君ラブクエスト -第八章-
朝、覚ますと手に何か柔らかい感触があることに気が付く。

ん? 何だ、この柔らかい感触は?

ゆっくりと、そっちに目を向ける。俺の手は、ミツキの胸の上にあった。

『ぎょえ〜!』と叫びそうになるが、必死でそれを飲み込む。

とりあえず、この手をのけないとな。

そーと、手をのけようとした時、ミツキはガシっと俺の腕を掴む。

この馬鹿!離しやがれ!

必死で、その手を離そうとするが、簡単に外れるはずがない。

そんな事をしている間に、ミツキが目を開ける。

「やー、ミツキ。おはよう…」

苦笑いを浮かべながら、ミツキに挨拶をする。ミツキは、俺の顔を見てその後、すーと視線を下に向ける。

そして、ある場所でピタっと止まる。小刻みに震えだしす。

「ま、待て。これは事故で…」「あんたって人は…この!スケベ〜!変体〜!」「キャフーン……キラン☆」



「まったく、油断もすきもあったもんじゃないわね!」「本当ですね!私も気おつけないと!」

何で、俺がこんなに悪者に…。

「ねー、これから何処に行くの?」「目的も無く、ただこうやって歩いてても…」

それもそうだな。だが、何処に行く? タカユキは敵の本拠地に居るようだし。

「あのね。この世界の何処かに、凄い力を持った女神様が居るんだって」「そ、そんな奴居るわけ無いさ!」

アユは耀様に同様している。

「おい!」「あ、あにさ?」「お前、何か知ってるな?」「あ、あんでさ?」

その行動を見れば、誰でも判るって…。

「二人とも、お姉ちゃんの言う事を本気にしないで下さいよー。どうせ、絵本の受け売りですから…」

「アカネ〜、酷いよ…これは、ちゃんとした本に書いてあったんだから!ね〜」「うん!」

自分に同意を求めるのはどうかと思うぞ。

「さー。正直に言った方が、楽になれるわよ〜」「脅したって、言わないわさ」

「あえて言わないのー」「誰が言うか!ボケー!」「じゃ〜、仕方がないわね」

ミツキはアユの頬を掴み、横に引っ張る。

「あいだだだ……」「やっぱり、よく伸びるわねー」

ミツキは楽しそうに、アユの頬を引っ張る。

「ねー。多分だけど、居る場所って。セレンティアじゃない?」

それを聞いて、アユはピクと反応をする。

「やっぱり、そうなんだね」「ねー、お姉ちゃん。何なの、そこって?」

アカネの問い掛けに、ハルカは地面に図を書き始める。

「ここが、私達の居る場所。で、ここがセレンティアなんだよ」「うわ〜、かなり距離があるね」

「うん、でもね。ここに行ったからって、入れるないんだよ」「どうして?」

「ここには入れるのは、選ばれた人だけなんだって」「選ばれた人?」「はなへ〜!」

ミツキは思い出したように、アユを離す。

選ばれた人のみ、女神に会う権利を得ることが出来るか。

「でも、行ってみるだけの価値はあるだろうな!」「そうね、行ってみない事には、なんとも言えないもんね」

「それじゃ、セレンティア目指して出発ですね」「頑張ろうね」「うん、そうだね」

この図によると、別大陸だなー。また、マユに頼むかー。

「なー、マユ何処に行ったか知らないか?」「あ!すっかり忘れてたさ!まだ、あのまま釣り下がってるさ」

「アユさーん。早く帰ってきて下さ〜い。私ずっとこのままなんて、嫌ですー」

第九章に続く


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