよ!」「ヤダ!」「へー。嫌なんだー!」

「な、なんだよ…顔がすごく怖いぞ」「こうなったら、力ずくで連れて行くしかないようねー」

パン!パン!

「暴力反対! 行くから、許して…」「もう、遅い!」

スパン!

「それでは、連れて行きます」「宜しくねー!」「あ、待ってよー。私も行くから!」

透は笑顔で見送る。


目を開けると、そこは学校だった

マジで、連れてきやがったのか

「やっとお目覚め」

真琴はそう言いながら、耳を引っ張る

「あいたたたたた…」「いいわ。ちょうど掃除の時間だから」

「そうか…なら、さいならー」「待てー!」

真琴はグイっとロープを引っ張る。腰に縛られたロープが締まる

「ぐぇ…」「何で連れこられたか。判ってないよね?」「さっきのショックで記憶が…」

「じゃぁ…思い出さないとねー!」

パン!パン!

「何する気だー」「何って…記憶を戻すには、同じくらいのショックが必要なのよ」

真琴はそう言いながら、ニヤリと笑う

「それは知ってるが…まさか、さっきのをやるつもりなのかー!」「そうよ…覚悟は良い?」

「良くない! 良くない! 全然…良くない!」

必死に手を振る

「そう言ったら、助かるとでも思ってるの?」「やっぱり、無理ですよね…」「よく判ってるじゃない」

「それほどでも…」「誰も誉めてないわよ!」「そうですか…」

後ろに少しずつ下がる

「思い出す時間よ」「もっと、他の方法があるのと思うんだけど…」「どんな方法?」「それ位、自分で考えろ!」

「他の方法ねえ…」

真琴は真剣に考え始める。その隙をついて、出口に向かって走る。

「あ! あゆ、行ったよ!」「任せて!」

目の前に、あゆが立ちふさがる

ゲッ! あゆ!

真琴がゆっくりと近づいて来て、肩に手を置く

「さー、やってもらいましょうかー! んー?」

真琴はニッコリと笑いながら言う。

「判りました…。謹んでやらせて貰います…」「判ればいいのよ、判れば!」

真琴はウンウンと頷く

「じゃぁ、俺はバケツに水汲んでくるから」「それなら、あゆが行ってくれたわ!」

ちくしょー、水汲みに行ったふりして、逃げようと思ったのによー

「あなたの事とだから、水汲みに行ったふりして、逃げるつもりだったんでしょうけど、そうは簡単にはいかないわよ」

真琴はシラーと俺のことを見る

「さー、やってもらいましょうか」「わ〜たよ!」

しぶしぶ、掃除をする。


「これでいいか?」「う〜ん…」

真琴は小姑みたいに指でスーとなぞる

「ダメね!」「何処がだよ〜」「ここ! 誇りが残ってるわ」

こいつは小姑か?

「それくらい、いいだろ〜!」「それくらいー?」

真琴はハリセンを取り出す

「悪かった、俺が悪かった…」「判ればよし!」

言われた所を掃除する

「今度は、文句無いだろ?」「窓が汚い!」「そこまで知るか!」「へー、よっぽど三途の川が見たいようねー」

「まさか! 本気で殺す気か?」「そっか…あんたが居なくなったら、私の過去を知る人は、誰も居なくなるものね」

「ひ、人殺したら捕まるぞ…」「それはさすがに困るわね。じゃぁ、死なない程度なら問題なのよね?」

真琴はニコニコと笑う

「十分問題があると思うがー!」「何か言った!」

真琴は鋭い目付きで睨みつける

「いえ…なにも言ってせん」「ぼさっとしてないで! 窓を拭く!」「は、はい!」

窓を拭き始める

くそー、なんで俺だけ

「適当にやったら…どうなるか判ってるでしょねー?」「どうなるんだ?」「聞きたい?」

真琴はニッコリと笑う

「いえ…結構です」「そう、残念…」

真琴は、すごく残念そうな顔をする。もくもくと窓を拭く

「これで文句無いだろ〜!」

真琴はまた、姑がよくやるようなことをやって言う

「まーまーね!」

こいつ…絶対に嫌われる姑になるぞ

「俺は帰るからな!」「誰が帰っていいて言ったの?」「まだ何かさせるのか?」

「もちろん!」

真琴はさも当然といった顔で言う

誰か…こいつを止めてくれー!

