婿養子
涼宮家にて…。

「お姉ちゃんって、お兄ちゃんの所で同居するの?」

紅茶を飲んでいた遙は、むせ返る。

「あれ? 違った?」「茜〜!」

遙は顔を真っ赤にしながら言う。

「だって…お姉ちゃんとお兄ちゃんって結婚するんでしょ?」

遙は、ボッと顔を真っ赤にして、ブツブツと何か呟く。

「あ、そっか! お兄ちゃんが家に来るんだ!」「え〜! そ、そんな事…」

遙は赤い顔をしながら両手を振る。

「でも、お兄ちゃんが家に来てくれたら、お父さんも喜ぶと思うよ!」「そ、それは…」

茜にやーと笑う。

「それに…お兄ちゃんが家に来れば、私はこの家をでれるしね!」「え!?」

遙はきょとんとした顔で茜を眺める。

「いい、お兄ちゃんが家に来たら、涼宮の名は残るんだよ!」「そう…だね」

「じゃあ、お兄ちゃんは婿養子に決定!」「ダメ…それはダメ! そんなの勝手に決めたら孝之君が…」

「はいはい…その話しはここまで! まったく、何考えてんのよ茜わー」

「水月先輩はどうなんですか?」「え? 私…?」

水月は自分を指差す。

「そうです! 水月先輩も婿養子狙いですか?」「な、何を言ってるのよ…第一、そんな人なんて…」

「居るじゃないですか! この前の…」「わ〜!」

水月は慌てて茜の口を抑える。

「前のってなあに?」「あははは…別に気にしないで…」

茜は息苦しくなり、水月の腕を何度か叩く。水月は慌てて手を離す。

「今…本気で死ぬかと思いましたよ!」「ねえ…秘密にしないで教えてよー!」

茜は水月の顔色を伺う。水月はそれを見て首を横に振る。

「時期が来れば話してあげるわ」「本当に…?」

遙は、水月をジーっと見る。それを見て水月は二、三度頷く。遙は少し不満そうな顔をする。

『遙…鳴海さんから電話よ…』「は〜い…」

遙はパタパタと足早に部屋からでて行く。

「茜!」「はい…何ですか?」「彼の事は、まだ遙には内緒よ!」「え! どうしてですか?」

「良いから! 判った…」「は、はい…」

茜は何度も頷く。

「御免ね…」

部屋に戻って来た遙は、何だか嬉しそうだった。

「孝之が来るんでしょ?」「え!? 何で判ったの?」「遙の行動を見てれば判るわよ…」

水月は呆れ顔で言う。

「私、帰るわね」「え! もっと…」「二人の邪魔をしたくないから…またね」「うん…バイバイ」

「水月先輩、さようなら」

水月は部屋からでて行く。

「お姉ちゃん、あのね…さっきの話なんだけど…」

茜が遙にさっきの話をしようとした時、ソフトボールが飛んできて、茜の頭にあたる。

「あ、茜…! 大丈夫?」

遙は床に転がるソフトボールを呆然と眺める

ーENDー



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