子供
ぺちぺち…

ん…?煩いな〜

ふに〜!ふに〜!

ムカムカ…

「だー誰だ!人の顔を叩いたり、引っ張ったり!えー!ん…?」

ふと見てみると、青髪の子がこっちを眺めていた

「お前か!俺の顔をひっぱたりしたのわ」

その子はソフトボールを投げて来る。当然のことながら顔面でそれを受ける

な、何で…ボールが…

バタン!


「君は、水月だって言うのか?」「うん!」

ガツガツ…

信じろと…この子が水月だって…。無理だろ…でも、あのコントロールは間違いないか

「それで、どうして子供になってんだ?」「知らない!」「ありゃ…」

ま、知ってる方が可笑しいわな…。こんな事をしそうな人は一人だけど…

「おかわり!」「良く食うなー。これで三杯目だぞ、その体の何処にはいってるんだ?」「良いから!」

チビ水月は茶碗を前に出す

「はい…判りました…」

ご飯をついでやり、茶碗を渡すと元気良く食べ始める

「それで最後だからな…」

そうじゃないと、俺の分がなくなるからな…

「ご馳走様…」

チビ水月は丁寧に手を合わせる。その後、俺の方をじーと見て来る

「な、何だよ…」「お出かけしよ!」「は〜?」「散歩!散歩!」

チビ水月はそういって、その場でねっころがりバタバタと暴れる

「わ、判ったから…」「本当!」

チビ水月は目を輝かせる

可愛い…


チビ水月と手を繋いで外を歩く

これじゃあ、まるっきり自分の子供と一緒に歩いてるのと、まったく同じじゃないか…

「何処に行きたい?」「遊園地!」「は〜?」「ゆ・う・え・ん・ち!」

ゲームのタイトルみたいな言い方をしやがる

「判ったよ…」「やったー!」

電車に乗って遊園地に行く。そして、チビ水月が乗りたいという物に乗せてやる

昼になったので昼食を取る

「どうだ…楽しいか?」「うん!とっても!」「そうか…」

ふっと笑う

周りから見れば、親子なんだろうな〜

「次は何に乗りたい?」「えっと…あれ!」「ん…?観覧車か…」「うん!」「それより…アレなんかどうだ?」

お化け屋敷を指差す。それを見たチビ水月はソフトボールを取り出す

「すみませんでした…私が悪かったです…」

チビ水月は胸を張る

「それじゃあ、観覧車に乗りますか?お姫様…」「はい…」

観覧車に乗り込み、ゴンドラが少しずつ動きだす。チビ水月は楽しそうに外を眺める

ぼーと外の景色を眺めていると、チビ水月が横に来て座る

「ん…?どうした…」「今日は有難う…」

チビ水月は唇にキスをしてくる。ゆっくりと目を閉じる。そして、目を開けると目の前に何時もの水月が居た

「本当に…水月だったんだな…」「もしかして…信じてなかったの?」

水月はしらーとこっちを見て来る

「半信半疑…だったんだ。だって、そうだろ?普通は信じれるか?」

それを聞いて水月は笑いだす

「何を真剣に答えてるのよ…」「え!?」「それより、子供の私…どうだった?」「それは…」

「思った事を言って良いから。怒ったりなんて、絶対にしないから…」「本当に…?」

水月は黙って頷く

「凄く可愛いと思ったさ。抱きしめて、頬擦りしたいとさえ思ったさ…」

「そんなこと思ってたの…?」「それだけ、可愛かったんだから…」

水月はふっと笑う

「それなら、安心ね…」「え!?何が…?」「実はね…」

水月は俺の手を取って、そっと自分のお腹の所に持って行く

「お、おい…まさか!」「うん…」

水月は紅い顔をしながら頷く

「そうか〜。やったなー!」「もー、大げさよ…」「俺達、二人の子供だろ。嬉しくて堪らないぜ!」

「ふふふ…子供みたいね」「水月…」「うん…」

再度キスをしようとした時、ゴンドラのドアが開く

「あの〜。もう一周しますか?」『え!?』

水月と一緒に顔を紅くする。係員は何も言わずにドアを閉める

「凄い所…見られちゃったね…」「そうだな…」

ゴンドラの中に気まずい空気が流れる

ーENDー



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