「逃げても無駄よ。あゆがすぐに追いかけるから」

確かに、あゆの脚力は恐ろしいものがる

「次は何処だ!」

ニヤー

なんかやな予感

「ついてらっしゃい!」

真琴はそう言って、教室から出てゆく。仕方なくその後をついて行く

「ここよ!」「ここって…」「そう! トイレよ!」「何で俺だけ…?」「何か文句でもあるの?」

真琴はそう言いながら、こっちを睨む

「あるの? ないの? どっちなの!」「無いです…うううぅぅ…」「頑張ってねー」

真琴はそう言って、何処かに行こうとする

「どっか行くのか?」「私が、男子トイレに入れるわけないでしょ」「それもそうだな…」

うしししし…これは、チャンスだ! 逃げるなら今だな

「あー。そうそう! 一つ言っとくけど…」「何だ?」「靴は、こちらで預かってるから」

「何ー!」「頑張ってねー」

真琴はそう言って教室に戻って行く

靴が無いと帰れないじゃないかよ! 畜生! こうなればやけだー

やけくそで、トイレの掃除をする


「はぁはぁ…」「終わったみたいね〜」「どうだ〜! 文句あるまい!」

「50点位ね」「何点中の…?」「200点!」

ガーン!

俺の努力っていったい

「次ぎ行くわよー!」「まだあるのか!?」「あとかるく、10ヶ所って所ね!」

「何で、そんなに沢山あるんだよ?」「今まで、サボってたつけがまわってきたのよ!」

つけねぇ。あははは…死ぬ。確実に殺される

その後も、永遠と掃除をさせられた


「だー! もう限界だー!」

そう言ってその場に座り込む。

「話す元気があるんだったら、まだいけるわね」「鬼! 悪魔! 厄病神! キング○ンビー!」

「誰が、鬼ですってー? それに、最後のキング○ンビーって何?」

真琴はキッと睨みをきかせる

「かるい冗談だ! 気にするな…」「冗談ねー、遺書は書いてある?」「い、遺書!」

「書いてないの?」「誰が書くかー!」「そう…」

真琴は残念そうな顔をする

「これくらいで許してくれよ…な?」

真琴は溜息をつく

「もう良いわよ! でも、今度サボったら…」「判ってるよ。これの何倍も、だろ?」

「判ってるじゃない! 本当は、教室だけで十分だったんだけどね…」

「今何か言ったか?」「別に…」

真琴は惚けた顔をする

「あゆー!」

真琴がそう叫ぶと、あゆが靴を持ってやってくる。真琴はそれを受け取り、俺の前に差し出す

「はい! あんたの靴」「これで、やっと帰れる…」「私達はこれで…」

真琴たちは出口に向かって歩き出す。

「さっと帰れー! この鬼婆!」

ガン!

真琴が投げた鞄が顔面にヒットする

「誰が、鬼婆ですって!」

顔を抑えながら、真琴を指差しす

「まだ言うか!」「うわー! 鬼婆が来たー」

そう言って逃げる。しばらく、走って後ろ見たが、真琴の姿は何処にも無かった

何とか助かったみたいだな。これで安心して帰れるな



家に帰って、ベットに倒れこんでそのまま眠る

「おーい! 起きろー!」

誰だ?

