眼鏡

何時ものように、家の鍵を開けて中に入る。

「ただいま〜!」

って言っても…誰も居ないんだよな〜。

「あ、お帰り〜!」「え!?」

水月がパタパタと走ってくる。

「もう少し待ててね。もう少し出来上がるから」

あれ?

「水月…どうしたんだ?」「え? 何が?」「何がって…その眼鏡だよ!」

水月のかけている眼鏡を指差す。

「あ〜、これ。ちょっとね…」

水月は頬を赤くする。

「好きかな〜って思ってね…」「え? 誰が?」

水月は黙って俺を見る。自分を指差すと、水月は頷く。

「嫌だった?」「そんな事はない!」「良かった〜!」

水月は嬉しそうに笑う。

「あ、いけない! 鍋をかけっぱなしだった!」

ガン!

「いったい〜!」

おい…まさか、度が入ってるのか?



コンコン!

「お姉ちゃん、鳴海さんが来たよ。開けるね」『え、ちょっと待って…』

ガチャ!

「あ〜! 待てって言ったのに〜!」

遙はぶーと膨れる。

「あれ? 遙…眼鏡かけてるのか?」「え、あ、うん…」

遙は恥ずかしそうに顔を赤くする。

「勉強する時は、いつもかけてるんですよ」「何時もじゃないよー。最近になってだも…」

「え!? 最近?」「最近はああして、机にかじりついて勉強してるんですよ。それで…」

あ〜なるほど。

「下でお茶でも飲みながら、話そう…」

遙はそう言って、眼鏡を外そうとする。急いで遙の所に行き、それをやめさせる。

「え? たか…ゆき君?」「え、あ、悪い…あんまりにも似合ってたから…」

顔を赤くしながら、頬をポリポリとかく。

「はいはい…ごちそうさま。それで、お茶するの?」

茜ちゃんは呆れ顔でこっちをみる。俺と遙は、ボッと顔を赤くする。

「私、先に降りて準備しとくね!」「う、うん…お願い」「早く降りてきてね、冷めちゃうから…」

茜ちゃんは呆れ顔をしながら、下に降りて行く。

「行くか…」「うん!」

遙と一緒に下に降りる。もちろん、遙は眼鏡をかけたまま


ーENDー



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