水着
えっと…これどうかしら? やっぱり、こっちかなー?

鏡の前で、服をとっかえひっかえする。

あー、着て行く服が決まらない

ちらりと時計を見ると、待ち合わせの時間が迫っていた

「あー、どうしよー」『水月ー、早くしなさい』「判ってる!」

どうしよ…このままじゃあ、遅刻じゃない



時計を見てる

遅いなー、水月。まさか、水月が遅刻なんて事は、無いと思うが…

あたりを見渡す

やっぱり、来てないか…ま、たまには遅刻するくらいが可愛いけどな

「何をにやけてるんですかー?」

茜ちゃんはニヤニヤしながら言う

「べ、別に…」「あ、顔が紅くなった! 可愛い」「うるせー!」「御待たせ…」

水月がそう言いながら走ってくる

「あれ? 何で茜が…?」「えへへ…」「言っとくが、かっ…」「一緒に行こうって言われたんです!」

「あ、コラ! 勝手な事を…違うからな!」「何よ…あれだけ時間かけて、服を選んだ意味ないじゃない…」

水月はそう小声で呟く

「どうした? 不機嫌だなー?」「え、そんな事ないわよ…さ、行きましょ」

水月はそう言って駅に向かって歩いて行く


ガタンゴトン…

「それで、何を買うんですか?」「水月の水着だ! 物凄いビキニを…」

ガン! ドコン!

水月とパンチで茜ちゃんはスポーツバックで俺の事を殴る

「まったく…人前でよく言えるわねー!」「そうですよ!」「軽い…冗談…だったのに…」

そう言って、崩れ落ちる

「で、何を買うんですか?」「買う物は水着に違い無いわ」「まさか、夏に向けて…」「ううん、そうじゃないの」

「え!? だったら…」

水月は黙って俺を指差す

「あー、なるほど…」「去年の…私が破っちゃって…」

水月は照れくさそうにいう

「そんな感じなのよ。まあ…帰りに、二人で何処かに行こうって、話してんだけどね…」

「私は、邪魔者って事ですか?」

茜ちゃんは、シラーと水月の方を見る

「そうだ! 邪魔者だ!」「そうなら、そうって始めに言って下さいよー」「言ったら、帰ったか?」

茜ちゃんは首を横に振る

「だろうな…」「買い物がすんだら、孝之のバイト先のすかいてんぷるでも、行きましょ」

「そうだな」「もちろん、奢ってくれますよね?」

茜ちゃんは、ジーと俺の事を見てくる

「まさか、俺の財布をあてにしてるのか?」「はい!」「なら、無理な相談だ!」

そうキッパリと言う

「何を嘘を言ってるの? 昨日『給料が入ったから、明日買い物に行こうぜ』って言ったのは誰かしらー?」

水月は、シラーと俺の事を見てくる

「じゃぁ。安心して頼めますね」「そうね」

水月と茜ちゃんは愉快そうに笑う。

こいつら…子悪魔を通り越して、悪魔だ

「そうと決まれば、さっさと買い物を終えて、すかいてんぷるにGO!」

茜ちゃんは、一人張り切る

手っ取り早く、水着を決められ。すかいてんぷるでは、財布の中身を気にするはめになったのは言うまでも無い

ーENDー



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