ゆっくりと目を開けると、透が覗き込んでいた

「お客さんだぞー!」「誰?」「女子だ!」「は〜?」「いいから出ろ!」「わ〜たよ!」

「今日は、男言葉で男格好なんだな?」「就職試験があったからな」「そうか、その方が似合ってるぞ!」

「そうかー? 俺的には、女の方が好きだがな」「勝手に言ってろ!」

そう言って部屋を出る時に、時計を見る

8時かー。誰だろ? こんな時間に

玄関に行ってみると、可愛い子がそに居た

「よっ!」「どちら様ですか?」「私よ! わ・た・し」

その子はニッコリと笑いながら、自分を指差す

「だから、誰?」「本当に、判らないの?」「全然!」

それを聞いて、その子は溜息をつく

「私だよ、私。真琴よ!」

「……冗談はよしてくれよ。真琴はもっとブサイクで、めがねかけてて地味で、がり勉君って感じの奴だぜ!」

言い終わると同時に顔にハリセンを食らう

「あんたって…私をそんな風に見てたのね!」「本当に、真琴だ…」「さっきから、言ってるでしょーが!」

「でも、なんでそんな格好してるんだ?」「ちょっとね…」「ふ〜ん、なんか用事か?」「はい、これ!」

真琴は、ちいさんな箱を差し出しす

「何だこれ? 爆弾か?」「馬鹿なこといってないで、さっさと受け取って!」

箱を無理やり渡される

早速、箱を開けようとした時に、真琴に止めらる

「後で、開けて」「何で?」「いいから!」「判った…」「じゃー、またね」

そう言って真琴は帰って行く

「何処で知り合ったんだ? んー?」

透はそう言いながら、首に手を回す

「何がー?」「さっきの子だよ」「バーカ! あれは、真琴だ! ま・こ・と!」「マジ!」

透は驚いた顔で固まる

「女は、化ける物だって、思い知らされたよ」「負けてられん!」

そう言って透は、燃え上がる

「勝手にしろ」

部屋に入り、さっきの箱を開る

時計かー、なんでくれたんだ?

今日は、誕生日でもないし。う〜ん…。いっか、貰っといてやるか

グー…

そうだ、晩飯食ってなかな

「兄貴ー! 晩御飯…」「どうしたの?」

またそれですかよ

「晩御飯なら、そこにあるわよ」「どうも…」「どうしたの?」「べつに…」

格好によって、よくころころと変われるなー

「いただきます」

なんでか、女の時は料理が上手くて、男の時はからっきしだめ何だ?

そんな事を考えながら、夕食を食べる

「ごちそうさま…」

食器を片付けて、テレビを見る

「ねぇ、これどうかな?」

透は新しい服を着て、俺の前でくるりと回って見せる

「よく、買う金あるよな」「無駄遣いしてないからね」「そうですか…」「ねぇ、おかしいかなぁ?」

「何処に来て行くかにもよるだろ?」「買い物!」「なら、良いと思うぞ!」「え!?」

「何だよ? 聞かれたことを答えただけで、そんなに驚くかー?」「いつもだったら…」

「いつもだったら『煩い! 目障りだから消えろ!』って言うって言いたいんだろ?」

透は何度も頷く

「たまには、こんなに日ぐらいあるさ。なんだよーさっきから、すごく珍しい物を見るような目で見て!」

「べ、別にそんな、つもりは…」「俺はどっちでも、良いけど。先に風呂に入るからな!」

そう言って、風呂場に行って中を見て呆れる

「お〜い、この空っぽの浴槽なんだー?」「あー! ごめん。忘れた」

「入れるようになったら、呼んでくれ」「うん、判った」

それまで、テレビを見る

「もう良いわよ」

風呂に入って、部屋に入ると

「ヤッホー!」

あゆが飛びついてくる

「うわー! 何でいんだよ?」「何ででしょー?」「こっちが聞いてんだ!」「どっから入った!」

「あそこ!」

あゆは窓を指差す

またあそこからかよ

「また、飛んで来たのか?」「うん♪」「嘘を言うな!」「嘘じゃないもん!」

あゆはブーと膨れる

「だったら、証拠を見せてみろ!」「それはダメ!」「なら、嘘んなんだな」

「本当だよ! ボク飛べるんだから!」

あゆは必死に講義する

「はいはい…判りましたよ」

馬鹿にしたように言う

「あー、信じてないでしょ?」

信じろって方が無理だろ

「信じてほしかったら、証拠を見せろ! 証拠を。そうだなー、たとえば羽とか」

「それくらいだったら…」

あゆはそう言って、上着を脱いだす

「ば、馬鹿! なんで…」

赤い顔をしながら後ろを向く

「ほら、ここ…」

あゆは背中を指差す。背中を見てみると、確かに小さな羽らしきものがあった

「これなのか…? これだと飛べないだろ?」「今は、そうだけど時間がたてば、大きくなるんだよ」

「どれ位でなるんだ?」「う〜ん、3時間くらいかな」「上着を着ろ! それから帰れ!」

「えー、まだ少しか話してないよ」

あゆは名残惜しそうな顔をする

「明日でも、良いだろがー」「うー」

あゆはシュンとする

「もう9時だ! 良い子は帰って、寝る時間だぞ!」「ボクは子供じゃないもん! 大人だもん!」

あゆは膨れながら、そう講義する

「そうとしか見えんがな…「ひどいよー、ちゃんと胸もあるんだよ!」「とりあえず、帰れ!」

「判かった…」

あゆはしょぼくれて部屋を出て行く。それを見送って、ベットに横になる

第三章に続く


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