目覚まし時計
何時もと変わりの無い朝がやって来る。しかし、この日を境にそれは変化を迎える

そう、それは突然やってきたのだ…

ピッ!

『朝よ〜!起きて〜!』「うわ〜!な、何だ…?」

慌てて起き上がりあたりを見渡すが、水月の姿は何処にも無かった。あったのは、見慣れない時計だけだった

『早く起きる!3、2、1、はい!』

しばらくその時計を眺める

何で、こんな物が家にあるんだ…?

そんな事を考えている時、電話が鳴り始める

「はい…もしもし…」『あ、私。ちゃんと起きれたみたいね』

電話の向こうの水月は、妙に嬉しそうに感じれた

「こんなの勝手に置いて行きやがって…」『何かまずかった?』「置いて行くんなら、置いて行くで…」

『言ってなかった?』「聞いてない!」『そう…ごめんね…』

それだけかよ

『あとは、学校で!』「あ、待て…」

ツーツー

たく!何だよ、これは…


「おはよう…」「あ、おはよう!」

水月は元気良く挨拶をする

「どう?驚いた?」「驚かない奴が居るのか?」「居るわよ!」「何処に〜?」「あそこ!」

水月は、孝之を指差す

「何で孝之なんだよ?」「孝之にも、同じ物を仕掛けたのよ!」「涼宮の声でか?」「うん!」

駄目に決まってるだろ…どうせ

『孝之君。朝だよ起きて…起きないと遅刻するよ…』

みたいな内容だろうし…、そんな内容だと起きるはずが無い!

「ねぇ聞いてよ…遙が入れたメッセージの内容って…」「孝之君…起きて〜!だろ?」

水月は驚いた顔でこっちを見たあと、額に手をあててくる

「熱は…無いみたいね…」「あのな〜…」「だって、一発で当てるから…」

俺が一発で当てたらまずいのか!

「とにかく、俺は健康だ!あと、帰りにあの目覚ましを持って帰れ!」「気に入らなかった…?」

「いや…気に入らなかったかって聞かれると…」

頬をポリポリと掻く

「もしかして…メッセージのせい?」「あ、ああ」「帰りに行って、葺き替えてあげる!」

「え!?」「な〜に!そのすこぶる程に嫌そうな顔わ〜!」

水月はしら〜とこっちを見て来る

「俺のより、孝之のをどうかした方が良いと思うぞ…」「それなら、心配ないわよ!」「え!?」

「茜に頼んでるから!今ごろ、孝之の部屋に行って、変更してるんじゃないかな〜?」

それって不法侵入だろ

「とにかく!俺のは良いから!」「だ〜め!そう言って、逃げようとしても無駄よ!」

「べ、別に逃げようなんて…」「絶対に!行くからね!」

水月の圧力に負けて、何度か頷く

「さ、授業が始まるわよ!」

水月はそう言って、嬉しそうに席に向かう。それから、毎日水月の吹き込んだメッセージで起きることになった

『何時まで寝てるのよ!早く起きなさい!さもないと…』

このメッセージに慣れる頃に水月がやって来て、別のメッセージを録音して帰って行くのであった…

ーENDー



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