日常 -第一章-
やっぱり、昼寝はここにかぎるな〜

屋上の貯水タンクの側に横になる。

「剛! ここに居るんでしょ! さっさと出てきなさい!」

ん? この声は…もしかして

覗いてみると、そこには真琴がすごい剣幕で立っていた

「剛! 授業よ!」「うるせーなー。俺はここにるって、決めたんだ!」「そんなことは、お母さんが許しません!」

ズコ!

「誰がお母さんだー! 誰が!」

真琴は自分を指差す。

「とにかく、俺はいかんからな〜!一人で行けよ〜」

「私は、委員長として、剛を連れていかないって、いけない義務があるの!」「勝手に言ってろ!」

そう言って、また横になる。

「いいから…いらっしゃい!」

真琴はそう言って俺のことを引っ張って行く


「離せー!」「ダメよ! さっきも言ったけど、私はあなたを教室に連れて行く、義務があるの!」

「委員長としてか?」「そう!」

真琴はさも当然といった顔で言う。突然、真琴は手を離す

「さ、ここからは自分で歩いて行きなさい!」「誰が行くか! バーカ!」

そう言って走り出す

スパン!

「まったく、あなたの行動パターンなんて百も承知よ!」「その…ハリセンはいったい…」

「細かいことは気にしない! さ、行くわよ!」「へーい…」

その後も、何度も逃げようと試みるが、そのたびに真琴のハリセンの餌食になる


ふぇー、眠い…。畜生…真琴のおかげで、昼寝し損ねたからな

机にうつ伏せ状態で寝ようとする

ガン!

「いったー!」

そう言って立ち上がると、先生が不思議そうな顔をする

「どうした?」「いえ…何でもありません…」

教室中の奴らが一斉に笑いだす。座る時に、床に転がる消しゴムが目に入る

まさか…これがあたったのか?

それを拾い上げて真琴の方を見ると、すごい目付きでこっちを睨んでいた


「もーりーもーとく〜ん!」

ガス!

後ろ頭を鞄で強打されて、その場にうずくます。

「何しやがる!」「痛かった?」「痛いに決まってるだろうが〜!」「御免…」

あゆはシュンとする。あゆの頭にポンと手を置く

「頼むから、肩を叩いてくれよ」「うん♪ 鞄で肩を強打すればいいんだね!」「違う!」「え!?」

あゆはポカーンと俺の顔を見る。その時、何処からともなく大きな声が聞こえてくる

『何処行ったー! 馬鹿剛ー!』「や、やべ! あゆ、走るぞ!」「え!?」

あゆの手を握り、走って逃げる

「確か…この辺に居たはずなのに」

真琴はあたりを見渡す。

「逃げ足だけは、速いんだから…」

真琴は手に持っていた、箒を真っ二つにする。


家の前で、あゆと判れて家の中に入る

「お帰り〜!」

透がそう言いながら、抱きついてくる

「ええーい! 鬱陶しい! 男が男に抱きつくなー!」「男だなんて、酷い…私は、女よ…」

「じゃぁ、戸籍の『男』ってのは何だよ!」「それは、ただの間違えよ」「勝手に言ってろ!」

そう言って、部屋に入る

「たく…男なら、もっと男らしくしろって…」「それは無理!」「どっから入って来た!」

透はドアを指差す。急いでドアの所に行って、鍵が掛かっている事を確認するが、確かに掛かっていた

「どうやって入った!」「ちゃんとドアを開けてよ」「もういい…出てけ! これから着替えるから!」

「なら、居る〜」

透は可愛く言う。

「だー! さっさと出てけー!」

そう言って、透を部屋の外に蹴りだす

「もう二度と入ってくるな!」「ダメなの?」「ダメ! っていうか、来るな!」

そう言ってドアを閉める。


「そうそう。さっき、真琴ちゃんから電話があったわよ」「ふーん…」「真琴ちゃんと何かあったの?」

「別に…何もない…」

そっけなく答えて、おかずを口に運ぶ

「で、用事は何だったんだ?」「えっと…明日の朝を楽しみにって言ってた」「あっそ…ごちそうさん!」

部屋に入る

第二章に続く


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