ペロペロ…

「やめろって…」

ペロペロ…

「だ〜!煩い!」

そういって起きると、一匹の猫がちょこんと座っていた

猫…?何でこんな所に居るんだ?

あたりを見渡す

窓はきちんと閉まってるよな。ドアも閉まってる…どこか?

しばらく、その猫を眺める

そういえば、水月は何処に行ったんだ?

「なぁ…水月がどこに行ったか知らないか?」「にゃー!」「判る分けないよな…」

猫を抱えあげて、部屋から出て水月を探す

「何処にも居ないなー。そうか、何か買いに行ったんだな!」

猫を降ろして、しばらく眺める

「それにしても、不細工な猫だな〜」「ふにゃ〜!」

顔を思いっきり引っかかれる

「うぎゃー!何をする!」「ふ〜!」「まったく、不細工っていわれたくらいで、そんなに怒るなよ〜」

「何か…食うか?」「ニャー!」

台所に行き、刺身の切り身があったので、それを皿に乗せてだしてやる

その刺身をジーと眺めるだけで、一向に食べようとはしなかった

「お腹すいてないのか?それとも…これの方が良いのか?」

ためしに、ドネルケバブを差し出してみると、嬉しそうに飛びついて来る。そして、黙々と食べ始める

「何だ…これが良いのか?まったく、水月みたいな奴だなー」

え!?水月…?もしかして…

「お前…水月か?」「にゃ〜!」「そうなのか?そうなんだな!」「ふにゃ〜?」

なんてこった…水月が、こんな姿になるなんて…。俺は夢を見てるに違いない

その時、引っかかれた時の痛みを思いだす

現実だ…これは、間違いなく現実だ…

「とりあえず、もう一個食べるか?」「にゃ〜♪」

しかし、何でこうなったんだ?人間が、猫になるなんて本当にあるのか?

ドネルケバブを黙々と食べている猫を見る

あるんだな…現にこうして居るしな

猫は、ドネルケバブを食べ終わり、俺の方をジーと見ていた。そっと、頭を撫でてやると気持ち良さそうな顔をする

今度ははたきをパタパタと動かすと、楽しそうにそれに飛びついて来る

「水月…楽しいか?」「にゃ〜!」

パタパタ…

「ただいま〜!もぅ…人が沢山居て、大変だったわよ…。でも、トイレットペーパーが安く…何をやってるの?」

水月は、シラーと見てくる

「え!?え〜!?」「な、何よ…いきなり大声だして?」「水月がそこに居る…そして、ここにも水月が…」

訳がわからずに、その場にぶっ倒れる

「ちょ、ちょっと…大丈夫?」


「ん…う〜ん…」「大丈夫…?」「ああ…」「何があったの?」

いきさつを水月に説明する

「プ…あははは…馬鹿じゃないの?人間が、動物になる訳ないでしょ!」「俺だって…最初はそう思ったさ…」

水月は腹を抱えて笑い転げる

「そ、そんなに笑うことないだろ!」「ごめん…でも、可笑しくて…」

「でも、本当にないのかな〜?人間が、猫とかになることって?」「普通はないでしょうね…」

水月は必死に笑いをこらえる

「あの人を除いてね…」「あの人か…あの人ならやりそうだな」

二人でうんうんと頷く

ーENDー



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