魔女っ子!?
うわ〜。すっかり遅くなちゃったわね

何時ものように何の変哲もない、部活帰りの道だった…


「いや〜!」「そっちじゃないって…右だ!右!」「こっち?」「どわ〜!今度は、左…左!」「どっち〜!」

意思に反して、いきなり急降下を始める

「うわ〜!」「いや〜!」


あ!そうだ!帰りにコンビニでも、よって買えろっと!

「うわ〜!ぶつかる〜!」「え!?」

振り返って見るが、そこには何も無かった

今…声が聞こえた気がしたんだけど…気のせいね!

そう納得し、コンビニに向かって歩き始める

ガサガサ…

「ふぅ…危なかった〜」「ごめん…でも、今度は大丈夫だから!」「え!?まさか!うわ〜!」

あ!今日は、ボリンの発売じゃない。

「うわ〜!」「え!?」

振り返り、そこにある光景を見て固まる

そこには、宙に浮いた自転車に乗った女の子が、さかさまなってこっちを見ていた

「あ…ああ…」「こ、こんにちは…」

その子は苦笑いを浮かべる。そして、ゆっくりと深呼吸をする

「いや〜!」

そう叫び、大急ぎで走って逃げる

「あ、あの…見られた…よね?」「そうだな…」「あ!お財布…」


私は、何も見てない…何も…

そう自分に言い聞かせながら、無意識のうちに商品を籠に放り込む

「有難う御座います。2740円になります」「え!?」

慌てて財布を捜すが、何処にも無かった

「すみません…これ良いです!」

そう言って大急ぎで店から出る


「ただいま〜」

部屋に行って鞄を置いて、着替えをする

何処で落としたんだろ…財布

制服を片付けて、振り返るとそこには、あの時の子が座っていた

「こ、こんばんわ…」「いったい、何処から入ってきたの?」「えっと…あそこから…」

そう言って、窓を指差す

「財布…」「あ!これ…」

その子は、私の財布を差しだす

「あ、私の財布…なんで持ってるの?」「あの時、落として行ったから…」

「わざわざ、届けてくれたの?」「うん!」

その子はにっこりと笑う

「有難う…」

財布を受け取り、後ろを向いて中身を確かめる

「ところで、あなた何者?」「えっと…魔女なの」「あ!馬鹿!」「おこじょが…しゃべった…」

「あ!」「孝之君…大丈夫だよ。この人には話しても…」「話すって…何を?」

そのあと、ゆっくりと説明を聞く

「ふーん。魔女界のおちこぼれで、人間界に来て修行をするって訳ね」「うん!」「おちこぼれ…」

しらーとそこを眺める

「おちこぼれ…なんとなく、納得できるわね」「ふぇ〜ん、あんまりおちこぼれっていわないで〜」

「あんまり、ハルカをいじめるな!」「悪かったわよ!住むところは?」

そう言っておこじょを見る

魔女っ子につき物のペットね…

「この辺に…あるはずなんだけど…」

そう言って、ハルカは手帳を広げて何かをゴソゴソする

「何やってるの?」『すみませ…』「うわ!手帳がしゃべった!」

「これは、マジック手帳。魔法界でブームなんだよ」「そ、そうなの…」

苦笑いを浮かべる

「判ったの?ホームステイ場所?」

ハルカはゆっくりと首を横に振る

「そう…今日は家に泊まって行きなさいよ。夜も遅いし…ね?」「え!?良いの?」「うん!」


『すみません…お父様が下さった地図は、5,000年も前の物でした…。今、新しい地図が…』

「良かったわね。これで、見つかるわね!」「うん!」

それにしても、5,000年も前のって判るわけないわよね…普通

「色々と有難う…」「うん。元気でね!」「さようなら…」

そういって自転車に跨り、窓から出て行く

さて、学校!学校!


魔女っ子か…本当に居たのね。ちょっと驚きね。

とんとん…

「はい…?」「おはよう…」「え!?何でここに?」「あのね…今日から、ここに通う事になったの!」

「えー!」「よろしくね!」

あ〜頭痛い…。この子とは長い付き合いになりそうね…

「門を閉めるぞー!」「あ〜!待ってー!」


「そうだったね…」「それにしても、全然進歩しないわね〜?」「ふぇ〜ん、それはいわないで〜」

「ま、ハルカだからな!」「ひどい…孝之君まで…くすん」「何でも、地道に頑張るしかないわよ」

「うん!私、頑張るね!」「さ〜帰って、ハルカの失敗の後片付けよ!」「それが大変なんだよな〜」

「二人とも…ごめ〜ん」

ーENDー



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